旅館の親父が船で釣ってきた魚を振舞うみたいだね
★CACHATTOという製品を開発して売っていて、そのなかでつくづく思うのですが、マーケティングというのは難しいです。試行錯誤の連続です。
【朝メール】20091127より__
===ほぼ毎朝エッセー===
□□漁船なのか釣り船なのか
「なんだかね、君たちの販売活動を見ていると、トロリー漁船に乗って魚をがばっと取りに行っているんじゃなくて、旅館の親父が釣り船で魚を取りに行っているように見えるんだよなぁ。」
2年ほど前のことでしょうか。東レの、うちを管轄してくれている経営企画室にいらした坂木さんが盛んに言ってました。(e-Janは東レのベンチャー支援制度で立ち上げ、現在も資本が33%入っています。) その通りだと思ったこと、当時の【朝メール】に記載したことがあります。実際に、釣り糸を海に垂らしていて、案件がパクッと来てくれるのを待っている感がありました。
その後2年経過してどうでしょうか。相変わらず、マーケティングで仕掛けているというよりは、案件を待っている感が否めません。それでも、それなりの頻度で受注をいただけるようになっています。仕掛けライクなことといえば、docomoさんが撤退する類似サービスのお客様をスムーズに引き継げるように一緒に動いたり、販社さんを活性化させるための教育コースを立ち上げるなどの活動を実施しています。この12月にもこのブログでもお世話になっているITmediaに広告を出して、キャンペーンを打ち出していきます。
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昨年は、CACHATTOとそっくりなサービスを、ある携帯電話メーカーが打ち出して参入してきました。ネットワーク部分はサービス提供者が提供して、月額でサービス提供し、さらに、そのメーカーの携帯電話には、端末に最適化されたアプリで、メールやスケジュールがパソコンのOutlookで見たときのような見え方をするというものです。添付ファイルなどもイメージできれいに見えます。
このサービスを立ち上げるニュースは1月に流れ、3月までで一挙に10万ユーザーを獲得するのだと謳っていました。自分たちとしては、ここに負けるわけには行かないと、内心ひやひやしながら、添付ファイルのイメージ変換や、基本機能の充実を急ぎました。それから10ヶ月経ちます。どうも動きが鈍いと思っていたら、昨日池見さんの行ったお客様経由の情報で、そこも撤退するとの話が確認取れたのです。
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それこそ何億円もかけて、大手メーカーが参入してきたわけですが、事業の採算が取れないと撤退をしていきました。採算が取れない大きな理由は、NotesやExchangeなどの各種グループウェアとの接続部分に苦戦するからです。さらには、導入に苦戦した割に、ふたを開けると、利用者がそれほど多くないという点に愕然としているというパターンでしょう。
そう、トロリー漁船で向かうのですが、その先に魚群が無いのです。まだ魚群を成していないのです。「旅館の親父」と揶揄されますが、魚群がまだ存在しない状態のところであれば、釣り船で糸をたらして一本釣りすることが正解なのです。
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魚群はこれから形成されていく予感は強いです。そして、自分たちはそこに向かって着実に事例を積み重ね、ノウハウを蓄積し、製品を改善し、マーケティングの一環として販社の教育の実施や広告宣伝などを進めています。魚群を作っていく啓蒙活動でもあります。
一攫千金を試みて競合が参入してきては撤退をするという分野に我々はいるようです。どうやら一攫千金を求めることがアプローチではなく、地道な積み重ねをして、全体的な弾み車の勢いを蓄積していく、その状態が我々の価値そのものを高めるようなスタイルが正解なようです。こんな体験ができているって、実にやりがいありますね。
★この【朝メール】に先輩経営者からコメントをいただきました。
釣り船で魚を取りに行って、お客様に喜んでいただける、旅館業の親父さん!お客様は、旅館や親父さんのことを良く覚えていて、又泊まりに来てくれるし、親父さんや旅館の従業員は、お客様のことを覚えていて、再会を歓迎してくれる、そんな商売も大切ですね。