オルタナティブ・ブログ > IT's my business >

IT業界のコメントマニアが始めるブログ。いつまで続くのか?

新型コロナ:ファクターX

»

※2020/7/4重要な追記。トップページに案内されているとおり、オルタナティブブログ全体でコメント機能が無効化/非表示となりました。新たなコメント、過去コメントについては「はてなブログ」を参照してください。

■ファクターXとは
日本では新型コロナの感染者数や死亡者数がについて欧米に比べて少ない、という事実があります。日本は検査数が少ないだけで実数は多いのだ、と主張する人もいましたが、厚生労働省が行った無策抽出による抗体検査の調査結果や、ソフトバンクが社内や関連企業向けに行った抗体検査の結果でも、検査キットや調査の精度が気になるくらいにしか陽性者はいませんでした。感染から数か月すると抗体が減り始めるという中国の研究はありましたが、日本での感染者が急増しはじめたのは3月下旬ですし、他国での抗体検査の結果と比較しても、もはや疑う余地はありません。

日本が、中国や韓国のようなプライバシーに踏み込んだ監視体制を取ることもなく、欧米より規制が緩やかだったのに、このような成功をおさめられた理由について、山中伸弥氏が「ファクターX」と呼び、色々な候補を挙げられています。世界的に評価されている専門家が早くから対策を主導し、マスクや手洗いなど人々の公衆衛生意識が高かったこと、そもそも欧米のようなハグやキスといった生活習慣がないといったことは妥当な理由だと思います。一方、発端となった武漢で感染爆発が起きたことを思えば、人種やBCG接種などを(多少の影響があるとしても)大きな要因として考えることは難しいでしょう。

■対策が早かった
岩田健太郎氏は、ブログで「患者が少なかった。これが日本の対策がうまくいった最大の理由」と書かれています。ここだけ読むとトートロジーかと思う表現ですが、要するに早くから感染に気付いて対策したことで、感染者の増加を抑えられたということです。
日本でイベントの自粛要請が出された2月26日までの感染者数は164人です。この日にPerfumeやEXILEのコンサートが中止されたように、この要請に応えて多くのイベントが中止されました。翌日には休校要請が出され、多くの学校は3月から休校しました。3月下旬には感染経路のたどれない弧発例が増え始め、緊急事態宣言こそ出ませんでしたが3月28日の首相会見以降、デパートや外食チェーンが休業しはじめました。この日までの感染者数は1499人です。その後、4月7日には一部で緊急事態宣言が発出され、その後全国に広げられました。

欧米でも、すべての国の感染状況がひどかったわけではありません。早くから感染被害が深刻だったイタリアをはじめ、スイスやフランス、ドイツ、イギリスなどでは、深刻な被害があった一方、少し離れた場所にあるギリシャや北欧は感染者が増える前から規制できたことで相対的には少ない被害で済んでいます。早くから感染が広まったイタリアでは、当初、行動制限しても人々が従ってくれないといった報道もありましたが、自国で感染が広がる前に他国の(悪い)状況を見ることで効果のある規制ができたということもあるでしょう。アメリカの状況が悪いのは、(トランプ大統領がNSCのパンデミックチームを解雇していたことはさておき)CDCが配布した検査キットが不良品で感染実態を掴めず対策が遅れた面が大きいでしょう。

日本が早々と自粛要請を出した背景には、まだ延期の決まっていなかった東京オリンピックの開催が危ぶまれていたこともあると思います。当時、ロンドン市長候補がオリンピックを東京で開催できないなら、代わりにロンドンで開くことができると訴えていたくらいです。場当たり的とも批判された対応でしたが、結果として早く対策する方が、早く感染を抑え込むことができたのは間違いありません。

なお、岩田氏のブログでは「ウイルスの突然変異」や「日本人に特有の免疫機構がある」ことなどに確証的なデータがないとされる一方で、「重症化リスク、死亡リスクに血栓形成が寄与している可能性は高い」とも書かれています。「動脈の病気も日本人などアジア人では欧米より少ない傾向」が人種の問題なのか、食習慣など外的要因によるものなのか分かりませんが、「新型コロナは「血管の病気」」という報道もありましたから、この影響はありそうです。ただ、最初に都市封鎖した武漢での人口百万人あたりの死者数が350人と欧米並になったことを思えば、放置しても大丈夫と言えるほどの効果はなさそうです。

厳しい規制をしていないスウェーデン(百万人あたり507人)より、ベルギー(同838人)の方が人口当たりの死亡者数が多いので、規制は逆効果なのだという人まで出てくる始末ですが、スウェーデンの中でも首都ストックホルムに限れば百万人あたりの死者数は920人にも及びます。岩田氏のブログにも書かれていた通り、規制と感染者増のペースが落ちるタイミングが何週間かずれるだけで規制に効果があるのは間違いありません。しかし、感染者が増えない理由を対策の早さだけに頼ることはできません。国全体で考えれば、スウェーデンよりベルギーの方が人口あたりの死亡者数は多いのは事実です。

■人口密度
ひとつのカギとなるのが人口密度です。別記事でも「田舎は感染者が増えにくい」として取り上げましたが、名古屋工業大学のグループがまとめた報告にも「人口密度が高い地域ほど流行が収束するまでの期間が長くなり、感染者や死者の数も増える傾向にある」とあるそうです。日本では「接触機会を8割減らす」ことが話題となりましたが、これはあくまで相対的な計算上の話であり、人々の接触機会は地域や職種で大きく異なります。もともと接触機会が多い地域の方が感染が広がりやすいというのは直観的にも理解できることです。日本で人口の11%しか占めない東京都が感染者の3割以上に及ぶのも、人口密度が高いなど接触機会の多い"大都市"であることと無関係ではないでしょう。

各国から報告される数字は、必ずしもすべての感染者をあらわしたものではありません。たとえば、スウェーデンの週報には「初期には入院が必要な人だけを検査し、5月5日からは症状のある人を検査するようになり、6月からは保健所経由で検査するようになった」とあります。国によっても検査基準は違いますし、死亡者が見逃されている国もあるでしょう。ですから、報告されている数字だけですべてを判断できない面はありますが、明らかに規制や人口密度だけでは説明できない"例外"があります。

シンガポールでは42313人の感染が確認されているのに死者は26人だけです(致死率=0.06%)。カタールでも感染者は88403人いるのに、死者数は99人です(致死率0.11%)。ベトナムの感染者が少ない(死者はゼロ)のは厳しい対策で感染者を抑制したためですが、あのウエステルダム号を受け入れたカンボジアは、一般的な衛生対策が推奨されただけで、外出制限のような厳しい規制が敷かれたわけではないのに、感染者は少なく死者はゼロです。カンボジアの医療が高いレベルにあるとは言えないでしょうが、検査をしていないわけではありません。worldometerの最新情報では32281件の検査をしています。

■高齢者の割合
理由として考えられるのが高齢者の割合です。すでに高齢者の致死率が高いことは分かっていますが、イタリアでは死者の96%が高血圧、糖尿病、心臓病といった基礎疾患を持っており、平均年齢は約80歳だったという報告もあります。本来なら基礎疾患のある人の割合の方がより適していると思いますが、そういう情報が分からなかったので、ここでは高齢者の方が基礎疾患のある人が多いだろうと予測して、人口当たりの死者数の多い順に高齢者(70歳以上)の占める割合を調べてみました。

死者数(*1) 70歳以上(*2)
ベルギー 838 13.8%
イギリス 628 13.7%
スペイン 606 14.8%
イタリア 573 17.5%
スウェーデン 507 15.1%
フランス 454 14.9%
アメリカ 371 11.2%
オランダ 356 14.2%
アイルランド 348 9.9%
ペルー 249 5.6%

*1 人口百万人あたり
*2 国連の推定値(2020年)

感染者数が多いのに死者数の少ないシンガポールでは高齢者は7.3%です。そしてシンガポールで感染が広がったのは、狭い寮に住む外国人労働者であり、彼らの年齢が若いからこそ死者数が少ないと推察できます。カタールの高齢者率はわずか0.7%です。規制の緩いカンボジアも2.3%です。

また、押谷守氏によれば

ウイルス排出量が多い場合、他の人に感染させる可能性が高くなる。このウイルス排出量は「重症度ではなく年齢に関係する」と押谷教授は語る。

そうです。Lancetの記事でも

"Older age was correlated with higher viral load"
(年齢が高くなるほどウイルス量が増える)

とあります。つまり、高齢者の割合が少ないということは致死率の高い人が少ないだけでなく、感染力の高い人が少ないことになり、感染の広がる力が弱いと推察できます。もちろん、死者の平均年齢が80歳だからといって若い人が死なないわけでも、若い人だけなら感染しないというわけでもありません。規制緩和後の東京で、"夜の街"を中心に若い人の感染が増えているとも報じられています。

もともと日本は高齢者人口が21.8%とダントツに多いのですが、死者数は百万人あたり8人です。高齢者の割合が多い国は主に先進国ですし(スウェーデンを除いては)どこも何らかの規制をしています。つまり高齢者の割合が多くても規制によって感染を抑え込むことはできますが、高齢者人口の少ないところでは規制が弱くても感染が広まりにくいという傾向があるようです。

■未知のファクターX
スウェーデンを除けば、感染を抑え込むほど行動規制していない国は、ほとんど経済状況が規制を許さないところです。それでもブラジルの感染者数が多いのは、それだけ検査をしているということです(陽性率が44%にもなるので決して十分に検査されているわけではないでしょうが)。強く規制をしていなくて、検査をしていて、感染者が増えていないところは限られていて、そこには人口密度や高齢者率といった理由があります。そもそも各国の感染状況は規制の時期や内容に大きく左右されるため、"規制"を抜きにして感染を語ることはできません。そうしたものを除けば、感染を抑え込めるほどの「ファクターX」で確証が取れているものは今のところありません。

にもかかわらず、日本での結果だけを見て「日本は規制しなくても感染を抑える未知のファクターXがある」とか「規制は間違いだった」ということはできません。武漢で感染が広がったこと、ダイヤモンドプリンセスの状況を思えば、規制せずにやりすごせた可能性はありません。高齢者を引きこもらせて、人々が自主的に感染が広がらない行動しましょう、という緩いアプローチを取ったスウェーデンは、人口一千万人に対して死者5161人にもなり、日本人口に単純換算するだけでも死者6.3万人、年齢構成で重みづけすると10万人を超えることになります。もちろん、それを理解した上で、それでも「どれだけ人が死のうと経済を守ることが重要」と主張することはできますが、それが多数に支持されることはありません。そもそも感染を抑え込まなければ、国際交流が規制され続けることになり、経済再生が見込めない可能性が高くなります。

そろそろ現実を直視していい時期です。

Comment(12)

コメント

大阪市民

初動の速さに大きな部分を含めるのは無理があると思います
倍率が1以上で有る限り、初動を抑えても時期が後ろにずれるだけのはずです


収束に向かうためには実行再生産数が1以下になることは不可欠ですが
人口密度と人口比率の問題を抱えているにも関わらず
緊急事態宣言以前にピークは過ぎていたと言われています
緊急事態宣言以前の日本の押さえ込みが他国より強いのでない限り
ファクターX占める余地は大きいと思います


それから抗体検査の結果には感度の問題があるので
「疑う余地はない」ような状態ではないと思いますよ
ホストクラブで検査するたけで十数人ぽんとでる状態ですしね
これをこれから感染爆発が起こる前兆だと言う人も居るとは思いますが…

mohno

どのタイミングで実効再生産数を下げられるかが感染全体に大きな影響を及ぼすのですから、どう考えても初動の早さこそが大きな部分です。そして、それでも妄想を語りたければ、よそでやってください、と言っています。

悲観論者

これまでの経緯のまとめありがとうございます。
抗体検査の感度問題というか、抗体検査はいつまで有効なのか興味があります。抗体の減衰が話題になっている今日この頃なので。

mohno

抗体検査に関しては、日本赤十字社との協力で献血を使った性能評価で「一般的には0.4%程度の非特異は許容」とあるのに対し、
https://www.mhlw.go.jp/content/000637286.pdf
無作為抽出での調査結果が東京0.1%(1967人中2人)、大阪0.17%(2954人中5人)、宮城0.03%(3006人中1人)というレベルで、検査キットの精度に加えて、“標本の選択”が結果を左右する程度に小さな割合だとしか言えません。
https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/000640184.pdf
抗体が長続きしない件については、忽那賢志氏の記事が参考になると思います。
https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20200621-00184351/
抗体がなくなっても免疫がなくなるとまでは言えないようですが、今のところ確証情報はないようです。

大阪市民

小さい数に掛けようと大きい数にかけようと
倍率が1以上なら増えるし
倍率が1以下なら減る
これの意味がわからないですかね?

悲観論者

mohno様、
忽那氏の記事と調査結果ありがとうございます。
忽那(くつな)と読むんですね、初めて知りました(コツナと思っていました・・)。執筆のヤフー記事も大方読ませていただきました。(失礼にあたるかもしれませんが)信頼できそうな方ですね。紹介いただき重ねてお礼申し上げます。また本としてまとまっているものも読んでおこうと思います。

相変わらず

恣意的な主観による記事ですね。

mohno

ここに挙げた以外に「ファクターX」が存在する根拠があるなら、具体的にお知らせください。
もちろん感染を抑え込める程度“でない”レベルのものなら、色々あるのでしょうけれどね。

データサイエンティストX

これまでの状況を普通に考えたら、mohnoさんのおっしゃる通り、ファクターXの存在については、
真偽不明としか言いようがないでしょう。


あっても1個や2個の組み合わせではなく(XがあってZがなくて、GとLがあって・・・)といった
複数の組み合わせでしょうから、人間の頭脳で考えるのは限界があり、ベイジアンネットワークなどを
利用しない限り、個々の研究者が仮説を立てて・・では、いつまでたっても見出すことは困難と思います。


そもそも、すでに判明しているファクターで国別の差異はほぼ説明できるので、ファクターXは存在した
としても、支配的要因ではなく補助的要因になる程度かと・・・


やはり、感染抑制には、第1に水際対策(ないし隔離)、第2に行動抑制、が支配的要因であることは
確からしいでしょう。


そういう意味で、「クラスター対策」は「隔離」という意味で一定の効果があったといえるでしょうし、
逆に、「海外(EU)からの渡航者の流入を許してしまった」ことで、感染が広がったと分析されている
ことは、いずれも、水際対策(ないし隔離)のカテゴリの問題として説明できるのではないでしょうか。


北海道の第1波は海外からの渡航者、第2波は首都圏からの人の移動であると分析されていることも、
水際対策の範疇として説明できることでしょう。


この点、現状の数理モデルについては、例えば、1国を一つのモデルで表現してしまうと「北海道から
沖縄まで日本全国一律に、(距離を無視して)縦横無尽に均一に人が移動する」という、
あり得ない前提で計算することになり、非常に多くの行動抑制が必要になると算定される一方で、
国外から流入する人の移動を考慮できない、という問題を抱えることに加え、せっかくクラスター対策
で隔離した人(Q:隔離者)を考慮できないという問題、さらには、せっかく県をまたぐ移動を抑制
したのにそれも考慮できない、など複数の問題があります。


これを、
①北海道、青森、・・・、埼玉、東京、神奈川、千葉、…、大阪、兵庫…、宮崎など領域に分割して、
②個々に数理モデルを構築し、
③領域間の移動を考慮するとともに、
④海外からの渡航者の流入を境界条件とするモデルを作成して、
現実に起きている事象(県をまたぐ移動の抑制、海外からの渡航者の状況など)を考慮するとともに、
⑤(Q:隔離者)を考慮すれば、
どこかの論文にあったように異質性を考慮して無理にR0をいじるまでもなく、より人の行動に沿う、
精密な算定が可能になることでしょう。
(県内で移動する限り8割とかではなく6割とかで済むとか、県間を移動すると7割まで必要とか)


我が国の政府が、感染拡大を恐れたのは人口当たりのICUの数が先進国数最低レベルであることが
背景にありますが、3月4月の感染状況でもICUはぎりぎりで、それでも被害が抑えられたのは、
保健所や医療従事者の多大な尽力をはじめとする国民の努力によるものでしょう。


5月に準ICU数を追加して少なくないことを主張していますが、それを持ち出すのであれば、
諸外国も同様に追加するだけの話ではないでしょうか。


<参考1:厚労省 ICU等の病床に関する国際比較について 5月6日>
  https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000627782.pdf


ところで、
今後どうなるかについては、ファクターX(自然免疫有効説など)を重視する側は、行動抑制を緩めても
感染が広がらないことに結び付けたいところですが、今のところ、自然免疫のNK細胞のメモリー機能等や
交差免疫などを考慮しても、新型コロナに対し大きな効果があるという科学的知見は得られていないようです。


なお、自然免疫に分類されるNK細胞によるメモリー機能などは、かなり以前から知られていました(参考2)。


<参考2:理化学研究所 2014年8月>
 題名:記憶免疫機能を持つナチュラルキラーT(NKT)細胞を発見
  https://www.riken.jp/press/2014/20140819_2/


また、日本人なら、食物繊維を多く摂取することから下記のような免疫作用も新型コロナに効いていると、
信じたいところですが、「サイトカインストームを抑制する方向」に作用する可能性はともかく、
「感染するか/しないか」についてまで影響を与えるかの知見は今のところ無いようです(参考3、4)。


<参考3:NHKスペシャル 2018年1月>
 題名:NHKスペシャル「人体」 万病撃退!“腸”が免疫の鍵だった
  https://www.nhk.or.jp/kenko/special/jintai/sp_6.html


 →腸内で免疫細胞を鍛える
 →特定の腸内細菌との関係で免疫細胞の暴走を抑止する機能が高まる


<参考4:慶応大学医学部論文 2017年10月>
 題名:腸内細菌叢と免疫の関わり(腸内細菌と制御性Tレグ細胞)
  https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsci/40/6/40_408/_pdf/-char/en


 →「Tレグ(制御性T細胞)」が免疫細胞の過剰な攻撃を抑える役割を持つ
 →Tレグが、腸内細菌の一種であるクロストリジウム菌の働きによって、私たちの腸でつくり出されている

データサイエンティストX

ということで、これまでの状況を普通に考えたら、mohnoさんのおっしゃるように、
命題1と命題2が真なら、命題3も真であるということになりそうです。


<前提>
 命題1)感染が広がれば被害が大きくなる。
 命題2)感染が広がらなければ被害は小さくなる。


<気になる命題>
 命題3)日本はまだ感染が広がっていないから被害が小さいだけで、感染が広がったら被害が大きくなる。
 →これまでの状況を踏まえると真といえそう


これに対し「(感染を広げない要素としての)ファクターXというものがある」ということも前提としたい
側からは、命題1、2に加えて、命題Xも前提として、命題3は「真偽不明又は偽である」という推論を
したい、ということになるのでしょう。


<前提>
 命題1)感染が広がれば被害が大きくなる。
 命題2)感染が広がらなければ被害は小さくなる。
 命題X)感染が広がらない理由Xがある


<気になる命題>
 命題3)日本はまだ感染が広がっていないから被害が小さいだけで、感染が広がったら被害が大きくなる。
 →(広がらない理由Xがあるから)「真偽不明又は偽」と言いたい

データサイエンティストX

連投失礼します。


ここで、感染抑制には、第1に水際対策(ないし隔離)、第2に行動抑制、という点について
見てみますと、


①致死率(感染が確認された人数に対する死亡者数)と、
②死亡率(人口100万人当りの死亡者数)と
を掛け合わせた指標が優秀な国の順番で列挙すると下記のようになります。


                          ①    ②   
        人口    検出感染者  死者  致死率  100万人当り死者 
------------------------------------
1 台湾    2400万人     447    7  1.6%   0.3人 

2 豪州    2500万人    7595   104  1.4%   4.2人 

3 NZ     500万人    1520    22  1.4%   4.4人  

4 韓国    5200万人    12602   282  2.2%   5.4人

5 日本    12600万人    18129   971  5.3%   7.7人  

6 ドイツ    8300万人   193790   8956  4.6%   107人 

7 米国    32800万人   2430000  124415  5.1%   379人 

8 スウェーデン 990万人    63890   5230  8.1%   528人 

9 イタリア   6050万人   239706  34678  14.5%   573人  


被害が少なかった国に共通するのは(1)早期の水際対策、(2)早期の行動抑制という
当たり前の事実であり、


生活様式も影響がある可能性がありますが、人種や文化が異なるNZ(ニュージーランド)や
豪州(オーストラリア)で、我が国より感染が抑えられていることからすると、やはり、
(1)早期の水際対策、(2)早期の行動抑制が支配的要素であるとみるのが合理的です。


なお、我が国はクラスター対策に力を入れていたので「感染者を国民に寄せ付けない」という
意味で「水際対策(又は隔離)」と同じカテゴリに入れてもよいのかもしれません。
(被害が少なかった国はベトナムなど一部を除き、ほぼ全て島国です)


また、mohnoさんのおっしゃるように、早期に行動抑制すれば、その期間が短くて済むという
こととも相関関係があるように見えます。


<被害の少なさと相関のある事実>
(1)早期の水際対策(又は隔離)
(2)早期の行動抑制

 
 ※今のところ被害が少ない国に共通している事実としては、(3)島国であることにも着目
  できますが、要するに、陸続きで四方八方から人が流入する国と異なり、(1)水際対策
  がやりやすいということなのでしょう。
 ※そういう意味で、我が国は「台湾やNZとの比較ではそれほど成功していない」という
  見方もできます。(あくまで「法規制が緩い中で」という留保付きの成功)

           
           早期 集団         人口    行動抑制 行動抑制の   
        島国 水際 礼拝 ハグ マスク 密度  BCG 早期か  態様・期間
-----------------------------------------
1 台湾    〇   ◎  -  -  〇  650  〇  ◎   自粛+監視

2 豪州    〇   〇  有  有  △    3  ×  ◎   自粛(1カ月)

3 NZ    〇   ◎  有  有  △   18  ×  ◎   封鎖(1カ月)

4 韓国    △   △  -  -  〇  503  〇  △   追跡+監視

5 日本    〇   △  -  -  ◎  341  〇  △   自粛(2カ月)

6 ドイツ   ×  ×  有  有  ×  232  ×  ×   封鎖(2カ月)

7 米国    ×  ×  有  有  ×   34  ×  ×   封鎖(2カ月)

8 スウェーデン×  ×  有  有  ×   20  ×  ×    -

9 イタリア  ×  ×  有  有  ×  200  ×  ×   封鎖(2カ月)


※人口密度は1平方kmあたりの人数です。


※可能な限りエビデンスを確認して記載していますが、調査しきれていない部分もあるので
 参考程度に見てください。


<水際対策のエビデンス>
※台湾では、1月25日に、中国人の入国制限を実施し、中国の団体旅行客を1月末までに
 全員、 台湾より出国させるよう手配。
 https://www.hiwave.or.jp/wp-content/uploads/2020/03/rp-tp2003.pdf


※ニュージーランドは2月3日時点でニュージーランド政府はアメリカ、オーストラリア
 に引き続き、中国に滞在、または中国を経由した旅行者を入国させないことを決定。
 (検疫や待機などではなく入国禁止という強い措置)
 https://nz-land.com/archives/3001


※豪州では2月に中国からの入国を制限して以降、水際作戦を強化。3月20日から外国人
 の入国を禁止。
 https://www.jiji.com/jc/graphics?p=ve_int_australia20200413j-01-w510


※我が国は、3月7日から湖北省、韓国大邱市など一部の地域の旅行者の入国禁止、
 3月9日から中国や韓国全般の旅行者の検疫強化と、NZや豪州よりかなり遅く緩い対策
 https://www.vn.emb-japan.go.jp/itpr_ja/Coronavirut09032020.html

mohno

データサイエンティストXさん、
そもそもの疑問は、油断して感染の拡大を招いたシンガポールでの死者数が少なかったことと、ウエステルダム号さえ受け入れたカンボジアで(検査していないわけじゃないのに)死者がいないことだったのですが、高齢者割合が低い(そもそもシンガポールの感染は若い外国人労働者の間で広がった)ということで納得できました。その意味で、
> すでに判明しているファクターで国別の差異はほぼ説明できる
ここがポイントだと思います。年齢よりも、基礎疾患を持つ人の割合の方が影響ありそうですが(アメリカとか、とくに)
“早めの対策”に効果があるのは間違いないですが、アメリカの中でもニューヨーク/ニュージャージー/コネチカット/マサチューセッツなど、人口当たりの死者数が多い(失敗した)州が経済再開に慎重で、感染を抑え込んできたのに対し、フロリダ/テキサス/カリフォルニア/アリゾナのように序盤で感染が広がらなかった州で早くから経済を再開した州が、今になって感染拡大しているという状況があります。
緊急事態宣言はどうせ出すなら早い方がいいと思っていましたが、感染が広がって人々の危機感が醸成されてから出されたことで、人々の自粛意識は高められたのかもしれません。その意味では、2月下旬のイベント自粛や一斉休校などは、まだ延期が決まっていなかったオリンピックの開催という“なんとしてでも守るべきもの”があったことが影響したとも思います。
アメリカの州もそうですが、経済を再開させているヨーロッパの国々も、ふたたび感染が広まって、また封鎖する体力があるかどうかが気になるところです。

コメントを投稿する