駅弁の思い出
旅行だ帰省だと比較的長距離で鉄道で移動する機会が増えるこの季節。
そして移動に時間がかかれば途中で何らかの食事となることもあると思います。
食べて乗るか、乗って食べるか。
ただ素直に言って普段の生活のなかで利用する電車の車内で駅弁を食べることってそうそう無いと思っています。自分の狭い生活圏内でのことを考えても日々の通勤や何らかの移動で電車に乗ってる時間はせいぜい30分とか1時間とかで、しかも横浜北部に住んでいる自分が乗る電車はそもそも夕方から夜に一部の有料車両が進行方向に向く座席に変更されるけれどキホンは横に長い座席の車両がほぼ全ての鉄道。
流石にこの路線で駅弁を食べた記憶は無いし、多分見かけた記憶もありません。
駅弁を食べたくなる場所じゃなくてもお腹は空く
ただし駅弁というレベルじゃなくおにぎりやパンを食べてる人を見かけることくらいはありますし、私も駅近くのコンビニや駅の売店のパンに救われたことが何度かあるし、過去に普通の電車内で駅弁ではなくコンビニ弁当を食べてる人を見かけたことまではあります。でもいわゆる「駅弁を食べる」という風情ではないですね。
あ、それで言うと15年ほど前の話なのですが、当時の勤務先のオフィスが東京の虎ノ門にありました。そこである日のランチタイムに近所のラーメン屋に食べに行こうとビルを出て3分ほど歩いていたんですが、その時すれ違った1人のスーツ姿の女性が歩きながらコンビニ弁当を食べているのを見かけて、流石に振り返って二度見したことがありました。割と人生長生きしてますが、自分を含めてさっそうと歩きながらコンビニ弁当を食べてる人は他に見たことがなかったので今でもよく覚えてます。きっとお腹が空いていたけれどランチで混む店で食べる暇など無くてそうしちゃったんだとは思いますが、まぁ皆さん色々事情があるんだろうなと思ったのをよく覚えています。
それはともかく、駅弁の話。
今でも年に数回神戸の実家に帰ってるのですが、移動の時間帯にもよりますが大体何かを買って新幹線の車内で食べています。
やっぱり長距離での移動じゃないと食べづらいです。
自分の駅弁のキホンは横浜市民のココロの弁当
主に帰省のため、そしてたまの出張も含めてかれこれ40年以上年に最低1度以上、多かった年は毎月1度以上東海道・山陽新幹線で神戸と横浜を往復してきましたが、移動がちょうど昼にかかる時間帯や日が暮れてから乗車するときにはやっぱりお弁当を買います。下りは新横浜から乗ることが多いのですが、そのときは個人的にはかなりの確率で横浜市民のソウルフードとも言える崎陽軒さんのシウマイ弁当もしくはそのバリエーションを買うことが多いです。シューマイじゃないです。シウマイです。これを買って列車に乗り込んで、小田原の手前で開けて食べ始め、右手に富士山を見つつ静岡の手前までには最後の杏を食べて静かにごちそうさまと呟いてパッケージを片付けて通路のゴミ箱に。なんかそんなルーティンが出来上がったのは多分もう20年くらい前からですね。
あまり冒険しない人という自覚はあります。
かたや横浜に戻るときには直前の居場所の関係などから乗車駅が新神戸と新大阪の2つのパターンがあるのですが、実は新神戸から乗るときに買うものは決まっておらず、いつも迷った挙げ句おにぎりとかカレーパンとお茶だけになってしまうことが結構多かったりします。その一方で新大阪から乗るときにはかなりの確率で柿の葉寿司を買ってます。いや、これ、好きなんですよ。新大阪から乗って直ぐに食べ始めて京都を過ぎる頃には食べ終わっちゃうんですが、これを新幹線の座席で食べていると「あー、横浜に帰るぞ」という気になります。
やっぱり冒険しない人という自覚はあります。
ただし、シウマイ弁当って横浜市内だと本当にあちこちで売っています。あ、正確に言うと崎陽軒さんには他に何種類ものお弁当や基本の「昔ながらのシウマイ」をはじめとする色々商品があって、初めて横浜に来た人が驚くレベルで主なJRや私鉄駅構内や地下街にはそれを販売するコーナーが普通にあったりします。そして何故か色んな理由から新幹線に乗るわけでもなければもちろん旅行に行くのでもなんでもないのに、時々どうしても食べたくなります。
旅行じゃないときにシウマイ弁当買うのは私にとってちょっと冒険。
駅弁と言っても所詮弁当です。別に普段から食べたいとき食べられるときに食べれば良いのですが、駅弁というカテゴリは自分的にはどうしても自分的には旅行とセットという意識が強くて、例えばスーパーとかの「駅弁フェア」みたいなのでもなかなか手を出せません。ってことでそこに入るシウマイ弁当を家で食べるのはコンビニ弁当とは全然違う気持ちの壁があるんですが、その壁を乗り越えて時々食べるシウマイ弁当をはじめとした崎陽軒さんの弁当はやっぱり旨いです。
東海道線車内での飯テロの記憶
ちょうど1年くらい前まで足掛け7年ほど東京の西から神奈川全県をひたすら移動して現場を回る仕事だったのですが、そんななかのある日の昼頃、新橋起点で湯河原まで仕事で向かうために乗った東海道本線熱海行きで乗り込んだクロスシートの車両(東海道線では向かい合わせ4人がけ固定のシートでボックスシートとも言います)で女性四人組が駅弁を食べてるのに遭遇したことがあります。
JR新橋駅からJR湯河原駅までは電車で都合90分くらい。その湯河原の仕事の現場は何度も行ったところで、駅を降りてからの徒歩20分の道のりは目をつぶってでも歩いていけるほど通い慣れた場所。そして小田原~湯河原~熱海と続く沿線の場所柄どう見ても観光という風情で乗車している方も大勢いらっしゃるなかで普通に仕事の現場に向かうのは慣れたものなのですが、でも駅弁を食べているところを見るとあーって思っちゃいました。
いや、もちろん全然良いんですけれどっていうか羨ましくて仕方ないし、それをちらっと見ながら上司に「旅に出ます。探さないでください(スマホは持ってます」とメールを打ちたくなる衝動も駆られたりもしました。
なにしろ乗ってる東海道本線の電車は熱海行きで、熱海は私の目的地の湯河原の次です。
たった5分です。
一応湯河原までは神奈川県ですが、次の熱海は静岡県ということを考えると気分は変わるんですが... もちろん町並みは違いますが基本的には正直あまり変わらぬ伊豆半島の根本の観光地の風景。ただ一時期寂れてしまったこの地域一帯も、特に熱海は訪れる人も多くなってきて、明らかに活気が戻ってきた感じです... が、根がシャイで内気でナイーブで意気地なしなもので、色々思うところはありましたが結局一度も自分の意思で現場をすっ飛ばしたことはなかった、はずです。
まぁしかし、それもまた、旅行とはちょっと違う私の駅弁の思い出のひとつです。
---iwa