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通信業界特殊偵察部隊のモノゴトの見方、見え方、考え方

絶対価格と相対価値の相容れない感情

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あるモノが高いと感じるか、あるいは高いと思わないのか。
ここには絶対価格が問題になる環境にいるか、相対価値を相対価値として絶対価格をネグれる立場にいるかどうかが大きな要因でしょと昔から思っています。

特にケータイの契約や販売の現場にかなり近い立場にいるここ7年くらい、本当に思っています。ただし自分自身は販売に関与する立場ではないですが。

例えば何故廉価な端末を市場は求めるか

話はごくごく単純です。価値判断以前に物理的にお金が無いのが問題というのが市場のリアルな状況です。つまり「それ自身が持つ価値」など評価の対象ではなく「基本的な機能は必要だが、そのためにそんな金額を払う価値と言うものを自分は理解できない」もしくは「それが必要だけど私にはそんなお金が無い」のたいていどちらかです。誰が何と言おうがそれがリアルな現場の状況。

とにかく給与が上がらないと相対的に経済状況が強度のインフレーションあるいは下手するとスタグフレーションであるとしか見えない状況に置かれている層が存在するのは事実だと思っています。そうじゃなければ何らかの機能制限がつく契約形態が伸びたり、それこそ使わなければ0円とかいう契約に百万の単位でユーザーが飛びつく訳ないですし、そうじゃなくなったら流出する訳ですから。

例えば何故高機能な端末を市場は求めるのか

昔から言われていますけれど、ケータイ周りに限らず家電でも車などでも日本では一般的に機能フル装備の最上位機種ほど売れる傾向が今でも強いですし、昔ほどではないですけれど上位機種ほどあるいは高価な機種ほど先に売れます。
そしてそれを踏まえて供給側も廉価版あるいは機能制限版の製品の供給が後回しになるケースは稀ではないです。これは事実。

勿論利益率の問題もあって売る側はできる限り高価格のモノを売りたいという意思が存在するのは嘘ではないと思いますが、市場の(特に最初に飛びつく人たち)は高機能高価格のモノを求めることが多く、更にメディアでのレビューもそういうモノに偏るので、手に入れようとする人のその方向への志向がどうしても強くなるような気がします。
いや実際、各事業者各メーカーの廉価版だけを特集するようなレビュー記事なんて見たいことないし。あ、私が見たことが無い程度の話であれば、申し訳ありません。

結局自分が持つモノの価値を決めるのは自分自身なわけですが

何に対して幾らなら適正と考え、幾ら以上だと高いと考えるのか、あるいは単純に安ければ良いのか。これは本当にその人の立場 / 立ち位置 / 経済力 / 価値基準その他の総合判断となるとは思います。ということでここで結論めいたことを言わずに本稿は終わるのですが、持ち物に対する価値基準というのは一様じゃないなというのを改めて考えたりしています。
更に言うと、仕事柄特定のメーカー / ブランド / 製品群等に強い思い入れがある人のお話を耳にすることがちょくちょくあるんですが、そういう時に「コレを使わない奴は何も分かってないし、ましてやアレを使うとかどうよ」論を拝聴することが時々あります。
でも私自身はそういう時にお題に上る「アレ」を結構な確率で使っているのを言い出せず一人寂しく気まずい思いをしてたりするんですけれど、それはきっと私のモノに対する思考と指向と嗜好がその人たちと違うだけだからと思い直してニッコリ笑って知らないふりしたりしてます。

他人様の思いを否定する必要など私にはありません。
でも自分の好きなものを否定されるとちょっと残念ですけどね、さすがに。

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