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通信業界特殊偵察部隊のモノゴトの見方、見え方、考え方

Shokz のOpenCommとOpenRun Proを併用しはじめた話

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3年近く前からShokz OpenCommを使ってきています。
切っ掛けは別稿で書いたように2019年に顔面神経麻痺を患った事です。もともと音響系は45年くらい前の高校のときに放送部... 映像がある今と違ってラジオと同じ音だけの世界でしたけれど... に在籍していたころから好きな世界で、かつミリタリー系の話もそれなりに好きな自分としてはもう数十年前から「聞く」「話す」の両方で骨伝導という方式があるのは知っていました。

初めての骨伝導: Jowbone ICON

そんな自分が自身として使うモノとして最初に手に入れたのは今は無き米国Jowbone社製の骨伝導イヤホンマイク ICON。確か2015年頃だと思います。その頃既にあの頃のJowbone社自体経営が傾いていて後続の製品が出るという噂だけを残して破綻してしまったのですが、これ、しばらく使っていました。ただし、このJowbone ICON、骨伝導なのはマイクの方で、今よく見かける聞く方ではありません。

元々は軍用の骨伝導マイク技術で、爆音に包まれる戦場やヘリコプターの機上で喋る音をキチンと拾うために顎(正確には頬ですが)や耳周辺の頭蓋骨から音を拾うマイクの開発から生まれた技術です。他にのどの声帯のあたりにベルトで巻き付ける咽喉マイクとかもあってこっちの方が今でも生き残ってるかもしれませんが、その骨伝導マイクを民生用に転用したのがJowboneのICONでした。

形は今もよくある片耳に入れるイヤホンマイクと似ていますが、マイクを頬骨に当てるために本体を水平に着けるという形。実際うまく当たっていれば列車が通過するガード下ですらこちらの話す声を相手に伝えることが出来ましたが、イヤホン側の出力が小さくて相手の声が聞こえにくいという問題があって帯に短し襷に長しという感じでした。更には骨伝導マイクの感度や顔の筋肉/脂肪、そして当たる場所といった複数の条件がうまくかみ合わないと相手に声が届きにくいという問題もあって、使わなくなってしまいました。

またJowbone社自体が事業の軸にしようとしたワイヤレス活動計のリストバンドのビジネスが上手くいかなくてビジネスを完全停止したのが確か2017年。今でもウェブサイトは死んではいませんが、"MORE INFO COMING SOON" という文字が表示されるだけ。

寂しいといえば寂しいですが、致し方ない話ではあります。

新たな骨伝導との出会い: Shokz OpenComm

前述のように2019年に顔面左側の顔面神経麻痺を患った関係で左側にいろんな機能障害が残ってしまいました。
その中で聴力に関していうと、耳の左右の聴力差に加えて聞こえる音質の差の問題とかあって普通のイヤホンやヘッドホンが使いにくい状況なのですが、今の世代の骨伝導イヤホンに出会ってめちゃめちゃ楽になりました。

なにしろ元々電話は左耳が基本で、でも左耳が聞こえにくくなって右耳に切り替えたら全然通話が頭に入らないし、外出先で音楽聞くにしてもヘッドホンもカナル型イヤホンも色々不都合があってめちゃめちゃ使い難い状況になってしまっていたんです。

それがShokzの骨伝導(話す方ではなく聞く方)にしたら一挙解決してすっごく楽になったんです。

ただし骨伝導イヤホンは鼓膜を通さない構造の関係から聞こえる音の帯域が狭いのは致し方ありません。自分が手に入れたShokzのOpenCommは通話をメインにしていたのでマイクのブームが付いたタイプです。実際入手した当時は外回りの仕事で、現場の間あるいはサポートスタッフと通話しながら作業する必要があったのと、一見単なる音楽用に見えるけれどマイクブームが付いていると警備員などに「あ、通話用ですね」と直ぐに理解してもらえるからという理由からでした。その部分でいうと自分的には100点満点ではありました。が...

骨伝導イヤホンの宿命: 実は自分的に音楽を聞く時の音には諦めがありました

これについては音声は良いのだけれど音楽をずっと聴くには自分にとって音質的にちょっと疲れるところがあるんです。これは骨伝導系の仕組みとシステムの世代の問題があるのは知ってて、でも比較的最近出た後継のOpenComm2でも同じなのは分かってて、でも新しい世代のシステム、特に今のOpenRun Proでは凄く改善されているのは知っていました。そして何度も量販店とかで視聴してて体感的にも違いを理解してましたが、いや、本当に比較すると明らかに気持ちよく楽に聞こえるんです。

正直「あーこれ欲しい」とは思っていましたが、当時は勤務環境上でちょっと大きな不安要素があって手を出せないまま数か月が過ぎてしまいました。が...

この夏の環境激変: 実は身の回りの環境も「音に対する要求」も変わってしまいまして

仕事の道具として買ったShokz OpenComm。日常仕事で使う分には何の不満もありません。ただし現場との往復や休日に出かける時などに音楽を聞こうとするとうーんとなる状況は変わりません。でもどうしようかとずっとグズグズ考える日々だったのですが、大人の事情でこの夏以降生活パターンというか仕事の環境と状況が劇的に変わった関係で通話よりも音楽を聴く時間が圧倒的に長くなりました。現状はTeamsで8時間つなぎっぱなしとか普通ではあり得ない仕事の状況も時々あるのですが、それ以外で通話の機会がほぼなくなりました。

そうすると音質的にずっと音楽聞いてると疲れてくることがあるOpenCommを何とかしたくなってきます。

ということで色々悩んだんですが、ついに 新しい世代の技術を使った最新のShokz OpenRun Proを手に入れました。そして前から持ってるOpenComは仕事で使うのに特化して、OpenRun Proはそれ以外の時間の音楽とか聞くとき用に。

今の時代の通話: 意外なほどあるTeams等での会議通話も骨伝導じゃないと聞き続けるのが辛いんです。

この時代、電話じゃないだろという話はありますが、私の場合それがスマホでの音声通話ではなくTeamsでの会議通話という形に変わっただけで、割と音声通話する機会があります。しかも1時間とか普通だし、月に数回はいろんな状況事情から8時間くらいつなぎっぱなしという状況もあったりします。

しかしそんな時、外見上なにも無くて本人にしか問題が出ない聴力の問題って他人には問題があることは伝わりにくいし、自分自身はいわゆる難聴あるいはそれ以上といったカテゴリには入らない程度の話=補聴器とかそういうレベルではないし、左右の音量差以上に左右の音質の差の問題が大きいので医者に相談してもなかなか解決策がない話なんです。

鼓膜を通して聞こえる音の聴力検査すれば明らかに3dbmとか6dbmくらいの左右での感度差があるんですけれど、内耳だけだとそれほど差はない状況。そしてそれ以上に左耳の上から後ろにかけて手術した結果できた空洞のお蔭で、そういう空洞がない右耳で聞こえる音と左耳で聞こえる音の質の違いがある話とか、ヘッドホンや電話を耳に当てるとその空間を押さえてしまうので左耳側の音が耳が詰まったような音に聞こえる話とか、相変わらず時々音から判断する方向感覚が怪しくなるとかなんとかかんとか。

とにかく鼓膜を通して音を聞く限り解決策がないという話なんです。加齢の影響でしょという話もありますが、少なくとも外科的に原因の一部があるのは確定しています。おかげで音楽を音楽として楽しむことを諦めかけた時期すらあったのは本当の話です。それが骨伝導イヤホンだと左右の音がきれいにそろって、しかも頭の真ん中に定位する。俺の内耳ちゃんと機能してるんだーというのがわかった時は本当にうれしかったんですよ。骨伝導めっちゃ偉いと本当に思っています。

そして個人的な事情: 骨伝導も色々ですがその時その状況の自分に合うものが見つかるととてもうれしい

だから音楽が聴けるんだったら少々疲れるとかは我慢しようって思って使ってたんですよ。
それがですね、私にとってShokz OpenRun Proの音ってOpenCommより綺麗に内耳に届くんです。買ってきて家で最初に付けてスマホとペアリングさせて音楽流した時にスマホから音が出てる気がして焦ったくらい自然に頭に音が流れ込んできて驚いたんですよ。マジ驚きました。OpenComと全然違うんですよコレ。それもこれも多分今の私の内耳などの状況に合っているからだとは思いますが。

しかし、OpenComはマイクブームが付いているお蔭で仕事の場では見た目から使いやすくて重宝するのですが、まさか使い分けの道を選ぶとは、俺ってなにやっとんねんな展開になっています。


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おことわり

なお、世の中には医療機器もしくはそれに類する聴力を補正するための骨伝導の機材というのがありますが、私の使っている骨伝導イヤホンは少なくとも内耳の部分で正常な聴覚を持っている人向けの商品であってそれ以上のものではありません。私の場合には外科的な原因による鼓膜周辺の筋肉制御の問題で日常生活の中で通常聞こえる音に対して問題が出ているのですが、内耳は全く問題ないので自分の聞こえにくさをこれで補えているという前提となる条件と状況があります。そしてそんな自分の体の状況について医師と散々話をした経緯を踏まえて選択した方向であって、誰に対してもお勧めする話ではありません。あくまでも日常聴力に問題がない方や何か状況がおありであっても状況や対処方法をご自身で完全にご理解されている方向けのお話だとご理解いただければと思います。

従ってこの機器はそんな私にとっても補聴器的な役割は果たしません。
それを一切期待しませんし期待するべき製品でもありません。目的が違うので。
更に言うと私と異なる状況や条件がある場合には医師の指導を受けるなど適切な行動と選択が必要です。

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