マーケティングコンテンツの翻訳
テクニカルドキュメントの翻訳の話は過去にも何回か取り上げたことがありました。
テクニカルドキュメントの翻訳の難しさは、aとかtheとか複数形の微妙なニュアンスを正しく翻訳できていないケースなどの質的な問題がないわけではありませんが、最大の問題はボリュームです。
次から次へと新しいドキュメントが生成されるわけで、そのペースに追従するのが大変ということです。
一方、マーケティングの資料も基本はそれらコンテンツのローカライズから始めます。
マーケティングのコンテンツはテクニカルドキュメントに比較すると量が問題になることはむしろ少ないです。
これはマーケティングメッセージを伝える際に、短ければ短いほど効果的という性質があるからだと思います。
短いメッセージで最大限の効果を得るためには、当然工夫が必要なわけなので、そこには韻を踏むとか語呂合わせ的な表現が多用されます。
しかし、これらのメッセージを普通に翻訳すると本来の韻とか語呂合わせが消失してしまうケースがほとんどなわけで翻訳した瞬間にオリジナルのメッセージが持っていたニュアンスを伝えることができなくなってしまいます。
例えば、インターシステムズでは今Strategic Interoperabilityという言葉を強力にプッシュしているのですが、これを普通に訳すと戦略的相互運用性という言葉になると思います。
一見すると特に問題のない言葉に感じると思いますが、実際にこの言葉が意味することを具体的にイメージすることができる人がどのくらいいるかと考えると結構少ない人数になる
のではと思います。
欧米ではこの言葉から受けるイメージが実際の所どうなのかははっきりわかりませんが、この言葉の補足的な説明がついているところから見ると欧米でも結構理解が難しい言葉なのかもしれません。
そして本題はその補足的な説明なのですが、ここで英語のメッセージでは5Rというものが出てきます。
これは、 5 Right thingsの省略であり、
Right Data
Right Person
Right Time
Right Amount
Right Decision
を意味しています。
これを日本語で素直に訳すと5つの正しい事となって5Rが持っていたコンパクトでインパクトのあるメッセージ性が失なわれてしまいます。
ここがローカルオフィスのマーケティング部門の腕の見せ所ですが、現実はなかなかうまくいきません。
そういう意味では、インテルのインテル入っているというのはオリジナル言語のニュアンスをほんとにうまく伝えていながら本家顔負けの韻をちゃんと踏んでいて感心しています。