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通信業界特殊偵察部隊のモノゴトの見方、見え方、考え方

展示会で併催イベントが増えるように思える訳

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最近良く言われるのが、展示会などで単独開催ではなく併催イベントだらけの展示会が増えているよねという話。確かにそうかもしれません。でも、実はイベン トは晴海見本市会場全盛期の頃から集中と分散、勃興と淘汰を繰り返しています。したがって、正しくは「最近」ではなく「相変わらず」なのかもしれません。

単独開催の展示会では、ある程度以上の規模になると実は中でいろいろなテーマごとにゾーンを分けます。そのゾーンごとに出展者を募り、来場者を誘導しま す。そのテーマや内容が非常に注目されているとか、これからこれが来る!と主催者が判断すると独り立ちして単独イベントの看板を持つようになります。でも 個々のテーマは生もので、何年にもわたって一貫して使えるテーマというのはなかなか存在しません。特にITや通信といった変化の激しい分野では、イベント 自体のテーマ設定云々以前に製品などの属するカテゴリーが陳腐化して消滅したり、出展するべき企業の顔ぶれ自体が変わったりします。したがって、当然のよ うに毎回形が変わります。大規模なイベントだと準備に1年以上もかかったりしますから、テーマや内容の検討は非常に難しい問題です。

もちろん主催者としては、何かしらそのイベントの軸は作ろうとしますから、あるテーマが基本となり、その周りで色々なテーマが意図を持ってゾーンとしてま とめられたり、あるいは別の看板を持った併催イベントとなるわけです。セミナーのトラック構成の考え方も似たような話ですね。メインの基調講演トラックが あり、ブレイクアウト・セッションがあるというのは正にそのとおりです。

ただ、もっと大きな、たとえば主催者の企業統合等の流れで、本来無関係であった複数の展示会やイベントを一緒にしてしまうケースが全く無いわけではありませ ん。結果として全く関係の無い複数のイベント同士を糊でくっつけたように、無関係かつ無秩序に併催イベントとして実施されてしまう事も稀にあります。た だその場合にも、大義名分としては別のイベントの来場者がそのイベントの出展者にとっての共通の、あるいは新しい顧客となる可能性がゼロではないなどと いった理由が出展各社に対して説明できれば、実施することが多いようです。しかし、その辺の事情は来場者には関係ないので、結果的に併催イベントだらけで 開催していて、あるひとつの展示会に入場登録すると他のイベント全部を見られたのだけど、何だかよく判らないイベントだったという評価になるのではないか と思います。

出展者の立場では、それぞれのイベントの企画内容や特性、来場者の属性、前年や当年の出展者の顔ぶれを見つつ個別に判断するしかないのが通常です。とにか く幾つも行ってみるしかないのですが、出展社の立場の目線と来場者の立場の目線では同じ展示会やイベントが違って見えますから、気をつけないとそのイベン トの評価を間違ってしまうかもしれません。

逆に主催者の立場だと、そのイベントへの内容や開催することそのものへの思い入れと並行して、いかに出展社を集めることができるか、いかにコミットした来 場者を集めることができるかを考えて開催企画を考えます。主催は慈善事業ではなくビジネスですから、そこは毎回シビアに考えることになります。結果として 前回開催内容と変わることが多いのですが、テーマのレベルでの統合や廃止は目立たなくても分離は目立つので、併催イベントが増えるように見えることが多い ようです。

誰を擁護するわけでもないのですが、出展者、主催者、そして来場者のそれぞれの立場と求めるものが違うので、正解が無いというのが実情かもしれません。

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