仕事の場でのドレスコード という古くて新しい話
あくまでも個人的な話なのですが、暑い季節の「クールビズ」は寒い季節の「ウォームビズ」より槍玉に上がる気がしています。歴史的には第一次小泉内閣時代の環境省のキャッチフレーズ公募に端を発するクールビズの方が長いとは思っているのですが、特に暑い時期だとその前の1979年のオイルショックに端を発するときの大平首相が提唱した「省エネルック」なる半袖スーツの時代も知ってるので、最後は着込めば済む寒い時期よりもエアコンの利用でのエネルギー消費が目に見えやすい夏の服装の方が騒がれやすいのだろうなと思いつつ、そもそも薄着が前提のなかで目立つわけですから、色んな立場から色々言いやすいよねって事なんですよね、きっと。
服装のあるべき姿原理主義の意義は理解してるつもりではありますが
たとえばビジネスの場ではきちんとした見た目が大事だからスーツを着ようという話。たとえばドレスシャツの下に下着は着るべきではない、あるいは着るなら襟元から見えないようなものを着るべきだという話。たとえばスーツのボタンは幾つであるべきだとかシェイプはどうであるべきだという話。たとえばネクタイは小紋や無地を基本としてレジメンタルタイはダメだよという話。
いや、わかります。大抵の場合、言いたいことはわかります。因みに言ってる人の嗜好(イタリア命とかスーツはイギリスの歴史が全てを凌駕するのだとか、果てはアメリカなんか全然ダメだよとか)が大きく左右するところもあるので一概に賛成できなかったり反論したくなることもありますが、とりあえず言いたいことはわかります。
ただしあまり原理主義的に突っ走るとトレンチコートを着るなら手にライフル頭には鉄兜じゃないとおかしいよとか、ボタンダウンのシャツをスーツに合わせるために売ってる店に対して「お前はスポーツウェアのショップなのか」と怒鳴り込みそうで怖いとか色々言いそうな自分が怖いのですが(笑)
とはいえ私の服装は隙だらけ
でも、私には常に一部の隙も無い状態で常に居られるかどうか・・・ いや、無理です(笑)
そもそもそれ以前にそういう服装を求められる場が(特にここ数年は)少ないので、原理主義な方から見ると「なんだよこのわけの判らん服装してるおっさん」と見えると思うのですが、結局のところ乱暴に言うと必要なときに必要とされる格好が出来れば良い状況だったりします。
じゃぁ普段どうよと言われると、一応勤務先でOKの範囲でジーンズだったりチノパンだったり、で、ポロシャツだったり適当にドレスシャツ系の袖をまくってたり。因みにシャツの胸元から時々陸上自衛隊や米軍の迷彩のTシャツを着てたりするのはご愛嬌(多分ここで色んな人の非難を浴びる?)なのですが、更に足元は夏でも冬でもスーツを着ない日はブーツだったりする、かなりいい加減な服装だったりします。
だめですね。「ビジネスパーソン」失格です。
いや、それでもスーツを着るときには着ます
もちろん必要ならちゃんとスーツ着ますし、実はスーツを着るときにはどんなに暑いときでも長袖のシャツを着るというのは原理主義的なところとは別に自分で決めてるんですけど、これはあくまで自分の趣味の問題。別に誰に言われたからという話じゃありません。
更に言うと自分が好きなのは、いわゆるⅠ型と呼ばれる三つボタン段返り中ひとつ留め+ノータックの比較的スリムなパンツを合わせるアメリカ系のスーツにボタンダウンのシャツなのですが、これが既に今の時流からは完全に取り残されたもので、いわば本家たるブルックス・ブラザーズですら殆ど無くなり、J-PressやNew Yorkerなど一部のメーカーのモノなら今でも売ってる代物。
ただし、私がこれを着だしたのはアイビーリーグのブームが去った遥か後の1980年代半ば以降で、その時点でも実は少なかったし、それこそバブルの頃なんていわゆるソフトスーツ全盛だった頃は本当に少数派だった代物です。そう。言ってみれば最初から時代遅れだったんですが、古典は古典だし、もうそれ以上変わりようが無いので、ある意味何時でも安心して着てられるし、それほどおかしくも見えない(と自分は信じてる)し。
ただ、何れにせよ、あまり着るもので冒険はしなくなったなぁとは思います。落ち着いた訳では無いですが、いわゆる「メンズファッションのお店」の前を通ってもあまり興味を惹かれない。向上心を失ったとかとは別の次元の話だとは思いますが、でも、やっぱり歳のせいかなぁ。