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金か夢かわからない暮らしさ

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「社内で評価の高い人」が会社を去る時

この記事を読んで、昔、実際にあった話を思い出しました。(本人を特定されないために、一部適当に変えてあります)

当時まだ自分でプログラム書いたりセットアップしたりしていた私は、あるベンチャーのお客さんのところに頻繁に出入りしていました。

その会社の社員達はとても優秀で、そしてとても仲がよかったです。社長を除いては。

あるとき私はその会社の忘年会だったかプロジェクトの打ち上げだったかに呼ばれました。外注の身ではありながら、歳が近いからか現場の若い社員の飲み会に結構な頻度で誘われましたね。

だんだんお酒が進み、会は会社の愚痴大会に。「愚痴大会」≒「社長の悪口を言う会」なんですが。

  • 昔はあんな社長じゃなかった
  • 昔の熱い思いはどこへ行った
  • 今は売上のことしか言わない

と。

そのうち話は社長への個人攻撃に。

  • そもそもあの人は社長の器じゃない
  • 家が裕福なボンボン
  • みんな知ってるか?社長、親父さんから借金してるらしいよ
  • こないだ給与の遅延があったじゃん。あのとき銀行から融資が受けられず、親にお金を出してもらったらしいよ。
  • 本当にしょうがねーな。プライドとかないのかね。

・・・なんだこの展開??

私はまだひよっこ経営者ではありましたが、これにはかなり辟易しましたね。

まあ結局その数年後、その会社は倒産してしまいました。

ということは、確かにその社長さんは会社経営の才覚がなかったのでしょう。それは事実だと思います。

しかし、昔の熱い思いが無くなって売上のことばかり考えるようになった、というのは今思っても咎められることではないはずです。

会社経営とは、まずベースとしてお金の切り盛りをするのが第一です。夢を語って給料が払えないというような経営者がどれだけ社員やその家族の迷惑になるか。

その社長は社員の給料を払おうと必死で駆けずり回って、遅れながらもちゃんと払っていたわけです。立派じゃないですか。

親から金を借りるなんてプライドないのか?

そんなちっぽけなプライドはさっさと捨てるべきです。(別の意味で近親者からお金を借りるのは止めた方がいいとは思いますがね)

自分の給料は出なくても、銀行から「いやー、社長大風呂敷ばっかですからー。もう追加融資はできませんよ。」と断られても、税務署の若い担当官から「消費税を滞納するっていうのはある意味泥棒ですよ!」と罵られても、親から「お前はもともと商売に向いてないんだ。さっさと会社畳んで自己破産しろ。」と言われても、必死で金を掻き集めて給与と外注費と家賃を払うのが社長としてのプライドです。

そして、そういう荒波を1つ2つ乗り越えると、「運転資金が尽きる」という恐怖をイヤでも学習するものです。

若い頃は「シートベルトなんてしなくていいんだよ、イェーイ!!」とかやってても、あるとき子供の飛び出しとかがあって急ブレーキかけて助手席の同乗者がフロントガラスに思い切り頭を強打し流血、みたいなことになれば、以後、「ごめん、シートベルトしてくれる?」とか言うようになるのは至極まっとうなことです。

それは、「言うことがつまらなくなった」というより、経験による成長です。

それに対して「シートベルトしてくれなんて、リーダーどうしちゃったんすか!!昔の熱さはどこ行っちゃったんですか??」なんていう人は、自分の成長の無さを恥ずかしく感じた方がいいです。


まあ冒頭の記事にあった社長は、本当に単なる金の亡者になってしまったのかも知れません。そういう人も確かにいますが、「金のことを第一に考えるようになった」=「悪」ではない、ということだけは言っておきたいです。

「金のことを考える」=「自分本位ではなく、顧客本位で真剣にサービスを考える」 ということでもあります。

あとですね。

私は折に触れ社員に言っていることがあります。

社長も社員も、それが優秀であればあるほど、歳を取ってもどんどん成長していきます。仕事の中で、あるいはプライベートの生活の中で、お互いに新しいものをどんどん吸収し、考えることが変わっていきます。軸はブレなくても、集積されたデータが変われば結論が変わるのは当然です。

ですので、もし仮にある瞬間に社長と社員が相思相愛であっても、ぴったり意識が一致するという時期はそれほど長くは続かないのです。

まずはそれを既定路線として、それでも5年後10年後、お互いに一緒にいたいと思い続ければ一緒にいよう、と思います。その奇跡を祝福して、二人で酒を飲もう、と思います。

であるからして、みなウチでしか通用しないことを身につけて仕事ができる気になってたらダメだよ、といつも言っているのです。

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