初めてラボのPMをやってみた
先日山に登っていましたら、なんとも美しい虫がいて、思わず写真を撮ってきたのですが、これ、後で調べたらいわゆる「糞虫(ふんちゅう)」というやつで、動物の糞や死骸にあつまる虫らしいですね。「センチコガネ」という名前は体長が「1cm」くらいだから、、、ではなく、「雪隠(せっちん=便所)」の意味らしいですよ。
ところで、弊社が2014年から始めた「国内ラボ開発」ですが、ここ1~2ヶ月でポンポンポンと3件ほど新規案件の受注が決定しましたね。
最近ではお客さんから「ずっと気になっていたので次はラボでやろうと決めていたんですよ」というようなお話をいただくようになり、本当にうれしい限りです。
しかし弊社もまだまだ小さい会社でして、それだけ同時にご発注をいただくと「やれる人がいない!」という悩みに直面します。
実装についてはフリーランスのエンジニアにお手伝いいただけるとしても、特にプロジェクトマネージャ(PM)となるとうちの開発スタイルやら経営理念やらを知っていないとうまく立ち回れませんので、外部の人に任せるわけにもいかず、そういうわけでこのたび目出度く社長の出陣とあいなりました。
実は、2014年に日本でラボ開発をやろうと考案したのは私ですし、以後ずっと広報活動などは私が中心になってやってきたのですが、実際にPMをやるのは今回が初めてです。
完全にロートルの域なのですが、うまく立ち回れるのでしょうか?(どきどき)
で、やってみると、意外なメリットが実感できまして、これ本当にいいなぁ、と改めて思った次第です。
■国内ラボ開発とはなんなのか?
今回またそんなセールスチックなお話をしようと思いますが、と、その前に「国内ラボ開発」ってなんなの?美味しいの?という諸兄に、ざっとその開発スタイルの概要をお伝えしておきます。
「国内ラボ開発」を一言で言うと、開発チームのレンタル貸しです。
あるシステムを作るプロジェクトがあり、そのために、腕の立つSE、PG*2名、デザイナーという4人のエンジニアを雇用しますと、1ヶ月に最低でも200万からの人件費がかかりますし、彼らに適切な指示ができるのか、困ったときに助け合えるようなチームワークを醸造できるのか、プロジェクトの終了時に彼らをどうするのか、誰かを保守に残し他は解雇するのか、などなど様々な悩みにさいなまれることと思います。
そういう悩みをすべて解決するのが「国内ラボ開発」です。
■実際にやってみてわかった5つのうれしさ
さて、このような開発手法なのですが、実際にやってみて本当にこれはお客さまにとっても開発側にとっても「うれしい」のではないか!と実感したことを5つほど挙げてみたいと思います。
1.すぐに始められる
弊社は今でも通常の受託開発をやっていますが、その場合、何をやるにもまずはお客さまからの「発注」が必要となります。
しかしその「発注」のためには先に「見積り」が必要です。そして「見積り」のためには「要件定義」が必要で、その作成にまとまった工数がかかります。
全体で20人月程度の規模のシステムであれば2人月はかかるのではないでしょうか?
またそれに付き合うお客さまも大変です。なんと言っても目に見えないシステムを、その道のプロでない方が想像して、要望を全部出そうというのですから。開発会社はのちのち言った言わないのトラブルにならないよう、細かい部分まで突っ込んで確認してきますが、「知らんがや(=今想像で話してるだけで、そこまで考えてない)」だと思います。
一方、「国内ラボ開発」では、要望はざっくりしたもので結構でして、作りながら一緒に考えて行くことになります。
今回私がPMを担当したケースでは、諸般の事情で年内にある程度形のあるものを出さなければならないと言うことで、2回のお打ち合わせの中でどこまでを、どのようなスケジュール感と費用感で作っていくかを決定し、ご契約いただき、翌週くらいから早速チームをアサインして作業を開始しました。
このスピード感がたまりませんね。
2.他社が作ったシステムでも恐れず突っ込んで行ける
受託開発で一番困るのが、
「他社で作ったシステムを直して欲しいんですが」
というご要望ですね。著作権や瑕疵担保責任などの法的な問題はクリアされているとしても、まず環境構築や解析に時間がかかります。また、修正を開始してみたら意外と難しかったり思わぬところにバグが飛び火したりということがあり得まして、そのリスクを考えると相当のバッファを積んでおかないとお受けすることができません。
環境構築と解析で1人月+実工数+リスクバッファで10人日とか・・・
そうなると実工数的にはたった2人日でも百万以上の金額が見積りに載ってきてしまい、「そんなにかかるの!?たったこれだけで?」となってしまい、双方身動きが取れないデッドロック状態に陥ってしまいます。
今回の案件ではどうしても他社の作ったシステムとの連携をする必要があり、その改修を前の会社にお願いするべきか弊社に担当させるべきかお客さまもかなり悩んでおられたのですが、「とりあえず2人日かけて、直せそうかどうか見てみますか?」とご提案しまして、環境は構築せずソースとDB定義だけで検討しました。
結果的には「結構かかりそうです。正確にはわかりませんが、前の会社に頼んだ方が恐らく安上がりと思います。」という話をお持ちすることになりましたが、もし「どうしてもやって欲しい」と言われたら、徐々に人工(にんく)を投入して、慎重に作業とテストを繰り返しながら進めていくこともできました。
バグが飛び火する危険があることもご理解いただければ、あらかじめリスクバッファコストを頂戴することもありませんので必要最低限のコストで行けます。
3.やってみないとわからないこともどんどん進められる
今回のお客さんのプロジェクトは、ある業界の常識を根本から覆すような画期的なスマホアプリの開発でした。1つ1つの要素技術的には特に問題ないというのは見えていたのですが、それらを連携させたようなアプリを過去に見たことが無く、まさに「できるかどうかやってみないとわからない。」という状態でした。
またできたとしても社長さんが求められる精度まで持っていけるかどうかもわかりません。
それでも「やってみて欲しい」と言われれば進められるのが「国内ラボ開発」です。結果的には現時点でかなり精度の高いプロトタイプが完成していまして、社長さんにも一安心していただけているようです。
このような案件は受託だと恐ろしく受けることができないですね。納期もタイトですし。
4.打ち合わせ、調査、仕様書作成なんでもできる
これもラボのPMをやってみて初めて感じたことですが、
「定例ミーティングなんですが、ちょっと月1では少ないと思うので、月2回やりましょうよ」とか
「提案されたこの機器だけど、もっと安いのないか調べてもらえませんか?」とか
「なんかリース会社からこの様式の仕様書が求められてるんだけど」とか、このようなお話を受けても、嫌な顔一つせず受けられます。
弊社も受託でやるときは、なるべくこのようなご要望にも柔軟にお応えしたいと思ってはいますが、最後の仕様書の作成などはさすがに「見積りにないので無理です」と言わざるを得ません。
そのレベルの分かりやすい話であればお客さまも納得いただけることがあるのですが、開発をやっていると結構グレーな部分がありますからね。。お客さまのおっしゃったあの一言が、ここにも影響してるんですよ、みたいな。
そんなことでプロジェクトを通して培ってきた信頼関係の糸が切れてしまうのは本当にもったいないことだと、私は常々思っておりました。
5.お客さまが忙しいときは待てる
通常の受託ですと、大抵納期が決まっていますので開発側としてはなるべくテンポ良く仕事を終わらせたいわけです。それが「ごめん、この回答ちょっと待って。担当者がインフルエンザになっちゃって来週まで来れないんだわ。」とか言われますと、ひじょうに辛いです。
しかしラボ開発の契約であれば待てます。
今回の開発ではそのような場合に予想外に投入できなかった工数分をご請求しないという契約にしてありましたので、1週間作業が止ってしまったらその分の費用はご請求しません。もちろん、その間チームのエンジニアは、他の案件の作業をさせていただくので弊社としてもそれほど大きな打撃はないわけです。
と、このように私が実際にPMをやってきて感じた国内ラボ開発のメリットを挙げてみましたが、実際は他にも、
PMだけコンサルタント的に入ることができる
とか、
PMはお客さんの方で用意され、PGだけアサインできる
とか、案件によって変幻自在にチームを組めるという特長もあります。
今はチームがパンパンなのですが、11月中旬には大きなプロジェクトが終了する予定です。御社の開発チームをプラムザに構築してみませんか?
もし「国内ラボ開発」が多少なりともお気になりましたら、お問い合せは下記からお願いいたします。