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通信業界特殊偵察部隊のモノゴトの見方、見え方、考え方

生活している人にとっての街の変化、そしてオーバーツーリズム

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神戸新聞の報道で今でも実家のある神戸の須磨にレッドロブスターが出店したのを知ったのですが、それについて「お洒落とグルメの街神戸は消えてしまった」とか言う話をネット上で目にしてしまって何言ってるんだよと思ったんです。過去なんどか日本での出店状況が危機を迎え、今現在は全国に20店舗前後があるロブスターのお店。
元々個人的には好きでした。
ただし気軽に行ける値段ではないし身近に店舗がなくなってしまって随分と経つので20年以上は行っていないんですけど。

生活の場という街の顔と観光産業

これはもう都市計画や地方創生の素人の私が言う話じゃないですけれど、どういう街であってもそこに人が住んでいるということは、オープンしてる間はキャストが暖かく迎えてくれるテーマパークではなく純粋に生活の場であるわけです。もちろんその場その街その地域の産業として観光産業に取り組む流れがあれば、生活の街に一定の外部の人=観光客を迎え入れることになるわけです。そして場を楽しんでもらってその場でお金を使ってもらうことが地域の経済を支えることになるのはよくある話なわけです。

ちなみにそこに来る人は一体何を期待してくるんですかね?というのが実は観光旅行に殆ど興味がない私の素直な疑問だったりします。正直良くわかりません。

百歩譲っていわゆる景勝地があるなら、まだわかるんです。でも町並みを楽しみたいと言ってる人が大勢押し寄せて、来た人は同じように来た人の人波と渋滞しか目にせず、そこで生活している人は普段の生活にも面倒なことが起きる、いわゆるオーバーツーリズムに悩む話はよく聞きます。
人が来てくれないと、そこでお金が落ちないと、地域の自然死への流れとして寂れていくのは耐え難い。
あちら立ててればこちら立たずを絵に書いたような話は珍しくないよねとちょっとだけ思ったりしています。

自分の眼の前の「生活圏と観光しにくる人たち」という関係

私が住んでいるのは横浜ですが、いわゆる港が見えるところではなく横浜の北の端。
海ではなく山です。
「何にせよランドマークタワーが見えていないと横浜ではない」とか乱暴な話があったりなかったりするんですが、一応上の方だけちらっと見えてるので勝手に安心しつつもちょっと行くと町田なので、よくある「町田は神奈川か東京か論争」や「町田は東京都にクレてやったが実質上横浜の植民地だという暴論」とか、果ては国道16号を挟んで町田と相模原の天気予報が違うってのはどういうことだよとかの話も含めて不毛な議論を地元の話として楽しめる場ではあります。

いずれにせよ横浜の北の端の単なる私鉄沿線の住宅地なので、ここには正直観光客は殆ど来ません。そもそも横浜駅周辺に出かけるのに「横浜行ってくる」と自然に言う程度なもの。
至極落ち着いた住宅地です。

かたや横浜でも例えばみなとみらいや山下公園あたりなど海に近い「横浜 of 横浜」は平日はともかく休日は本当に観光客がいっぱい来ます。中華街とかは元々人を呼ぶために発展したようなところだから混むのは仕方ないとして、イベント関係で人が集まるとかになるとものすごい数の人がその施設や場所の付近に集中するんですが、まぁそれでも比較的広く、かつ何かしら目的となるものがそれほど集中していない街の特性上、大混雑で大変な状況というのは比較的起きにくいとは思っています。
これは例えば都内の新宿や銀座、渋谷、あるいは秋葉原あたりにめちゃめちゃ人出があって混んでる感はあっても、それがオーバーツーリズム的に見えることが少ないのと同じかもしれません。ただしホテルやレストランなどが異常に混むのはどうかと思ってて、そこは流石に避けたりするわけですが、でも逃げる方法がないわけではないし、ある意味今に始まった話でもない。

かたや、アニメの影響で聖地となった江ノ電の踏切にひたすら人が集まるとか、バスや電車に地元民が乗れないほど混むとか、公共交通機関が人手が足りないから極端な減便や廃止に見舞われてる中で観光に来た人からなんで公共交通機関がだめなんだよと怒られたりとか、果ては楽しみにしてた渋谷のスクランブル交差点は要は単なる混んだ交差点じゃねぇかと憤る人がいるとか、各地それぞれ色々事情はあれど大変だよねとは思います。

人が来るのはありがたいし、そこで落ちるお金がないと地域経済が本当に立ち行かなくなるのはわかるけれど、別に入場規制をかけられるわけでもない。
あちら立ててればこちら立たずを絵に書いたような話は結構あるよねとやっぱり思ったりしています。

そして神戸

ちなみに神戸にロブスターの新しい店ができたおかげで「お洒落とグルメの街神戸は消えてしまった」とかいう話をみかけてしまって頭に血が登ったのですが、いや冷静に考えましょうよ。
レッドロブスター、安くないですよ。
しょっちゅう何千円も外食に支払える立場であれば別にいいですけど、よく見るファミリーレストランと同じ価格帯ではないですよ。

あ、そういえばファミリーレストランが日本で生まれたときのそもそものコンセプトは「ファミリーでも安心していけるレストラン」であって低価格なレストランでは無いんですけど、なんだかデッカイ看板つけたレストランの路面店というのにバイアスをかけて見ちゃう層はいるんだろうなと改めて思ったりしています。

ちなみに「お洒落とグルメの街神戸」について、いや、もちろんそういう側面はありますし、実家のある街としてそういう部分が好きなのは事実です。
でもね、いやそれでいうたら神戸には昔からありとあらゆるファミレスやチェーンのコーヒー屋やラーメン屋やお好み焼き屋や焼肉屋とか何でもあんねんけど国内に20店舗くらいしかないレッドロブスターが兵庫県初出店して何が問題やねんお前アホやろどんだけお花畑やねんそんな事お前に言われとうないわ、とか心の中で暴言を吐く気持ちくらいにはなります。

いや、もちろんシャレたところはぎょうさんあります。
うまい店も色々いっぱいあります。
昔も今も。
でもそれが神戸の全てや無いで普通に人が生活してる街やで... って思うんです。

私の感想ですけど。

今もそこにある昔の思い出

なおその流れで「須磨も昔はほんとおしゃれなとこだったんです。」とかの話も目にしてしまったんですけど、
「昔っていつの話やねん?多分海沿いのこと言うとるんやろうけど、それそもそも須磨区や無くて隣の垂水区の塩屋から垂水にかけての一部の、それもある時期の話やろ。それ以外は別に普通の海沿いの国道やでシャレた何かとか別にあれへんで。」
とも思ったり。

なお今回出店したところって須磨の海浜公園の海に近いところで、そこにこういうのが出来るとちょっと風景変わるなとは思うんですが、でも電車の駅から遠くて車が無いと行きづらい場所なので帰省したときにレッドロブスター目当てに海浜公園行くかと言うても... ちょっと行きづらい。
関東暮らしが長いけど今でも須磨海岸から「山の方に20分くらい走ったところ」に実家があって時々帰省していて、このレッドロブスターの立地に比較的近い須磨寺には所要で毎回行くんですが、親も既に車を持ってない状況の中をですね...

ならばタクシー?
バス?
レンタカー?
あるいは駅から歩く?
須磨寺に行ったついでに須磨寺から歩いたらひたすら海に向かって坂を下って20分くらいで行けるけどさぁ

うーん...
レッドロブスター好きなんですけどね。

そしてその先のオーバーツーリズム

ちなみに横浜も神戸も昔から観光客を大量に迎える場所故それなりの大きさの許容容量があると思っていますが、そんな歴史的経緯を持たず別の形で発展してきている街にとってこの「普通に人が生活してる街を見たい感じたい行きたい」という多くの人の意識から何故か急に意図しないオーバーツーリズムに見舞われたときの混乱や、ありがたい反面生活に支障をきたしたりあるいは地域のコミュニティーがなぜ観光客に間口を広げて明るく迎えることが出来ないんだと暴れる人たちの存在に泣く様子を報道などで見かけたときに「大変やね、でもなんでコイツら何が楽しくて大波のようにそこに押しかけて自分たちが作る人波の風景を見てるんやろねマジわからんわー」と疑問に思う自分の思考の原点だったりするんですが、それはまた別の話。

もちろん地域経済は大事だとは思うんです。そうしないと街が存続できない事態を招く危機もある。
やっぱり人が来てくれないと、そこでお金が落ちないと、地域が自然死してしまう。
あちら立ててればこちら立たずを両立させるのは非常に難しいのは良く分かるのですが、いや本当に難しいなと思います。

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