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ヴィジュアル、サウンド、テキスト、コードの間を彷徨いながら、感じたこと考えたことを綴ります。

未来ニュース(1) 「22世紀のディーバが語る」

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久利:リスナーの皆さん、こんばんは。未来ニュースの時間です。本日も、私、地球からのお取り寄せ大好き「久利大福」がお送りします。
ゲストは、なんと、"22世紀のディーバ"こと、ルナさんです。ルナさんには、いま話題の新曲の話をお伺いします。よろしくお願いします。いや~私、大ファンなんですよ、うれしいなあ。

ルナ:ありがとうございます。よろしくお願いします。

久利:さっそくですが、ルナさんの歌は、年代や居住する星を超えて支持されています。今この星で流行している歌の中では異彩を放っているというか、とても新鮮です。1拍目にアクセントがあって誰にでも分かりやすいリズムなんだけれども、ものがなしいメロディーで。

ルナ:ありがとうございます。あの歌は、前世紀の地球の民族音楽がベースにあるんです。根源的なものというか、身体に直接働きかけるよう、単純なリズムの繰り返しにメロディーを乗せました。

久利:なるほど、前世紀の地球の歌がベースにあったんですね。「バーチャル園」に時々会いに行くのですが、私の曽祖父は、前世紀の歌を、よく口ずさんでいます。それらに共通する感情を呼び起こします。懐かしさ、という感情ですね。ルナさんは地球のご出身なのですか?

ルナ:いいえ。私は生まれてすぐ引っ越してきたので、地球の記憶はないんです。だから、過去の歌を聴いて学びました。

久利:なるほど。プロモーション・データも話題になっていますね。見たことのない楽器を弾いて歌っていますね。

ルナ:ギターのことですか?前世紀の地球の、いろんな楽器を知って、興味わいちゃって、地球のA○○○○○(番組スポンサー名)で取り寄せたんですよ。地球と同じ環境を再現して、同じ音が出るようにする必要があって、スタッフの皆さんも、とっても苦労しました。リスナーに脳内イメージを直接伝えるより、演奏で伝えるっていうの、新鮮な感じ、しません?

久利:もちろんです!私も長年この仕事をしていますけど、リアルな人間の演奏を見るのは、10年ぶりぐらいですよ。

ルナ:でしょう。身体を使って表現するというのを一度やってみたかったんです。これまで書いてきた歌は、荘厳だと評価はされましたけど、そのぶん、1曲の楽曲とプロモーション・データを完成させるのに、ものすごく資源を使いました。それに比べ、身一つなら、楽器の音の出る環境を一度整えさえすれば、その後はそれほど資源を使いませんから。この星の資源の埋蔵量はまだ分かっていないと言われています。私のような者から配慮の姿勢を見せていかなければと思っています。

久利:なるほど。ルナさんの歌は、曲やパフォーマンスだけでなく、その歌詞も、多くのファンに支持されています。共感を得る歌を作るために重視していることはありますか?

ルナ:そうですね、より多くの人が理解しやすい平易な言葉を組み合わせて作詞することです。私は、地球育ちではないので、地球の人たちと同じ感情を持てなくて。底にある感情が違うので。ほんとうに試行錯誤なんです。今は、リスナーの皆さんに体験がなくて想像しにくい言葉とか、実体が伴わない概念を表す言葉は、できるだけ使わないようにしています。

久利:ルナさんが分からない感情とは、たとえば、どのようなものですか?

ルナ:それはたとえば恋です。私には恋愛というものが分かりません。なぜなら私は両親の恋から生まれたのではないからです。地球の過去の歌を学び始めた最初は、誰もが親しめる歌詞を書こうとして、でも、どう書いていいか分からなくて、「I love u , I need u, I want u, yeah, wow, wow」の繰り返しに曲を付けたりしていました。

久利:リスナーは、ルナさんのそういった積極的な学びの姿勢にも好感を持っています。次回作について、すこし教えていただけませんか。

ルナ:はい、私は、リズムがとっても大事だという考えなんです。それで、地球のリズムが人類の起源アフリカを思わせるものなら、私にとってのリズムは、星のまたたきであったり、宇宙船のエンジン音なんじゃないかなあ、って。そういった宇宙のリズムに歌を乗せたものを制作中です。今回も、地球の楽器を使いますよ!タイトルや発表時期は、まだ内緒です。

久利:一ファンとしても、とても期待してしまいますね。最後にひとことお願いします。

ルナ:はい、これからも歌でいろんな星の人と交流できたらいいなあって思ってます。皆さん、よろしくネ!

久利:本日のゲストは、"22世紀のディーバ"こと、ルナさんでした。どうもありがとうございました。さて...

※本稿はフィクションです。また、(「一六本舗の」栗大福が大好物であるということ以外)筆者の好みや考えを反映したものでもありません。あくまで、ひとつのネタです。

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