オルタナティブ・ブログ > 川口玲子の”気になるモノ,者” >

学生や社会人教育の中で見えてくる、ふと気になったことをつづっていきます。

「ストレスは役に立つ」~スタンフォードのケリー・マクゴニガル博士の本を、今またひも解いてみた

»

私事ではありますが、ちょっとした不調が続き、さらには軽い耳鳴りがしたことで医療機関にかかったところ
疲れやストレスが原因と診断されました。

コロナ禍にあり、環境の変化により多くの方が多かれ少なかれストレスを感じている今「ストレス」について、かつて手にしたケリー・マクゴニガル博士の本を手に取り、考えてみました。

『スタンフォードのストレスを力に変える教科書』は、2015年にスタンフォード大学の健康心理学者ケリー・マクゴニガルが出版された本です。これまで「ストレスは体に悪い」と考えそれを力説してきた博士が、「考え方を改めました」と発表された本です。

「ストレスは害になる」と考えることが一般的です。しかし、「ストレスは害になる」という考えは、「ストレスは役に立つ」と考えるより、はるかに害になるということです。

「ストレスが役に立つ」と考えられる人は、他の人より「ストレスが少ないからではないか」と思ってしまいそうですが、決してそうではないそうです。著書には、それを実証する調査結果も載っています。

「ストレスが役に立つ」という考え方は

・ストレスがあった方がパフォーマンスや生産性が向上する。
・ストレスがあった方健康や活力向上に役立つ。
・ストレスがあった方が、学習や成長に役立つ。
・ストレスは良い効果があるため、利用すべきだ。  など

なるほど、例えば仕事や学習をするときに、目標時間を決めてタイマーをかけて行うと、その時間までに終わらせなければと軽いストレスは感じますが、時間を決めずにだらだらやるよりは集中し捗ります。

では「ストレスを役立つもの」としてとらえる人の行動とは

・ストレスを事実として受け止め、現実として認識する。
・ストレスの原因に対処する方法をしっかりと考える。
・情報やサポートやアドバイスを求める。
・ストレスの原因を克服するか、取り除くか、変化を起こすための対策を講じる。 
・困難な状況をなるべきポジティブに考え、成長する機会としてとらえることで、その状況において最善を尽くす。

ストレスを事実として受け止めるには重いストレスもありますが、その事実を否定する方がストレスが大きいかもしれません。無理にその事実を考えないようにするより、その事実についてなぜストレスと感じているのかをしっかりと分析することで、対処法が見つかったり、それを改善したりして良い方向へと進みます。

以前の私のブログ記事「ネガティブ発言をチームづくりに活かす~プロジェクトのリスク回避に役立てよう」で書いた内容もこの受け止め方につながります。
ネガティブ発言を聞くことは、ストレスですがその「理由」までつきとめることで、プロジェクトのリスクを取り除くことができる可能性が大いにあります。

『スタンフォードのストレスを力に変える教科書』では、まず、Part1ではストレスを見直すところから紹介し、
Part2ではストレスを力にかえる方法として
「向き合う」-不安は困難に対処するのに役立つ
「つながる」-いたわりがレジリエンスを生む
「成長する」-逆境があなたを強くする

と紹介しています。

今ストレスを感じている人が多いと言われていますが、その方々の多くが「ストレスは役に立つ」と考えられることで、気持ちが前に向き、元気や成長を手にできることができたら、どんなに良いことかと思います。

いろんな、考え方がその方に響くのには、タイミングやその方の思考の傾向もあると思いますが
「ストレスは害になる」という思考から「ストレスは役に立つ」と考え方を変えていけることは、日常生活の過ごし方が変わり、建設的に生きることができるのではないかと思います。

まだ自分自身は「ストレスが役に立つ」ものにできているとはいえません。しかし少なくとも「ストレス=悪いもの」と結びつけるのはやめようと思います。

本書に書かれた思考のエクササイズを行い続けていくことで、「ストレスは役に立つ」と実感できるように、できるところから始めていこうと思います。

また一般的に人がストレスを多く感じていているときに、起きやすい感情に「怒り」があります。この「怒り」もごく自然な感情であるにも関わらず、その反射行動や、感情を引きずってしまうことで「良くないもの」と捕えられがちです。
この「怒り」という感情も、大きなエネルギーになるという利点があります。

アンガーマネジメント協会の安藤代表が書かれた新刊が、「あなたの怒りは武器になる 」というタイトルです。手放すことができない「怒り」を、適切に使いこなす方法が紹介されています。

Comment(0)