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UNESCOの年内活動の緊急縮小にみる、文化活動と政治は別という考え方の矛盾

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国連教育科学文化機関(ユネスコ)は国連の1つの主要機関ですが、当然その活動には資金が必要です。しかもそこらのNGOやNPOとは桁違いの資金が必要で、個人や企業などの献金に加えて国連加盟各国からの拠出金をベースとしてるわけです。

その活動自体は政治とは基本的に切り離された形で展開されるわけですが、拠出金を負担する各国がそれぞれの信条と行動原理においてユネスコに対して何かいうコトが無いかと言うと嘘になるのも事実。いや、そんなことないでしょって?でも誰しも自身の行動原理に基いて譲れないところがあるわけですよ。そして譲らない事もあるわけですよ。

 

パレスチナのユネスコ加盟に端を発して・・・

国連自体には加盟していないパレスチナがユネスコに加盟したのは10月31日。パリで10月25日から11月10日まで開催されていた総会において圧倒的な賛成で可決されて加盟が承認されたわけです。ユネスコへの加盟は国連自体への加盟を必要とはしないことから実現したわけです。因みにこのときに日本やイギリスが棄権したのって対米従属だ許さんぞこのやろう的な声が一部で上がったりしましたが、総会の決議は決議。

ただ、その前後左右表側裏側で色々と動きがあるのは事実で、その1つとしてユネスコから年内活動の縮小と献金の呼びかけに関するメッセージが出たのは総会最終日の11月10日。

The United States announced the with-holding of their dues after the admission of Palestine as a UNESCO Member State on 31 October. They were required to do so by national laws dating back to the 1990s. The sum of $65m corresponds to the amount due to UNESCO by the United States for 2011.

Click online and donate to UNESCO

これをどう見るかというのはその人の信条や立場によるとは思います。パレスチナの加盟を快く思わない事に対してこういう「報復」と呼べるような行為に出るべきではないという話なんてのは普通に出てくる話ではあると思います。もちろんそれはいくら私でも理解できます。

ただ、拠出金を国として分担する中で、国内世論やら為政者としての方針方向、歴史的経緯などなどを全部ひっくるめて考えた場合、当然こういう動きにでるよねというのも簡単に想像できます。平たく言えば兵糧攻め。でもそんなの卑怯だって?まぁそういう風に思う気持ちは判りますし、本来そういう行為に出るべきではないという気持ちを私自身も持ちますが、それは現実の国際関係の前では頭の中のお花畑に過ぎないというところは冷静に見るべきじゃないかと思います。

 

別にここでユネスコへの献金を呼びかけるものではありませんが

単に世界遺産の登録を担当しているのがユネスコじゃないわけで、その活動自体はとても幅の広いものです。その枠組みとして国連の一機関でありながら国連自体への加盟を必須としないという中立性の持たせ方などを含め、非常に面白い組織体である事は間違いないんですが、なにしろその活動にはお金がいるのは事実。

ところで、じゃぁそもそも国連ってどうよという話をし始めると歴史的経緯やら何やらをキチンとしていないと議論が全くかみ合わないという光景を良く見ますが、そういうものを全部包含しつつ、EUの話や、それに引っ張られる価値での世界経済の状況など諸々をチラチラと横目に眺めるのは大事だよねというコトを再確認した次第。

 

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