「木の上に立って見る」と書いて...
おはようございます。
雨の予想の1日ですが、早朝はまだ降っていませんでした。濡れずに出社!
===ほぼ毎朝エッセー===
「漢字ってよくできていますよね。漢字を発明した中国人ってすごいですよ」。
先日、ある会長さんと飲んでいたのです。そのときの話題です。
「例えば、『親』という漢字です」。
『親』という漢字のどこが凄いのかがちょっとわからずにいました。
「『木の上に立って見る』と書くじゃないですか。あれって本当にすごいです」。
親として子供の育ち方に様々な望みをもつものですが、子供は親の思う方向には行かないものです。自分もありました。私が高校生のあるときでした。父から話しかけてきたのです。
「史郎、おまえは数学と英語が得意じゃないかぁ。慶応の経済とかって受験科目がその2教科みたいだけど、おまえ、向いているんじゃないか?」
唐突にそう聞かれたのです。経済とか政治などには全く関心が無く、将来は技術的な研究開発をやろうと思っていた当時の自分は、無下にもこう言いました。
「慶応の経済なんか行ったってやること無いよ~」。
父は少しがっかりしたようでした。どうやら、私が文系に進み、そこから外交官試験を受けて親子外交官になる夢を描いていたのでしょう。
そう。親の思ったように子供は進みません。だから親は『木の上に立って見る』だけです。閑話休題。飲みの場に戻りましょう。その人は続けます。
「でも、見ていてあげなければいけないんですよね。そして応援してあげる。いざという時には救いの手を差し伸べる必要がありますね」。
その人は、昨年社長を引き継ぎ、会長職に。息子さんは料理人の方向に。金沢の有名旅館で8年間修行した後、数か月前に和食のお店を開いたのです。そこに連れて行ってもらいました。応援しているのですね。
「お店を開くときには、単にお店を開くのではなく、最初から株式会社にして、しっかりとしたものを作るようにはアドバイスしました。資本も若干出しましたよ!」。
「『木の上に立って見る』か。なるほどねぇ」と、痛く感心したのです。そして、私が自分の子供に対して、それができているか、ちょっと反省もしたのでした。さらに、きっとそれは私の会社に対する立ち位置でもあるのだと気が付いたのです。