【受講してみた】堀潤さんの「伝える人になろう講座」第二回~「伝える人」にオススメのツールと技術を学ぶ~
4月から始まった堀潤さんの「伝える人になろう講座」ですが、第二回が行われましたのでレポートさせていただきます。
まずは前回のおさらいからということで、この講座で目指す「伝える人」とは多様性の時代における一次情報発信者であること。主語をどんどん小さくしていくことで、「意見」から「事実」に近づけていくことが報道の原点であるということ。またそれによって「圧倒的な事実」が伝われば、見ている人からの「具体的なアクション」が期待できると。これすなわち、「ソリューションメディア」の理想形であり、超ローカルメディアの重要性を示すものであるというまとめから。第一回もレポートしていますのでよろしければどうぞ。
>>【受講してみた】堀潤さんの「伝える人になろう講座」第一回~「伝える人になる」意味を考える~
さて、第二回のテーマは
「伝える人」にオススメのツールと技術を学ぶ
ということで、実際に映像を撮ったり編集したりする際に必要な「武器」を学びます。
ここで堀さんから裏テーマの提示が。
視えないものを見せる力
見えているものをそのまま見せるのは簡単。ただ撮って出せばいいですから。しかし現場において「カメラにはそのまま映らないけど、伝えたい何か」が必ずあるものです。
(実習1)
見えないけれど、確かに「あるもの」ってなに?
心の中、痛み、におい、雰囲気、空気感、、、、
そう、現場から、社会の空気感、秩序感、文化感のようなものも映像から醸し出せるようにしたい。つまり、映像に、見えないものを伝えようという工夫をするということですね。
うまくいけば、映像(動画・写真)表現により、言葉で伝えるには大変なことを、圧倒的な破壊力で伝えることができます。
ここで、おもしろい実験。
(実習2)
あなたの色を「視える」ようにしよう
例えば、スマホのカメラに自分の指を押し当ててシャッターを切ると、その人の「血潮」の色が撮れます。
「視える化」のひとつの例ですが、では、
あなたの心を「視える」ようにするには?
感情ってなんだろう?例えば「うれしい」という感情でも、悲しいことから始まって、紆余曲折あっての「うれしい」かもしれない。つまり、ものごとは単純ではなく複雑なのです。
この、「複雑さのパッケージ」のまま映像で伝えられたら!
これはもちろん文章表現でも目指すところは同じで、堀さんは好きな例として俵万智さんの
「寒いね」と話しかければ「寒いね」と答える人のいるあたたかさ (『サラダ記念日』)
を挙げていましたが、人の心も、「なんとなく見える形に可視化」することはできるわけですね。こういったことの訓練として、何かの写真を見て、そのタイトルを考えてみることなど、堀さんから提案がありました。
さて、ここからはそうした「視えないものを見えるように伝えるための映像表現」の手法を学んでいきます。
ハイレベルな好例として、みんなでこの作品を見ます。日本に3週間滞在した外国人クリエイターが見た「日本」を4分に凝縮した作品です。
In Japan - 2015 from Vincent Urban on Vimeo.
外国人の視点だとこう見えているのか、日本のここが面白いんだ、日本のここが美しいんだ、という日本人が日本を再発見しまくっちゃう映像ですが、カメラワークと編集が見事ですよね。
見事、というのはわたくしのような素人でもわかるのですが、実際にはどこがどうすごいのかはよくわからないというのが多くの方の本音ではないでしょうか?ということで、
映像の作法
なぜこの作品が人を惹きつけるのか?映像の作法を学ぶことで、分析していきます。
堀さんの考える映像素材撮影の手法5要素は以下です。
アップ(近く精細に)
ロング(広く全体に)
ズーム(ズームイン=寄り・ズームアウト=引き)
ドリー(被写体と同時移動=潜入感)
パーン(縦、横方向への振り)
すべての映像はほぼこの5つに集約されます。そして、これらの手法から期待できる映像効果は以下。
アップ(観察・分析・検証)
ロング(状況把握・比較・観測)
ズーム(焦点→発見)
ドリー(意識の高揚)
パーン(探索・計測)
この要素とその効果を頭に入れて、もう一度見てみましょう。
In Japan - 2015 from Vincent Urban on Vimeo.
作り手、伝える側が、どういう効果を狙って、このカットを使ったか?ということがおぼろげながらわかる気がしますよね。楽しい。
ここで堀さんから一言。
中途半端なカットはダメ!寄るならモリモリ寄る!引くならガンガン引く!
確かに、微妙なカットでは伝わる力は弱いですよね。特に素人が作る場合は、徹底的にやったと思ってもそこそこレベルなのかもしれません。やりすぎくらい思い切ってやろう!ということです。
こういった、映像の作法を学ぶことによって、伝える力は格段にアップすると思いますが、堀さんはこうも言います。
編集するということは、それだけ製作者の意図が入るということ。
いい編集というのはワンカット&ワンシーンで決定的な事実を提示する、つまり作為的なことが入る余地がないほどの事実の抽出。
いいドキュメンタリーは編集が少ない。逆に作りものを作るのは簡単なのです。
確かに、、、まぁ、このレベルに到達するのはまだまだ先のことだと思いますので、まずはいろんな手法を用いて映像を撮ってみたいですよね。
ということで、
(宿題)
「恵比寿の好き」を映像にしてみよう。
先生から宿題が出ました。わたくしもまだ撮っていませんので、あと2日でなんとかアップせねば。(;´Д`A
堀さんオススメのスマホアプリ
編集が簡単で、すぐにYouTubeにアップできる無料アプリを教えていただきました。
iPhoneの人
>>YouTubeCapture
Androidの人
>>KineMaster
使い方などは、丁寧な解説サイトや解説動画がいくらでもアップされていますので、ご覧ください。
そして、アプリじゃないのですが動画スキルで堀さん激推しなのがこれ。
人間スタビライザー!
これです。スマホの持ち方!自撮りがめっちゃ楽になります。自撮りでない通常の撮影も、片手でできるようになりますので、わたくしこれを教わってからこの撮り方でしか撮っていません。本当に便利です。
この、人間スタビライザーがどこで活躍するか?ですが、これは堀さんの実例を見ていただくのが一番かと思います。
堀潤 「湯布院で取材中」
ブレなさ、すごくないですか?最後の方なんて走ってますから。(笑)
コツは、腕をまっすぐにピンと張って固定すること。何回か練習して、自分と被写体のバランスなどを会得すれば、かなりの武器になりそうですね。
さて、最後に、楽しい映像編集の一例として、みんなで岡崎体育さんの「MUSIC VIDEO」を鑑賞。
最高ですねー。
メジャーデビューした彼ですが、この作品の製作費は6万円だそうですよ。6万円でもうすぐ再生回数500万回。コスパ、ハンパないですね。
以上、「伝える人になろう講座」第二回~「伝える人」にオススメのツールと技術を学ぶ~のレポートでした。
次回第3回は、6/22(水)。会場はいつも通りCOMMON EBISUです。(入場無料・申し込み必要なし)
宿題の動画を作ってみた方は、「伝える人になろう講座」のフェイスブックグループへ投稿、もしくは info@8bitnews.org まで。
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