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とっくに再燃しているドメイン名バブル

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先日の「.com と .net が 10月から値上げ」についたトラックバックに、

.com一時、大流行だったけど、最近はあまり聞かなくなりましたね。
一時のものだったのかな?

というコメントがありました。しかし、現実は反対で「.com」は世界的に大流行しています。第2次ドメイン名バブルが起きていると言ってもよいでしょう。少し古い記事ですが(昨年7月)、The Wall Street Jounral に "All the Good Ones Have Been Taken -- In Domain Names, Too" という記事が掲載されました。新しいビジネスを始める際には、誰しもよいドメイン名を使いたいものなのですが、そうしたものは登録済か使われてしまっているという状況を分析したものです。

最初に .com バブルが起きたのは 1999年末に 750万ドルで取引された business.com に代表される高額取引以降でしょう。“世界でひとつしかない”というキャッチコピーに踊らされ、二匹目のドジョウを狙おうとした人々により、膨大な数のドメインが投機的に登録されました。しかし、そんな高額取引に巡り合うケースはほとんどなく、たいていのものは登録費が無駄になっただけで更新されませんでした。当時の登録期間は標準2年だったため、ほぼ2年後の2002年6月の .com ドメイン登録数は 2246万まで落ち込んでいます。

ただし、登録数がそのまま下がり続けたわけでもなく、じわじわと盛り返してはいました。とくに決定的だったのは 2005年のスーパーボウルで流れた Go Daddy というレジストラ(ドメイン登録業者)の CM です。前年に起きたジャネット・ジャクソン事件のパロディとして作られたこの CM は、スーパーボウル運営側の逆鱗に触れたらしく2回目の放送がキャンセルされました。しかし、そのアピール度は絶大で、ドメイン名の大衆化を大きく促進しました。これこそが、新たなバブル期をもたらしたといっても過言ではありません。

.com ドメインに限ると、2004年12月に 3395万になっていた登録数が1年後の2005年12月には4540万まで増えました。Go Daddy(および関連レジストラである Wild West Domains)の登録数は499万(全体の14.7%)から836万(同18.4%)と急伸し、古参の Network Solutions を抜いてナンバーワンレジストラの座をモノにしたのです。彼らの顧客が個人中心であることを思うと、かなりの成功だと考えてよいでしょう。2006年12月には、登録数が5953万まで伸び、Go Daddy のシェアは1287万(21.6%)に達しています。Go Daddy のサイトによれば、(.com 以外も含め)現在 1920万のドメインが登録されているそうです。また、この CM は、いまでも Go Daddy のサイトで見ることができます。

ドメインの普及が進むにつれ、良質ドメインの取引も再び活性化してきました。business.com の 750万といった破格の取引が頻繁にあったわけではありませんが、数万~数10万ドルといった取引はときどきありました。たとえば、2003年末からドメイン取引をウォッチしている DN Journal は、2004年と2005年には1万ドル以上の取引を年間チャートとしてリストアップしていましたが、このレベルの取引が増えすぎたため昨年はトップ100リストを公開するのみでした(DN Journal のドメイン取引ニュースのアーカイブ)。

取引される価格帯について、わかりやすい例を挙げると、2002年頃には(うまくいけば)英字3文字の .net ドメインを10~数10ドル程度で入手でき、並びにこだわらなければ英字3文字の .com ドメインを200ドル程度で入手できました。現在では、英字3文字 .net ドメインを500以下で入手できるケースはあまりなく、.com に至っては 3~5000 ドルが最低線というところです(並びの悪い英数字混じりのものはずっと安くなりますが)。5年前、英字3文字.com をどんどん買い入れていた人がいて「オカネモチは違うなあ」と傍観していたのですが、今にして思えば自らが“投資”していたら10倍以上になって返ってきたわけです。まあ、そういう投資をする人がほとんどいなかったからこそ、安かったわけですが。

ドメイン関連ビジネスの雄として知られる sedo を見ると、現在のオークション情報(右上)として avy.com が $18,744、gkk.com が $6,000、mhj.com が $5,200 と表示されています。vbc.com は $15,000 で落札されたようです。これらは、おそらくプロどうしの取引です。0gk.com というのは、どう使ってよいのかわからないくらいのものだと思いますが、それでも $100 です。

さらに、ドメイン名販売で知られる BuyDomains においては、DOF.com=9万ドル、EIA.com=37.5万ドルといった、さらに高額の値段が付けられています。実際に取引されたものとしては、先月 Topix.net が Topix.com を 100万ドルで購入しました。また、先週は ET.com は 22.5万ドルで取引されました。

とはいえ、新たなビジネスを始めるのに、こうした値の張るドメイン名が必要なわけではありません。alexa によるトラフィック上位10傑は、以下の通りです。myspace は複合語としてはわかりやすい(良い)組み合わせですが、"google" は "googol" をもとにした造語ですし、youtube も空いているドメインを選んだだけでしょう。ドメイン名は、マーケティングの一要素ではあるものの、すべてではありません。

  1. yahoo.com ... 単語
  2. msn.com ... ショートレター(3英字)
  3. google.com ... 造語
  4. youtube.com ... 複合語
  5. myspace.com ... 複合語
  6. live.com ... 単語
  7. baidu.com ... 中国語の「百度」(=100回)
  8. orkut.com ... 人名
  9. qq.com ... ショートレター(2英字)
  10. yahoo.co.jp ... 単語

ところで、以前、堀内さんの「恥ずかしい、あるいはもったいないドメイン名の研究」にトラックバックした「ドメイン名とハイフン 」というエントリ(個人ブログ)にも書いたとおり、日本では「.com が空いてないから .net」あるいは「しかたがないからハイフン付」といったドメインを登録しがちです。しかし、これは好ましいことではありません。たとえば、ソニー銀行が運営している MoneyKit は MoneyKit.net というドメインを使っています。これは .com が空いていなかったために選んだのでしょう。MoneyKit.com はずっと登録が古いため悪意の登録で訴えるのは難しそうですが、現在 sedo で売りに出されています。やれやれ。

ちなみに、かなり早い時期からドメイン名に投資していたのは CNet(cnet.com)で、tv.com($15,000)、download.com($20,000)をはじめ news.comcom.com など、今では値のつけられないようなモンスタードメインを所有しています。

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