一致団結ってそんなに大事なの
集団の中で心理的な「密」が増え、極まっていくと「一致団結」、最近の言葉でいうと「ワンチーム」という状態になります。この状態はメンバーに所属感や充実感を与えるとともに、その集団に大きな成果をもたらします。しかしながら、本来これらは結果としてそうなるのであって、意図して作り出すものではないように思います。
自分が若いころ、教員として初めてチームやクラスを持った時、それがわかっていませんでした。クラスの生徒や部員に対して「一致団結」「一つの輪」を求めていました。その時はそれが正しいと思い込んでいたし、他の教員仲間から「あなたのクラスはまとまりがある」と言われると嬉しかった。「みんなバラバラだね」と言われると、自分の指導力の無さを指摘されているようで残念な気持ちになっていた。
「一致団結」「チームワーク」を求めるあまり、集団が同調圧力の罠に絡めとられることがありました。「みんな一緒」を求める風土がいじめを生む要因の一つであることは、広く知られています。
かつてはクラスに「班」という仕組みがありました。今でもあるのでしょうか。私は班制度に違和感があったので「班」を作ろうとは思いませんでした。自分たちの班を「良い班」と示すために、他の班を批判するという場面を何度も見てきたからです。(この話はまだ別の機会に)
「みんなバラバラでいんだよ」と思えるようになったのは、クラス作りやチーム作りに何度も失敗してからのこと。それからは「一人ひとりが居心地のいい空間を創ってほしい」と言ってきた。それでよかったと思っている。
最近、「多様性」という言葉が広まり「多様性を大事にしましょう」という雰囲気がやっとでてきた。「一致団結」は目的ではなく「結果」だという意識をリーダーには持ってほしい。リーダーにはメンバーが安心して過ごせる居場所を作ることが大事なのです。教員が「一つの輪」を強調しすぎると、輪に入れない生徒たちは「自分たちはどこにいたらいい」「どうしたらいい」と思い悩んでしまう。
4月、学校・会社で新たなチームが生まれます。リーダーは1人ひとりを大切にしましょう。