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iPhoneを獲得するのは、どのキャリアか?

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日本でどのキャリアが、iPhoneを獲得するのか、注目されています。

とりあえず、iPhoneがGSMではなく3G対応する必要がありますが、消費電力の問題で現状3G対応を見送ったという話があるので、しばらく時間がかかるのかもしれません。

が一方、日本に導入する場合の問題は、ハードスペックの問題ではなく、携帯電話のビジネスモデルの根本的な違いという観点で導入を危ぶむ声も良く聞きます。

つまり、日本では、キャリアが端末の仕様まで決めてしまうビジネスモデルですが、iPhoneは完全に端末メーカーに主導権があります。

日本では、この独特のモデルでキャリアが熾烈な競争を繰り返しながら、閉じた世界の中で他国の追従を許さない高度な携帯文化ともいうべきものを形成してきたわけで、システムとしては極めて洗練された優れたものだったわけですが、国際マーケットでは、そのシステムおよび日本のメーカが作る端末は、そのコスト高により世界のマーケットでの端末シェアという観点では、芳しくない状況です。

そして、最後の刺客iPhoneによって、この日本式携帯ビジネスモデルに印籠が渡されそうな雰囲気です。

土俵がころっと変わってしまう気配です。

この様に日本が一生懸命作り上げたシステムが、グローバルスタンダードの台頭に伴い、崩壊するパターンが増えつつある様な気がします。

我々が関係する世界でいうと、IT構築ビジネスも似たような状況ではないかと思っているのは私だけでしょうか?

日本のITシステムでは、SIerと呼ばれる企業の役割が極めて大きく、エンドユーザにも当然IT部門はありますが、実装は基本的にSIerの仕事です。

こういう形態は、おそらく日本独自のもので、雇用の流動性が乏しい日本の労働事情に対応するために発展してきたものと思われます。

結果として、部分最適という観点では、極めて洗練されたシステムの構築が行われてきたと思いますが、皮肉なことにそれがビジネス環境の変化への追従を難しくしています。

そこでSOAということが言われているわけですが、ユーザ企業のシステムは、様々なSIerに分割発注されたものの集合体であるケースが大勢ですので、ガバナンスが効いていない状態では、SOAという笛を吹けども踊らずということだと想像します。

私の知る限り、欧米でのSOAプロジェクトでは、エンドユーザ側のCIOおよびシステムアーキテクトがプロジェクトの成功に大きな役割を果たしています。

簡単にいうと、エンドユーザ主体でなければ、ガバナンスが効かないため、SOAはうまくいくはずがないということだと思いますが、そのためには、優秀なCIOおよびシステムアーキテクトおよびその他のIT専門家がそのエンドユーザ側にかかせません。

とはいっても、いまから各企業のシステムおよびビジネスを熟知したCIO、アーキテクトを促成栽培するのも難しいのが現実でしょう。

しかし、このままでは、欧米企業とのITシステムとの質的な意味での差は開くばかりです。

もっとも、この世界には、iPhoneの様な土俵を変えてしまうような起爆剤がなかなか見つかりそうにもありませんが。。。

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