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【受講してみた】堀潤さんの「伝える人になろう講座」第一回~「伝える人になる」意味を考える~

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先月、恵比寿ガーデンプレイス内に、COMMON EBISUという期間限定の図書館ができました。
当然、普通の図書館ではなく、本は有志からの持ち寄りで、さらに誰がなぜ寄贈したのか感想を書く図書カードがついており、それに対して誰が借りてどんな感想を持ったかも「返答」できるようになっています。
つまり、本を介した人の交流、本を介して自分の人となりを知ってもらうという企画です。

このCOMMON EBISU、交流の場としての立ち位置から、リアルに人が集まる企画も始まっています。
その中のひとつが、元NHKのジャーナリスト、堀潤さんによる「伝える人になろう講座」です。

「伝える人になろう講座」

これは、市民記者を1,000人育てたい!と明言する堀さんと、COMMON EBISUの管理人、恵比寿新聞の高橋さんが意気投合して実現した講座。何と無料、堀さんも完全に手弁当です。

この、ゆるーい感じの講座名ですが、堀さん的には、「市民記者」という表現に若干違和感もあって、他の呼び名を模索、「伝える人」という非常にフラットでわかりやすい名称に決定したそう。

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去る4/27(水)に、第一回の講座が開かれたのですが、今回はその内容のシェアをさせていただきたいと思います。次回以降に参加される方の参考になれば幸いです。

冒頭、堀さんはいきなりリコーの全方位カメラ「THETA」を取り出してパシャ!

報道される映像、画像は、カメラの前面にある景色しか撮れない。でも真実はカメラの背面にあるかもしれない!という示唆に富んだアクション。いきなりガシっとつかまれます。

さて、堀さんがNHK時代から常々思っていたことのひとつが、「お蔵入り素材が多すぎる」ということ。
放送時間の10倍も20倍も撮影しても、使われるのはほんの少しであることに疑問を投げかけます。

もっと自由に、多様性をもって伝えたい!

NHKを退社した堀さんは、8bitNewsを立ち上げ、「みんなでニュースをアップする環境作り」「パブリックアクセスの実現」に向けて取り組みを始めます。

個々の「伝える人」=市民記者の発信力にはやはり限界があります。でも、8bitNewsや堀さんが情報のジャンクションのようになって、いったん情報を吸い上げ(=一般の方からニュースを投稿してもらう)、然るべきメディアに放っていくという仕組み。

今回の熊本の震災でも、堀さんはLINEのIDを公開し、現地一次情報の写真や映像を投げてくれるように募集、そこから取材すべき先を決定し、現地に向かいました。その結果、ヤフーニュースの個人IDから多くの取材記事をいち早くアップしています。

市民記者の配信活動が、思わぬところで取り上げられた例はどんどん増えているそうです。
例えば、瀬戸内海のうさぎ島
ここでうさぎの映像を撮ってアップした人の元に、BBCから二度に渡り映像使用許可のオファーが舞い込んだとのこと。もちろん使用料も入ってきます。

もちろん、お金のためにやるわけではないかもしれませんが、良い情報には素人も玄人もないということですね。そしてその場合、文章よりも写真、写真よりも映像のほうが情報の確かさと純度が上がります。スマホを使って気軽にアップをしてみよう!

ということで、「伝える人になろう講座」のスタートです。(なんとここまで前振りが30分以上ありました!)

伝える人になる意味を考える~一次情報発信者になろう~

第一回は、「伝える人になる意味を考える」というテーマ。

最初に、「一次情報発信者になること」を考えます。
これはもちろん、人づてでない、あなたが目の前で見た情報、あなたが経験した情報です。

情報発信にもいろいろありますが、例えばブログなどで記事が炎上する場合、その内容のほとんどは著者のOpinion(意見)です。

Opinion(意見) < Fact(事実)

勝手な立場で勝手に自分の意見を述べる。もちろん言論は自由でありますが、当然ながら異なる意見もあるわけで、我慢できない人は「お前、何言ってんだ」ということで摩擦が起きるのですね。
Opinionだから炎上する。よく考えれば当たり前のことです。

では、Fact(事実)ならどうかと。

事実はひとつしかありません。事実をそのまま書いてあるので、誰も文句の言い様がないですね。(本当にそれが事実であれば)
目の前で目撃した、もしくは自身が体験した正真正銘の事実をアップすれば、無用の炎上など起きないわけです。

また、事実を伝える場合に気をつけるポイントがひとつ。

大きな主語 < 小さな主語

例えば、震災を伝える上で「被災地では・・・」といった場合、これはFactを伝えているつもりで、Opinion寄りになってしまっている可能性があります。今回の地震でも、熊本全体が壊滅状態かというと全然そうではありません。何ともないのにイメージだけで観光客が減ってしまった地域では、「うちは被災地じゃない!」となります。少なくともその人にとっては「被災地」という言葉はFactではありませんよね。
つまり、「被災地」という言葉は、人によって定義が違い、受け取る人によって感じ方がまちまちな「大きな主語」なのです。

それでは、「○○県○○郡○○町の○○さん」ではどうか?
こちらは間違いなくFactそのものとなり、受け取る側のイメージはひとつ。すなわち「小さな主語」であります。

小さな主語で発せられた情報は、ストレートに事実が伝わるので、その分Action(反応・行動)につながりやすい。
本来取材とは、この「小さな主語」を見つけるためのものであると。

ただ、マスメディアがこの「小さな主語の主」を取材して報道することは、「都合のいい人を選ぶ」可能性もあり、そのような批判も受けかねない。
その点、個人が「小さな主語の主」として率直に自分のことをアップする場合、そういった問題は起きず、その情報から全体像を浮かび上がらせることも可能になってくるわけです。

話は冒頭に戻りますが、「伝える人」が増えることで、従来型のマスメディアへの牽制をしながら、良い情報を間違いなく届けることができるような流れを作りたいというのが、この講座の第一の目的なのだと思います。(いかん、ちょっと自分のメモがいい加減で、若干opinionになってる!ごめんなさい。)

そしてさらに、パブリックアクセス(メディアはみんなのもの!)の考え方から、ソリューションジャーナリズムへの発展を促進していく第二ステップへ!(と勝手に期待して盛り上がっていますが)

そんなこんなで、明日5/25(水)の「伝える人になろう講座」の第二回「ツール編」が楽しみです。

>>参加希望の方は、現地へ直接どうぞ。
申し込みは特に要らないそうですよ。(毎月第4水曜日・全5回)

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