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虚構新聞バッシングから見るメディア・リテラシーのお話

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つい昨日、虚構新聞がバッシングされている記事が複数Twitterで流れていました。
・虚構新聞が「橋下市長、小中学生にTwitter義務化」記事について謝罪
・実名で他人の評判を貶めるウソ記事を書く虚構新聞の危うさ
(虚構新聞を知らない方は、こちらから。Wikipediaに飛びます)

まぁこんな記事がニュースになるんだから日本は平和だなぁと思いますが、これってバッシングとしてどうなでしょうね?何も、そんなに本気でバッシングしなくても...という感がありました。そこで、今回は虚構新聞を切り口にメディア・リテラシーについてのお話です。

メディア・リテラシーはどんなメディアに対しても必要
日本人ってすごく熱しやすくて冷めやすいと思うんですよ。話題になっていたりバズったりしていたものも、数日・数週間経てば話題にもされなくなる。しかも、熱くなる時多くの人は情報の妥当性なんか考えずとりあえずシェア、みたいな風潮がありますよね。

例えば、iPhone4Sが出るまでのウワサの広まり方もひどいものがあったじゃないですか。
auから出るだとかソフトバンクはAppleに捨てられたとか、それだけならいいんでしょうけど企業の株価まで影響して結果的に損をしている人は大勢いるんじゃないでしょうか。これって、根拠のない情報を信じて動いた人がかなりいたからですし、そもそもこういう実害のある情報を平気で流すメディアの方がよっぽどバッシングされてしかるべきだと思うんですけどね。 風説の流布は立派な犯罪ですし。

虚構新聞のようなメディアに限らず、何かの情報を読んだ時に、そのソースがどこから来ているのかということを確認することは、アカデミックな世界では当たり前のことです。本来、こういう姿勢は高等教育で教わるべきことなんですけどね。アメリカなどでは、論文を書く時のソースの選び方、使い方などがしっかり教えられます。私がいたICUもそうです。情報のソースのない主張は、よほど権威者でない限りは絶対に通りません。一部のメディアが行う根拠のない記事を読んで、それを真に受けて行動する人が多い。これは記事を書く側も問題がありますが、それを真に受けて自分で思考しない人にも問題があります。

情報というのは真に受けるものではなく、1回自分の頭に入れて妥当性を自分で判断するものです。誰かがこう言っていたから、という場合は、その人が情報のソースを提示しない限りは妥当性を持ちませんし、その辺を確認しようともしないのが日本のメディア・リテラシーの問題だと思ってます。日本人で「その情報、ソースはどこ??」と聞いてきた人はほとんどいませんでした。

自分で思考することなく仕入れた情報がデマで、それについて腹を立てるのはちょっとワガママすぎると思いませんか?そもそもインターネットなんて、デマとウソばっかりじゃないですか。メディア・リテラシーの欠如っていうそもそもの問題を無視して、やれデマだと熱くなるのは民度の低さを露呈するだけです。虚構新聞なんかは、むしろ前提として「私たちの記事はデマです」と言ってるんですから、ソースをちょっと確認すれば誰もこんな大袈裟に騙されることはないはずです。


日本の文化も、もっとジョークを楽しむ文化であってほしい
私は虚構新聞のようなデマ前提のメディアがあったっていいと思うんですよ。

「えっ、この記事ほんと!?...なーんだ虚構新聞か。嘘の記事を書くなんて!!」
よりも
「えっ、この記事ほんと!?...なーんだ虚構新聞かぁ。びっくりしたけど、面白かったな〜」
の方が、楽しいと思いませんか?

インターネット上ではネット上ってウソやデマが平気でまかり通ってるじゃないですか。一見するとまともに見えても、実は平気で人を騙していたり、ステマだったり、ネガティブ・キャンペーンだったり...インターネットに誰でもアクセスできる時代になって、情報の大衆化が起きました。そうなると当然、情報は質ではなく量が圧倒的になってきます。(昔、テレビが一部のエリートのみ持つ文明の利器だった頃から大衆化され、比例してテレビ番組の内容も大衆化され逆にエリート層はテレビを観なくなった現象に似ていると思います。)こうなると、個人のメディア・リテラシーによって同じ情報でも受け取り方が全然違ってくるんですよね。

私は個人的には虚構新聞は大好きで、いつも読むとクスリと笑える記事を提供してくれています。メディアの中にはこういう"グレーな存在"も、あっていいと思うんですよ。じゃないと、全部が全部かっちりしてたんじゃインターネットがどんどん息苦しくなって、つまらなくなってくる。そして誰もジョークの1つも言えなくなるから、無難なことや下ネタ、お笑いネタに走ることになるんじゃないでしょうか。まさに今のTwitterのような感じです。(最近、鍵つきのアカウントにする友達がかなり増えてきています。その人たちは、かなり最初からTwitterを利用していた人たちでした。)こういう存在を規制しても、何も解決しないと思います。それどころか、どんどんインターネットがつまらなくなってくる。情報の受け取り手の問題を棚上げしてメディアをバッシングするのは、いかがなものでしょうか?(今回の橋本市長の件はちょっとグレーすぎるなとは思いますけどね笑)

情報について正確性を求めるのはもちろん大事ですし当たり前ですが、こういう"ユーモアのあるデマ。"が通じるような社会の方が、楽しいと思いませんか?もっとカジュアルでいいじゃないですか、ジョークの1つも言えないような人の方が個人的にはよっぽど怖いです。情報の妥当性は自分で判断し、その上でジョークとして受け止めてあげるくらいの心のゆとりは欲しいものですよね。(こんなまとめ記事もあったので笑いのネタでどうぞ:虚構新聞の秀逸なネタ記事まとめ

※5/17追記
はてなダイアリーで同じテーマで面白い記事を書かれていたので、シェアしておきます。
虚構新聞の件が投げかけるすごく重要な話
メディアを面白くなくさせる奴等


◆過去記事紹介
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ソーシャルラーニングで学校いらず!?インターネット学習の現在とこれから
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◆Profile ・Shin Sasaki 国際基督教大学4年(6月卒業予定)。いつでも・どこでも・誰でも学びたいことを学べる世界を創るのが夢。 マーケターでありブロガーをしています。オルタナティブブログ初の学生ブロガーとしてIT×教育をテーマにした記事と、オピニオン記事をメインに書いてます。他にも独学でTOEIC920点を獲得した経験を元に書いている英語学習ブログEnglish Hackerを運営中。卒業後の進路は7月にはご報告できると思います。
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