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マイクロカプセルの水環境汚染。研究から目が離せない。 ~日用品公害・香害(n)~

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高残香性柔軟剤、柔軟剤入り洗剤、抗菌系合成洗剤などに使用されている、マイクロカプセル。
キャップ1杯に1億個ともいわれ、すでに、流出した数は「京」の単位だ。

水は循環する。ダムに森林に田畑に降り注ぐ。水道水まで危ぶまれる状況だ。

香る、シジミ!香料マイクロカプセルの環境リスク

ついに、シジミから香料が検出されてしまった。科研費の研究で、西日本および首都圏で漁獲されたヤマトシジミから、「柔軟剤で検出された人工香料が検出」されてしまったというのだ。
想像してみてほしい。香料とシジミと味噌が一体化した、シジミ汁の味わいを。

マイクロカプセルの環境リスク、科研費研究が進行中

下水から海洋に流出したマイクロカプセルは、どのような挙動をし、どのような影響をおよぼすのか?

愛媛大学 鑪迫典久教授による、科研費の研究が進行中だ(2019~2024年度)。「マイクロカプセルを介した化学物質の新たな環境動態の解明と評価
水環境中での拡散・環境動態が明らかになるにちがいない。

海洋生物や鳥類が、マイクロカプセルを誤食誤飲する可能性は?

海洋に流出したマイクロカプセルは、どのように流れ、どこへ漂着するのか。含まれる物質は、いかに蓄積、あるいは、分解するのか。

多くのひとが、食物連鎖を知っている。マイクロカプセルを小さな貝が、水とともにダイレクトに摂取した先を想像できる。

また、小さな魚が食べることも想像できる。旧製品のマイクロカプセルは、マイクロプラスチックだと言われている。

参照:「魚にとってプラスチックは「いいにおい」がするらしい」(2017年9月10日)、Rina Fukazu、GOZMODE

さらに、マイクロカプセルが、それより大きい海洋マイクロプラスチックに貼り付くことを、想像するひともいるだろう。

海洋プラスチックごみの場合、付着して繁茂した藻類からジメチルスルフィドが発生するという。
オキアミは藻類を食べる。海鳥たちは、藻のニオイを目印にオキアミを探し、プラスチックを食べてしまうというのだ。

タイトルで検索して参照:海のプラスチックに「匂いの罠」、動物誤飲の一因 餌のオキアミを探す目安となる匂いを放つと判明」(2016年11月14日)ナショナルジオグラフィック日本版

このように、藻が繁茂したり、あるいは他の物質を吸着することで、ニオイにつられて誤飲・誤食するという可能性は、あるのか、ないのか?

この世界に暮らしているのは、日用品のユーザーだけではない。また、ヒトだけでもない。
メーカーには、環境リスクを低減した製品の拡販を切望する。それは、回収技術を確立しないままマイクロカプセル技術を採用した企業の、社会的責務ではないだろうか。

「香害」は、「香」の文字を含むために、香料の問題だと誤解されがちだ。
だが、カプセルの壁材、香料以外の芯物質にもまた、生体リスク、環境リスクがある。
大丈夫だろうとおもっていたら被害が拡大していた、では困るのだ。花の香りのダシは要らない
この問題、注視が必要だ。

【追加情報:2022年9月】

2022年9月上旬に、シジミ汁を食べてみました。シジミの香りだけです。食味に問題はありません。在庫もあるでしょうし、1年後も、美味しいシジミ汁を食べることはできるものと考えます。
科研費研究の成果報告の情報を伝える際には、報告書の事実を淡々と語り、扇動的な表現を追加することは避けてください。

しかし、数年先となると、予測できません。日用品の拡販状況次第でしょう。
生産者と製造業者は、良品を消費者に届けるために努力しています。そして、消費者も美味しく安全なものを食べ続けたい。水環境汚染がこれ以上進まないよう、「今すぐ」香害問題を解決する必要があります。

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