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コンテンツ産業の保守派、中道派、改革派

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コンテンツ産業が今後の重要な一大産業となると言われて久しくなります。一昨年、国際競争力に関わる仕事をした折に、日本のコンテンツクールジャパン等が競争力があるということを間近に感じてきました。また、仕事でエジプトのカイロを訪問した折に「私の子供が日本にアニメの勉強に行きたいがどこに行けばよいのか」など聞かれたこともあります。一方、コンテンツという事業体が産業と呼ぶには未成熟で、一部を除きクリエイターの方々が恵まれぬ環境にいるということも聞いていました。

 私自身はコンテンツ産業が国際化し、新たなビジネスの基盤を構築するにはどのような基盤やとりきめが必要なのかという、乏しい視点で接してきただけなので理解不足の処も多々あると思います。しかし、やはり今後実効のある施策なり、コンソーシアムなりを展開していくためには、コンテンツというそうくくりでは無理があると感じています。

ある会議を傍聴させていただいた折ですが、ある方はTV番組のオンデマンドを言い、ある方はyoutube型の個人映像を言い、別の方は教育教材もコンテンツであるとしていました。これでは議論の土台が構築しにくいことは明白です。また、コンテンツの国際化という点でも、話を聞いても一層判らなくなりました。

日本のアニメを世界に売るということだけではなく、(コンテンツ白書を見ると実際には世界中で放映されているにも関わらずビジネスモデルとしては課題があるとされていますが)、そのための吹き替えの問題、海賊版の問題、youtube型のプラットフォームでの課金の問題であるという見方もありました。これは戦略の未決定ということ以上に、短期的なゴールは何かとういうことに完全な食い違いがあるのではないかと考えました。

なぜこのように最重要であると言われてきたコンテンツに明確な仮題認識と方向性が出ないのでしょうか。それはコンテンツ産業の育成方針に保守派、中道派、改革派が混在しているということがあるように思えます。

保守派の代表としては放送局や大手広告代理店など、かなり高額な制作費と限定的なチャネルの利用権を保有して、高品質な番組を組織的に作成しておられる層にあたると思います。これらの高品質コンテンツはDVDやオンデマンドなど有料メディアとして再配信、販売されることから認証や暗号化、海賊版対策というテーマが重要になることになります。

保守的と呼んでいるのはコンテンツのデリバリやデジタル化に保守的ということでは全くありません。かえってAR(拡張現実)など野心的な機会創造を行っていると言えます。ただし国際展開については、収益の大部分が国内の広告メディアということから積極的とは言えないと思うことがあります。

では革新的という層はどのような層かというと、著作権議論では多かれ少なかれ問題があるものの、面白いということでいろんなサービスを検討されている方たちだと思います。ニコ動などもこれに近く、他にはメタデータだけ抽出したリコマンドサービスを企画したり、全放送を録画しシエアサービスを行おうとしたものなどありました。

それでもコンテンツ産業の裾野を広げるということではこの手の新たな付加価値サービスの検討は必須だと思います。早く整理がつき、気の利いたサービスがブロードバンドや次世代携帯で受けられると良いと思っています。

もうひとつ中道派という層はYOUTUBEのようなUGCからの議論からクリエイターの育成を重視している方々や高等教育のみではなく実践的な教育を与える人材育成機関の設置を進めたり、 エンタテイメントだけではなく、教育や医療までをコンテンツ戦略とする方々などさまざまだと思います。

別にスコープを必要性も無くナローにすることは無いと思います。ただし、大きな市場機会があるという共通認識があるにも関わらず、したいことでも出来ないことがある、さらにはやりたい人がすぐに出来ない壁が多いという状況があるなら、改善していかないと、本当に海外に追い抜かれさらにはやる気のある方々が渡航してしまうのかもしれません。

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