「ソースに当たれ」「発言者の背景を洗え」という情報に接する基本姿勢は絶対に大事
世の中有象無象多種多様な情報がその真偽を問わず乱れ飛んでいる中で日々自分自身の情報リテラシーが試されているわけですが、例えばYoutubeで私のところにお勧めで飛んできた [日本の裏通りで発見された一人の女性の正体が明らかになったとき、世界中が驚愕した理由] と言うコンテンツ。
でもこれ、ダウトです。
全部嘘のコンテンツです。
これはひどい
消されるかもしれないので内容をかいつまんで書くと、英国王室のキャサリン皇太子妃がG7に合わせて来日し、壊れてしまってスイスの製造元からも修理不能と言われた時計を日本国内の裏通りのさる修理屋に持ち込んだら一晩で治してくれた日本って凄いという話です。
でも実際にはキャサリン皇太子妃は日本に来たことはありませんし、更にG7同行したと主張していますけれどそもそも政治目的会合に英国王室関係者が同行することもあり得ません。またこのコンテンツの中で「海外の報道では」として述べている内容の情報源に一切触れていません。
そしてどれだけ探しても見つかりません。
そりゃそうです。存在しないんですから。
良し悪し別にして透けて見える作成者の意図
そして最後の部分でそれに対する特定の国の反応がどうよという話になっていて「制作者は要はそういう方向の話を創造したいのね」と判り易い結論になっています。
その国がどうのという話以前に構成が酷すぎます。
思想信条その他を全部横に置いてどれほど客観的に見ても余りに判り易く酷い内容なのでいい加減にしろと頭に血が上りそうですが、冷静に考えると明らかに特定の対象に関する偽情報を広める活動の一つなので、なんだか制作者およびチャンネルオーナーの背景を探りたくなったりします。
でも多分深堀りしても面白い事にはならないと思います。ある意味よくある話なので。
Disinformation(偽情報)のアプローチ
このコンテンツは日本凄いそれを非難する某対象国は酷いとメッセージを直接訴求しています。
それに対してDisinformation活動の方法として情報提供元を実在の政府団体や組織体に誤認させ、それを隠れ蓑に何かしらの対象に対して酷い批判を展開し、誤認させている団体や組織体に対する批判非難反発を招かせるというやり方がとられることがあります。
方や提供元が正確に名乗ったうえで褒め殺しが行われたケースもあり、過去に政治団体が対立する政治家に対して街宣車で大挙して褒め殺し街頭宣伝活動を実施して警察含め関係各位が対応に苦慮したケースもあったりしましたね。
実際のところ誰のどんな話が正しいのか、そして何が偽情報なのか何が欺瞞なのか意図は何処にあるのか等を自分の観測範囲や特定の立場から判断するのは難しいケースもありますが、少なくとも何等かの意図をもってある人や組織にとって最終的に不都合になる偽の情報を流す行動をとる人や組織の存在を意識しないというのはあまりに性善説を信じすぎていると言い切って良いと思っています。
「ソースに当たれ」「発言者の背景を洗え」
これは一つの例なのですけれど、昨今何か調べものの為にYoutubeで探し回る系の話が結構出てきてる中ではちょいと心配になります。
因みにこのあたりの話は例えばどんな情報をソースとして喰って結果を出してくるのか不明=出典を提示も証明もできない生成系AIサービスの話と同じだと思っています。「査読を受けた正しい情報」や「出典が明確になっている情報」とか全然関係ない世界で、誰が正当性を証明できる情報なのか、誰の権利を正しく引用参照している情報なのか、システムとして出した結果が使用している内容の権利をキチンと処理しているのか証明できない情報を利用していないか等々。
単に権利の問題だけでなく意図的に誰かが仕込んだ内容を「間違うこともあるさ」レベルの安易さで活用しようとしてるとしたら危険しかない気がします。
今の風潮の中で私が勝手に心配しても仕方ないのですけれど、改めて考えると世の中に何かしらの偽情報やプロパガンダを非常に容易に広めることができる素地が出来上がってしまっているわけで、やっぱりここは「ソースに当たれ」「発言者の背景を洗え」という情報に接する基本姿勢の大事さを改めて考え直すべきだなと思っています。