閉じた世界のiCloudってAppleのシステムのユーザーじゃないから関係ないや
相変わらずクラウド系と目される情報が飛び交っていますが、そもそも1980年代半ばにデータセンターの営業としてIT業界に入り、その後当時のVANサービスとかにも微妙に関わったワタシ的には「根本的には当時から何も変わって無いじゃん」という非常にシニカルな目を持っていたりするんですが、もちろん技術的に今だからできることってのが一杯あるも理解してます。
そりゃそうです。だってあれから30年近く経ってるんですから。
閉じた世界だからクラウドだと言っちゃいけないわけではないけれど
マイケル・ポーター先生の顔を思い浮かべるまでも無く、競争性優位を勝ち得るための囲い込み戦略というのは業種業態を問わず多かれ少なかれあるわけですが、IT業界におけるAppleの自社のポジションに対する思い入れの強さというのはそれが行動原理の全てじゃないかと思えるほどです。勿論このあたりの感じ方は人それぞれで、「お前はAppleが嫌いだからそんな事感じるんだろ」とか言われかねない話ですが、実際のところ私自身はAppleの製品を事実上何も使っていない人で、その動向をどちらかと言うと外からぼんやり眺めている人ですから、そういう風に感じる部分が何かしらの製品のユーザーよりも強いかもしれません。
でも嫌いとかそんな話じゃないですよ。それは事実。
そもそも嘗て長く携わっていたイベントや映像制作、あるいは印刷物等の制作の分野でMacがどれほどの役割を果たしているかっていうのはとてもよく理解していますから、別に拒否する云々という感情が無いのも事実なんです。ただ、自分自身がMacじゃないと困る状況になった事が無いので、ある意味消極的な理由ではありますがWindows環境を使い続けているだけ、といえるかもしれません。。
そもそも非常にニュートラルな立場を取っているつもりです。
というのは前説なのですが・・・
サービスが環境を選ぶというのは一種の踏み絵
iCroudが求めるのは、クライアント側の自社製品環境。まぁ見事な囲い込み戦略です。そこに有る一定上依存してしまうと他に引越しするのも大変になる。う~ん。見事です。
で、世の中には同じようなサービスは既に幾らでもあるし、これからも色々と出てくるはずです。特定のゲーム機とかの専用ネットワークではないにも関わらず、Macだけに許す環境と言うものが他と比較してどうやれば選ばれるようにするにはどうするか。そこでクライアント側の環境と同じブランドが提供するというのは、ユーザーにとって一定の品質を担保しているように見えるので囲い込みがしやすいと言えるわけですよね。しかもかなり強固なカストマー・ロイヤリティーを得られているAppleだからこそ囲い込みサービスが成立する事も納得できます。う~ん。見事です。
逆に言うと、今までのハードウェアやソフトウェア、あるいはサービスよりも強固にユーザーを囲い込む以上、他社への乗り換えに対して非常に強い壁として存在できるわけで、ココを通るかどうかが一種の踏み絵とも言えるんじゃないかと思います。因みにこのあたりの動きを他のブランドがやっても「お前のところだけしか使えないってのは有り得ない。アホか」と言われて終わるような気がしますが、それで終わらずに済むという強さを持ってるのもわかります。う~ん。見事です。
でも、ブランドに対して一歩引いて見てると、そうなんですね?と一言で終わるわけですけど。
そういう私はそもそも相手にされていないわけで
そもそも「市場」をどう定義するか、その「市場」の中でどのようなポジションを取るのか、その「市場」のなかでどのように生きながらえるのかという基本的な戦略が非常に良く見える気がします。これは良い悪いの話ではなく、存在意義の定義の問題なので良い悪いという考えとはある意味関係ない話です。
因みにこれを別の面から見ると、自分自身で規定している市場が非常に判りやすく、色んなモノを勉強したり検証したりする上で良い材料となるんじゃないかと思います。もちろんだからと言ってAppleの動きを真似するべきだとか、逆にそれとは違う事をやるべきだとか短絡的に結論を出す話でもありません。
でも、じゃぁそんな世界を自分で使いたいと思うかどうか。少なくともMacを持っていない時点で対象じゃない私が四の五の言う話ではないんですけど、オープンな世界の中にブランドのロイヤルティという御旗の元に閉じた世界を展開してビジネスの幅の広げるという方法論は、実はいろんな意味で面白いのかもしれないなと思っています。