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通信業界特殊偵察部隊のモノゴトの見方、見え方、考え方

マエストロの白熱教室

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はるか昔の学生時代、高校の頃はエレキベース、大学ではオーケストラでコントラバスを弾いていた私。就職してからは残念ながら楽器に触れることは殆ど無くなってしまいましたが、それでも常に音楽が身の回りにある生活がずっと続いているような気はします。よくよく考えるとカミさんも元々ホルンやフルートを吹いていましたし、息子はバイオリンを弾きつつ学校の吹奏楽部でホルンを吹いてるような環境ではあります。

更に言うと実は毎日利用する駅の直ぐそばに非常にマトモなホールがあって、それこそNHKのクラシック番組の収録をやっていたり、驚くような人のコンサートが開催されていたりする、本来は非常に恵まれた環境に居るのですが、気がつくと忙しいやら金が無いやらなんやらかんやらと理由や言い訳が積み重なってホールで音楽に触れる事が殆ど無いという残念な状況をかれこれ何年やってるのだろう、という感じです。

でも、そんな中、先の週末に「マエストロの白熱教室」と題したコンサート… というか公開授業を見に行きました。先生は指揮者の広上淳一さん。生徒は東京音楽大学の指揮科の皆さん。で、結論から言うと、いや、面白かったんですよ、これ。

 

今年が2回目の開催だったマエストロの白熱教室

マエストロの白熱教室2014 指揮者・広上淳一の音楽道場 という今回のコンサート… じゃなく公開授業。実は時間で言うと3時間半に及ぶ長丁場だったのですが、ベートーベンの交響曲第三番を題材に、生徒さんが出てきて先生の指示する楽章を振り、それについて批評しつつ同席しているほかの先生のコメントを貰いつつ途中で漫談(笑)を挟みつつ、という感じで、長さは殆ど意識せずに時間が過ぎました。因みに「授業」なので、全曲通しでの演奏はありませんし、広上さんが振ることもありません。

いや、しかし楽しかった。
もちろん私自身もそれなりに(数は少ないけど自分がステージに上がったのも含めて)色んな指揮者が振るオーケストラの演奏を聴いていますが、同じ曲をその場で色んな人が振るところと言うのは流石に経験した事が無いので、これは本当に楽しかった。こんなにみんな違うんだというところと、演奏する側との呼吸の取り方や反応がこんなに違うのっていうのは、まぁもちろん判ってはいますがそれを目の前で比較する状況ってのは、いや、楽しい体験でした。

 

因みに、いわゆる「学生さん」は勿論居るのですが、それだけじゃない凄さ

実は広上先生は東京音楽大学の指揮科の先生でもあるわけですが、そこの「生徒さん」には実は既にプロの演奏家として第一線で活躍されている、それこそ誰でも知ってるといっても過言でない方がいらっしゃいます。今回も超有名なヴィオラのソリストの方、日本のハープ奏者の第一人者、そしてNHK交響楽団の木管楽器の首席奏者を勤める方が夫々現役生徒として、あるいは既に指揮科を卒業された研究生としてその場にいらっしゃって、広上先生の指示された楽章を指揮されるという場がありました。

もちろん「普通の生徒」の方もそれなりに音楽に思い入れがあって敢えて指揮科を選んでいるわけですが、自分の専門の楽器を通して自分の世界を確立されている方が指揮者という立場に自分を置くために勉強し、音楽に向き合い、そしてオーケストラと対峙するというのは、これは正直凄いなぁと思いました。

でも、何が凄いかって?

 

立ち位置がしっかりしていると出てくるモノが全然違う

たとえば同じベートーベンの交響曲第三番でも、自分自身が演奏家として色んな人の指揮の元でその時点でのオーケストラや何らかのアンサンブルの中で演奏していたり、あるいはその場に立ち会っていたりしているわけです。そういった自分の経験の中で思ってきたこと、体験してきたこと、培ってきた事、あるべき姿として思うところ等などが、本当に嘘みたいな話ですが背中からですら感じられたんです。

実際、この「授業」で演奏していたのは東京音楽大学の学生さんを中心とした言わば急造のオーケストラですが、正直「普通の生徒さん」が振っているときと、これら「第一線の音楽のプロである”生徒”さん」が振る時とで全く音が違うんです。そりゃ指揮者により音が違うというのは自分のつたない経験でも判ります。でも、その場で比較するというのは音楽系の学校の授業ででも無い限り滅多に無い話だし、実際に公開レッスンとして開かれているその場に居合わせると、もう… いや、もういろんな意味で本当に凄いと思った次第です。

凄く有態な言い方をすると、本当に指先、指揮棒の先から、その表情から、そして立ち居振る舞い全てから生き様と思いがあふれ出てくるみたいな、本当にそんな場に居合わせる事が出来たんです。その意味で、凄く良い週末を過ごす事が出来ました。

 

それを踏まえつつ、ふと自分の事を考えてみる

それこそ「第一線のプロ」が自分の範疇の事を手がけるときにはどういう気構えであるべきか、そこから少し離れてもどういう気概でコトにあたるかあたるべきかという事を少し考えています。いや、なんかそんな事を考える事がここ数年ずっと続いていたりしています。

もちろんそれなりに年も食いましたし、それなりに経験もある。それを踏まえつつ自分の足元をどう眺め、どこに向かうべきなのかってのをちゃんと考え直さなきゃなぁ、と日々思ったりしています。

じゃぁ何をどうするのよってところは例えばFacebookあたりには日頃色々書き散らしてたりはしますが、いざそれを纏めてブログのような形で文章にしようとすると、チョイと腰が重い。でも長い人生そんな事もありますよねと誰に同意を求めるわけでもなく独り事を呟いてみたりするんですが、そんな煮え切らない自分に対して「お前は何ができるって言ってるんだよ何がしたいんだよ言ってみろよ!」と背中をどん!と押されたような、私にとってはそんなマエストロの白熱授業でした。

 

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