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豊かな瀬戸内海を未来へ。環境先進県・愛媛の海を守れ! ~日用品公害・香害(n)~

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「嗅覚センサーを見直そう(21)みそ汁のない朝食。食卓から「海」の消える日。(2020/5/11)」や「「日用品公害・香害(n)マイクロカプセルの水環境汚染。研究から目が離せない。(2022/7/25)」で触れたように、洗濯排水に含まれる化学物質の一部は、海洋へ流出する。

2022年4月1日からは、瀬戸内海環境保全特別措置法の改正法が施行された。これにより、貧栄養化が改善される可能性はある。一方で、汚染の加速化が危惧される。

しかしながら、愛媛県には、世界最先端の海洋環境問題研究機関、愛媛大学沿岸環境科学研究センターがある。環境先進県を名乗っており、毎年、愛媛環境大学が開催されている。

そこで、愛媛県に対し、日用品による海洋汚染の現況を知らせるとともに、啓もうをお願いしてみた。

瀬戸内海の環境保全について、お知らせとお願い(2022/8/25)

瀬戸内海の環境保全について、お知らせとお願いがあります。

この数年、高残香性柔軟剤・抗菌系合成洗剤等の消費が急拡大し、「香害」と呼ばれる環境汚染を引き起こしています。当市では、2019年頃から、側溝が臭い始めています。洗濯排水中の化学物質の一部は、下水処理場をすり抜けます。

問題は、海洋へ流出した物質が、食物連鎖に組み込まれる可能性があることです。

SNS上では、しらす・ちりめんじゃこ・海苔などの海産加工品から柔軟剤臭がする、という声が、上がり始めています。
今のところ、愛媛県産品ではありません。
また、食材がにおうのか、食品の加工段階や梱包・配送・販売段階でニオイが付いたのかは不明です。

しかし、いただきものや外食などで産地を確認できない情報が、今後増えていく可能性はあります。
愛媛県として、あらかじめ、フレグランスフリー、ケミカルフリーの姿勢を打ち出しておくことが、県産品の揺るぎない評価につながるものと考えます。

他の地域では、少しずつ、海洋汚染を防ぐための啓発活動が始まっています。
たとえば、岩手県宮古市重茂漁業協同組合(合成洗剤追放)、北海道厚岸町(石けん購入費助成)、鹿児島県屋久島(世界遺産の海を守る無添加せっけん推奨宣言)などです。

愛媛大学の鑪迫典久教授らの科研費研究で、国内のシジミから、柔軟剤由来と考えられる香料が検出されています。
香料を包むマイクロカプセルの壁材には樹脂製のものもあります。広義のマイクロプラスチックです。海洋マイクロプラスチックの研究では、愛媛大学は世界最先端のはず。
故・立川涼教授らが、かつて工業地帯の公害を解決に導いたように、令和の香害による海洋汚染を、愛媛の産官学の総力で防ぐことはできないでしょうか。 「令和4年度えひめ環境大学」、今年も参加できず残念でしたが、たとえば、今後のイベントで、高残香性柔軟剤・抗菌系合成洗剤の環境リスクについて取り上げることなどを、検討していただければ有難いのですが。

わたしは、昭和の時代の、工場排水の流れる瀬戸内海を見知っています。以前の状態に戻してはならないと考えています。
個人的には、ブログに寄稿することで、啓発活動を行っています。

きれいな瀬戸内海を守るために。行政ならではの立場と視点で、県民への啓もう方法を、ご検討いただければ幸いです。
よろしくお願い申し上げます。


上記内容で問い合わせた翌日、愛媛県県民環境部環境局環境政策課からの返信を受け取った。
今後の業務等の参考とすること、関係各課等にも情報共有する旨が記載されていた。
簡潔な返信であったが、情報は伝わった感がある。

海洋汚染は、食卓にのぼる貝類や魚類だけに影響する問題ではない。プランクトンのレベルから考えなければならない問題だ。ピラミッドの最下部が崩壊すれば、最上部にいるヒトの生活は、あっけなく崩壊してしまう。

生存に必須ではない日用品で、生存を脅かす愚。それでも使う意味とは何なのか。

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