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「脳内ビジネス」の話はまたにします!

実名での告発ホットラインなどでは疑惑を払拭できない

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組織は必ず腐る。

これは、あらがうことの出来ない事実です。

組織を管理・運営する上では、この事実を真摯に受け止め、いかに風通しを良くし、それを防止する工夫をしていくかが重要です。

一番のポイントはやはり競争です。組織同士の競争もそうですが、組織内部の部署同士、さらにはその下の個人同士の競争も、それを人為的に起こさせることにより、かなり効果的に腐敗を防止することができます。

もちろんそのデメリットもありますので、そこにも注意を払う必要はありますが、逆に競争原理の働いていない組織は、まず見事に腐ってしまいます。

それは近い人同士で、お互いにくっついて保身に走るからです。これは、組織の活動内容の公益性や、集う人々の知的レベルの高さには関係ありません。

同じ組織内で活動する人間同士で仲良くするということは、仕事をする上で決して悪いことではなく、そのことと、自己の利益を図ることが矛盾しないので、その二つの行動が合体するのです。

また、この行動が、長期的には皆が乗っている船を沈没させることにつながるというのは、組織外部に目を向け、相対的な状況を判断している人間にしかわかりませんので、自律補正などはまず行われることはありません。

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さて、本題です。

八百長情報提供ホットライン設置
http://www.daily.co.jp/newsflash/2011/02/15/0003805153.shtml

(デイリースポーツオンライン 2011年2月14日)

先日のニュースによると日本相撲協会で、昨今の八百長疑惑の対策として、力士等から情報提供を受け付けるホットラインの創設を行うといいます。(15日時点の情報)

協会員同士の相互牽制の仕組みは、かなり効果のある施策だとは思いますが、しかしこれが実名を必須にしているというのはどうなのでしょうか。

実名での告発を求めるのは、過敏な情報・嫌がらせのような情報が集まりすぎることを防止したいという意図でしょう。匿名告発を許せば協会員の和が乱れるとか。

ただ、今は情報を集まりすぎるくらい集めて、徹底的に膿を出し、患部を乾かしきらなければならないでしょう。というか、その方向に向けての納得できる施策を内外にアピールするということが重要です。

実名告発でも必要十分な情報が集まるとか、もともと相撲に八百長はつきものだからそんなに厳しくやらなくてもいいとか、コアなファンはみんな分かってくれているはずとか、そういう話ではありません。

今、相撲協会が置かれている立場を冷静に分析すれば、八百長の疑惑が少しでもある以上、公益法人としての認定がされない、というだけの極めてシンプルな構造です。

すなわち『八百長を根絶する』のが目的ではなく『八百長の疑惑を払拭する』のが目的です。

この視点で見たとき、実名での告発ホットラインでは、効果は限りなくゼロに近いです。世論的に相撲協会は隠蔽体質であるというイメージがついてしまっているので、『呼び出しをくらって、言い含められるに違いない』と思ってしまうからです。

どうも姿勢が、

『今の体質から必要最低限の変化で八百長を無くしていけたらいいな。』

『なんとなく時の経過によって忘れていただけたら有難いな。』

みたいな意識に取れるので、人の心に響かないのだと思います。

こういうとき、人の心を揺さぶる対応というのは、たとえば、蒟蒻畑のマンナンライフ社が、一昨年あたりに取った全社製造販売停止のような思い切った行動です。トヨタの米国での暴走騒ぎの際の真摯な応対も、今となってはすばらしいと思っている人が多いと思います。

それが合理的な対応であったかはともかくとして、人々が『それ、やりすぎだろう』と思えば、世論を見方にできます。ただこれも狙ってやっていることが見透かされると、またダメなんですが。

 

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