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組織、マネジメントの理論とその実践を、スポーツ・学校を通して考える。

いやなことをやる〜3立派なお母さん

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学校では毎年4月、PTAの委員を選出しています。どの学校でもクラスで2〜3名の保護者にPTAの委員をお願いしているはずです。

担任にとって委員選出はなかなか大変です。みなさん、仕事や子育て介護などそれぞれ事情があり「申し訳ないなぁ」と思いながらお願いし、なんとか引き受けてもらっているという実情です。

ある年、委員をお願いするのに電話をしたところ、次々に断られ結局全員にお断りされたことがありました。夜7時過ぎに電話をかけ始め、最後の40人目に電話をする頃には9時を回っていました。職員室にはもう自分しかいませんでした。40人全員に断られ途方にくれました。それぞれに事情が分かるだけに、無理は言えませんでした。

仕方がなく、もう一巡全員にお願いしようと、最初のお母さんに電話をしました「40人みなさんに断られてしまったので、再度のお願いなんですが・・・」といったところ、そのお母さんは「先生ごめんなさい。誰かがやればいいと思って断ってしまって。全員に電話させてしまって。大変だったでしょ・・・。私が引き受けていれば、先生にこんな苦労させなくてもよかったのに。ごめんなさい。人任せにしてしまって・・・」「私でよければやらせていただきます」「仲のいいお母さんがいるんで、その人に私から話して二人でやります」と言ってくれたのです。そのお母さんの言葉が嬉しくて嬉しくて、感謝の気持ちでいっぱいになりました。断られたことは何とも思っていませんでした。家庭には家庭の事情があります。無理なお願いをしているのはこちらですから。

むしろ、断られたからこそ、こんな素敵なお母さんの言葉・気持ちに出会えたのです。

お母さんは「嫌なことを」やってくれた。みんなのために、担任のために。本当にありがたい。仕事もあると休みの日はゆっくりしたいだろうし、いろいろやることもお付き合いもあるだろう、決して時間に余裕などないはずなのに、その貴重な時間と労力をみんなのために割いてくれた。立派な素敵なお母さん。

「PTAの委員は、そういうのが好きな人にやって貰えばいいんだ」という人がいます。それは違うと思うし、寂しい考え方だと思います。

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