株式会社西口敦事務所 西口 敦さんから学ぶ仕事の流儀 ~ 信頼される人は、相手の意図が汲める人 。オンラインイベント成功の鍵~
「西口さんから学ぶ仕事の流儀」を書きたいと思った理由
エバンジェリスト 西脇 資哲さんから学ぶ仕事の流儀 ~ 相手の仕事も、自分の仕事も増やさない. ~以来、久しぶりに「〇〇さんから学ぶ仕事の流儀」を書きたいと思います。このシリーズは、「この方について書きたい!」という思いが降ってこないと書かないので、実に1年半ぶりです。
①4/19「海外にいる日本人プロフェッショナルらに、各国コロナ事情と示唆を伺う対話」
海外各国に住む日本人プロフェッショナルによる議論。
世界各国から500人以上が参加
②4/26「コロナ下の金融まわり放談会」
海外各国に住む金融プロフェッショナルによる議論。
世界各国から約700人が参加
③5/17「海外諸国のコロナ出口戦略を聞く会」
抑え込みと出口戦略に先んじている海外各国に住むプロフェッショナルによる議論。
世界各国から650人以上が参加
西口さんは、企業コンサルタントであり、GLOBISでも教壇に立たれています。(西口さんのプロフィールは、インターネットで検索できるのでここでは割愛します。)
西口さんがプロボノとして不定期開催される個人向けコンサルティングやプライベートイベントは、枠が限定されているので、募集開始から数分でSold outしてしまうプラチナチケット。リピーターが多いので、運と縁と感に恵まれないと、このプラチナチケットを手に入れることができません。また、今回のように上限設定しない時は、あっという間に500人越えになります。
今回、「書きたい!」と思ったのは、この貴重なプラチナチケットを手に入れられたからではありません。オフライン(対面)の代替手段ではなく、オンラインでしか実現できない価値を追求すると、オンラインイベントは全く別物になることを上記の3回のイベントで体験することができたからです。
『信頼』の可視化
「信頼」が重要であること、定量的な可視化が難しいことは、誰もが知っています。今回のオンラインイベントをとおして、「信頼」を定量的に可視化できると思った点をまとめたいと思います。
①企画から開催までのスピード(日数)
今回のイベントは、いずれも、企画から実施まで5日以内で開催されていました。オンラインイベントとはいえ、コロナという未知のものをテーマに「みんなが知りたいコト」を「みんなが知りたいタイミング」で提供するには、テーマに精通したプロフェッショナルと「信頼関係」が築けていないと、この短期間で企画・開催することはできません。
「信頼」の総量が多い人=魅力的なイベントを「短期間」でアレンジできる人であり、オンラインイベントよって、そのことが可視化されやすくなったと考えています。
②情報の『質』×『量』
最前線で活躍されているプロフェッショナルから提供される情報は、鮮度が高く、洗練された『最新情報(事実データ)』であることは言うまでもありませんが、『プロフェッショナルとしての考察(仮説)』の「質」と「量」が、今まで体験したことがない世界でした。これは、参加者が「西口さんのFB友達限定」という「信頼」の元で話されているからこそ、実現できていると感じました。そして、スピーカーだけではなく、何百人もの参加者側にいるプロフェッショナルの方々がチャットに書き込む情報によって、超高速で「質」の高い情報が集積され、「量」が増えていく様子は、まさに、オンラインでなければ実現できないことだと感じました。
「信頼」の総量が多い人=価値ある情報を「大量」に集められる人であり、オンラインイベントによって、そのことが可視化されやすくなったと考えています。
③誠実に『断る』ということ
今回のオンラインイベントで、西口さんが誠実にお断りをする場面を目にする機会がありました。1回目は、チャットに書き込まれた質問に対して、「〇〇さん、ごめん。せっかく書いてくれたけど、△△(理由)なので、今回はパスします」と言われていました。2回目は、西口さんのFB友達の方が「パートナーから西口さんに友達申請をしてもいいですか?」という質問に対して「いたずらにFB友だちを増やすことが目的ではないので、ごめんなさい」とお断りをされていました。
西口さんのFB友達限定という『信頼』の元でコミュニケーションが行われているので、判断基準を明確にした上で、誠実に『断る』ということは、とても大事なことです。
私は、コミュニケーション研修で「信頼されるコミュニケーション」の4つの約束を提唱しているのですが、オンラインイベントの場合、オープンチャットを利用することで、「信頼されるコミュニケーション」が実行できているか否かを可視化しやすくなったと考えています。
相手の意図を汲むチカラ
世の中には「信頼される人」をテーマにした本や記事が数多く存在します。数多く存在するということは、「信頼される人」に興味を持っている人がたくさんいるということです。私も「信頼される人」でありたいと思っている1人ですが、自分が「信頼される人」かどうかを客観的に判断することは難しいと思ってきました。
今回のオンラインイベントをとおして、「信頼」の総量は、いくつかの指標で可視化できることに気づきました。そして、「信頼される人は、相手の意図を汲める人」であると感じました。
仕事をしていると、相手の意図を汲んでくれる人と、汲んでくれない人(または、意図を誤解する人)に遭遇します。後者の方と打ち合わせをしていると、的外れのコメントや質問をされることが多くなり、Aについて話をしている状況で、Bについて質問をされたりします。
仕事を依頼する側としては、意図を汲んでくれる人の方が期待どおりの結果を出してくれるので、意図を汲んでくれる人に仕事を依頼したくなります。そうやって、一緒に仕事をすることが多くなり、常に期待以上の結果を出し続けることで、「信頼」の総量が増えていくのだと思います。
今回のオンラインイベントをとおして、オフライン(対面)の代替手段ではなく、オンラインでしか実現できない価値を引き出せるかどうかは、ファシリテーターの「力量」で決まるということを確信しました。
従来型のオフライン(対面)であれば、質問者に挙手をしてもらって1人ずつ対応する形が多いので、「良い問い」が出るかどうかは、質問者の「質問力」に左右されます。一方、参加者が多いオンラインイベントでは、チャットに質問を書き込む運用が多いので、どの質問を選びとるかは、ファシリテーターの「力量」に左右されます。
オンラインイベントのファシリテーターは、限られた時間の中で、何百人もの参加者から寄せられる質問を瞬時に判断し、「良い問い」を選び、その問いに適切に対応できる人をアサインするというスキルが求められます。今回のオンラインイベントの企画者兼ファシリテーターであった西口さんも、大量の質問の中から「良い問い」を選び、時にスピーカーに、時に参加者側にいる別のプロフェッショナルに「無茶ぶり、ごめんねー」といいながら、最適な方に「問い」を投げかけながら進行されていました。
オンラインイベントは、参加も退出も簡単にできるので、最初から最後まで参加し続けてもらうためには、ファシリテーターの「力量」が今まで以上に鍵になると考えています。