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「脳内ビジネス」の話はまたにします!

バナナを取りに行くサルをフルボッコにするルールの件

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どうもこんばんわ。使えるルール研究家の島田です。
今日の昼、熱心に仕事にいそしんでいたら、twitter経由でこんな文章が流れてきました。
このコラムというか記事というか。
「規則はこのようにして決まっていくのです」などという締めではあまりに勿体無い気がします。
これはもっと複雑で議論に値する問題です。
この話には大きく二つのトピックが詰まっていると思います。
1つは、「ルールの有用性」
それともう一つは「ルールの有効期限」です。
まず「ルールの有用性」について考えます。
さて、このルールは悪法なのでしょうか?私は、「1匹がバナナを取ろうとすると他のサル達に氷水が降ってくる」という状況下においては、このルールは極めて有用だと思います。
バナナを取って食えばうまいという目先のメリットは、誰でもすぐに気づきます。しかしそれを求めると、必ず他人(他猿)に被害が及ぶ。相当の因果関係が存在する。それはパっと見では想像できないわけですから、「バナナを取りに行く奴をフルボッコにする」というルールを作って、抑止しようというわけです。
これは、意味もなく足を引っ張り合うという類のものではありません。極めて合理的ないいルール。
さて、それでは、このルールは有用なものだとして、未来永劫にわたって有用なのでしょうか?
いえ、そんなことはありません。
このルールが有効でなくなるシチュエーションは2つあります。
一つは、状況が変わった場合。すでに氷水が降ってくるというシステムが壊れていたり、その仕様が廃止されていたら、デメリットがないのですからバナナはどんどん取るべきです。
それともう一つは、状況は変わっていないが、サル同士で話し合いをして、氷水をかぶってもバナナを取るべきだという合意が形成されたときです。サルたちみんなが冷たい思いをしても、1匹がバナナを取って分け合えば、もしかすると全体的なメリットはデメリットを上回るかもしれません。
前者を試すには、時間をおいて定期的にやってみるほかありません。後者は誰かが全仕様を理解して話し合いの場を設けるしかありません。
しかし、サルたちは自分たちの与(あずか)り知らない強権力によってメンバーを変えられているようです。すでに氷水が降ってくるという仕様を知っているサルは一匹もいないとのこと。
これでは、「そろそろシステムが変わったんじゃないか?」という推測をすることも「多少の被害が出ても誰かバナナをとったほうが全体利益は高いんじゃないか?」と問題提起することもできません。
ではどうすべきでしょうか。
それは、ルールに有効期限を設ける、ということに尽きます。
「バナナを取りに行くやつをフルボッコにする」というルールを定めるときに(あるいは運用途中でもいい)、「このルールは3ヶ月後にレビュー会を設け、有用性が確認されなければ自動消滅する」という付加条項も決めておくべきです。
そうすれば、メンバーの誰も理由がわからずルールだけが生き残るという愚かな事態が起こりえなくなるわけです。
もちろん、ルールが破棄されることでサル達はもう一度氷水をかぶるかもしれません。そうしたら、また同じルールを作って繰り返せばいいのです。それは仕方のない犠牲です。
ただし被害がものすごく大きい場合。例えば氷水ではなく高電圧の電流が走って何匹かのサルが死ぬような場合。
その場合は、ルールは未来永劫有効とする必要があります。
これは、ちょうど津波の被害の恐ろしさを書き記した石碑のようなものです。
「こんな古いルールに、いつまで縛られているんだ」と言って笑い飛ばしてはいけません。
先の記事の著者が揶揄するように、このようなことは会社組織の中でもしょっちゅう起きます。
本当は何かルールを決めるときに、その立法趣旨や背景、期待される効果まで詳しく書いておくべきなのですが、そんな時間も気力もないことがあります。
そこで、「北側の窓を開けるときは、トイレの換気扇を回すこと」みたいな謎の張り紙だけがペラっと貼られていたりするわけです。
こういうよくわからないルールには、必ず有効期限を設けておくべきです。
そして、定期的に話し合って、「ああ、それはもう大丈夫になったんだよ」とか「なんでこんなルールがあるんだっけ?よくわからないから廃止してみよう」とハードランディングな検証を行ってみるべきです。
とにかく組織というのは黙っているとどんどん意味のないルールが増えていき、息苦しくなるものです。
私はルールが大嫌いなので、意味のないルールはどんどん自然に消滅してもらいたい、と、かように思い、すべてのルールには有効期限を設けている次第です。

 

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