小泉進次郎氏が抱きかかえて自爆してしまったあの話について(1/2)
自分は先日の自民党総裁選では、途中までこれは進次郎氏が勝つのではないか?そうなったら日本はエラいことになるぞと思っていたのですが、敢えなく敗退・・・。
まぁそれは良かったのですが、ただ彼が突然言い出したことの中に日本の将来を左右する重要な論点があったので、今回その話をしておこうと思います。
彼がアレを言い出し、抱きかかえて自爆してしまったのはあまりにもったいないというか、アレこそが今の日本が抜け出さなければならない呪縛と思っています。
アレを抜け出すことで日本が再び世界で戦える力を付けることができるかも知れないと、それくらい思っています。
そう、アレとは「解雇規制の緩和」です。
この話は、決して社長が気に入らない従業員を恣意的に解雇できるというものではありません。
もし解雇規制が緩和されたら、自分も毎日戦々恐々で、上役に常におべっかを使っておかなければならないし、低い給料でも我慢しなければならない、進次郎が総理になったらそんなことになるのでは??と心配になった人も多いと思います。Xでもみんな面白がって「解雇自由化」みたいなタグを使っていましたしね。
しかしあの話は本来、全然違うのです。
今真面目に仕事をしている人にはまったく関係無いか、有利に働く話なのですよ。
ちょっと長くなるので今回、2回に分けてそのあたりの話をしようと思います。
知ってるようで知らないと思うのですが、現在、会社が社員を解雇しようとすると「解雇の4要件」という壁が存在しています。
(1)人員整理の必要性
どうしても人員を整理しなければならない経営上の理由があること(「経営不振を打開するため」は可、「生産性を向上させるため」は不可)。
(2)解雇回避努力義務の履行
希望退職者の募集、役員報酬のカット、出向、配置転換、一時帰休の実施など、解雇を回避するためにあらゆる努力を尽くしていること。
(3)被解雇者選定の合理性
解雇するための人選基準が評価者の主観に左右されず、合理的かつ公平であること。
(4)解雇手続きの妥当性
解雇の対象者および労働組合または労働者の過半数を代表する者と十分に協議し、整理解雇について納得を得るための努力を尽くしていること。
参考
日本の人事部「整理解雇の4要件」とは?
https://jinjibu.jp/keyword/detl/289/
最初に言っておきますが、これは別に労働基準法などの法律で決まっている訳ではありません。法律で決まっていないことをもって
「別に日本は解雇規制は欧米に比べて厳しくない」
という人がいるのですが、過去の判例でこの4要件を満たさない解雇は、社会通念上相当でなく、解雇権の濫用に当たるとされてしまっているので、実際辞めさせられた元従業員(厳密には元ではない)が裁判を起すと会社はほぼ確実に負けるのです。
負けるとその人が出社しなくなってから今までの給料は、まったく仕事をしていなかったにも関わらず、全額支払う必要がありますし、さらにその人を復職させなければなりません。解雇が無効なので未だに現役従業員ということになるわけです。
当然そういう人を配置する部署はなかなか見つからないのですが、とにかくその人が来ようが来まいが、今後も給与は払い続けなければなりません。
そうこうしている間に「クビを言い渡されたあの日から体調が悪い」「行きたいのに足が向かない」「電車で吐き気がして心療内科にかかったらこんな診断が・・・」みたいなことになりかねません。
こういう事態が余りに恐怖すぎるので、遵法意識の高い会社ほど解雇ができないのです。
([次回](https://blogs.itmedia.co.jp/noubiz/2024/10/22_4.html)に続く)
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