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SaaS

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昨年は、この言葉も流行りました。

結局、ASPとの違いが何なのか未だに理解できていません。

単に名前が変わったと思えばいいんでしょうか。

この言葉を聞くたびに思うのは、医療システムの運営形態の日米の違いです。

日本でもASP型の医療システムは、少しありますが、ほとんどは、あいかわらず病院毎にコンピュータシステムを設置するケースだと思います。

米国では、個別の病院で医療システムを運営するケースは、少なく、ほとんどが地域の医療IT Network Providerが複数の中核病院+周辺の中小病院+診療所(クリニック)向けの医療システムを開発、運営している形態が主流のようです。 従って、実際のITシステムは、どこかのデータセンタにハウジングして、ネットワークで各病院をつなぎ、運営するというSaaS形態です。

この形態の最大のメリットは、サービスを受ける患者がその地域のどの病院、診療所にいっても、同じ様なサービスが受けられ、かつ自分の医療データをどの病院も等しく有効活用できる点です。

一方そのサービスプロバイダーにとっては、大規模ユーザの収容(中には数百万の患者をサポートするシステムがある)、大規模ネットワークの構築、大規模システムの運営、セキュリティ対策、障害対策など個別システムを運営するのに比べて比較にならないほどハードルは高くなります。

中には、VA(退役軍人向け医療システム)の様に、地域どころか、国レベルでどの退役軍人向けの病院、診療所に行っても、その退役軍人とその家族は、自分の過去の診療データを参照することができます。

こういうシステムの発展は、アメリカの医療制度に負う所が、多く、日本では、全く異なる医療制度の下、医療システムが発展して来ているので、なかなか日本での適用は困難です。

しかし、今、日本の医療業界の1つの大きなテーマは、地域医療連携です。

国は違えども、患者にとっては、地域のどの病院にいっても自分のことを良くわかっていてくれているほうが望ましいわけで、そのためには、過去の診療データが病院間で共有されている必要があります。(例えば、複数の病院で投与された薬の組み合わせで発生する医療過誤の防止だとか)。

そこで、地域中核病院が音頭を取って、地域内で情報交換し、共通の診療データベースを作ろうという話になるわけですが、なかなか上手くいかないようです。

1つの大きな理由は、病院毎に行政上の所轄が違うという問題です。

病院によって、管轄が、厚生労働省、文科省、総務省という縦割り行政となっていて、(特殊な所で、刑務所病院は、法務省管轄らしいですが、)、省間調整に苦労するらしいです。

米国では、地域連携を飛び越えて、州レベルの地域間連携、あるいは、国レベルの連携という話になっているようですが、日本で地域連携が真の意味で実現できるのは、いつのことやら。

合理性は明らかに米国の仕組みの方にありそうですが、そういう方向に進もうという気配は残念ながらあるように思えません。

タイトルとはあんまり関係のない話となってしまいました。

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