新型コロナ: お詫びとお願い
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■お詫び
この記事のコメントで、病院で仕事をされているという方から、不安を煽ることで医療負担や心理的負担を増やしているというご批判がありました。経済を重視したいがあまり、「新型コロナはインフルエンザと同じようなもの」という誤った理解で、その脅威が軽視されることを問題視したものでしたが、無用な負担を招いているようでしたらお詫びします。
ただし、この記事の主旨が誤っていたということではありません。CNNの "Coronavirus death rate is lower than previously reported, study says, but it's still deadlier than seasonal flu"(研究によればコロナウイルスの致死率は従来の報告よりは低いが、それでも季節性インフルエンザより危険)という記事では "it is very clear that any suggestion of COVID-19 being just like influenza is false"(COVID-19をインフルエンザと同じようなものだと言うのは、明らかな誤りです)と締めくくられています。
■お願い
ワクチンはないので、感染を広げないためには人々の行動を変えるしかありません。これには、不要不急の外出を控える、専門家会議によって示された3密(密室・密集・密接)を避ける、手洗い・うがいの励行などがあります。
さて、昨日放送されたNHK「クローズアップ現代+」では、東京都に助言している大曲貴夫氏が感染者数の増減するグラフを見ながら「対策をすればやがて患者さんの数は減ってきます」と説明されていました。(※26:40頃~) 諸外国の状況を見れば分かる通り、私は、その"対策"こそが外出禁止のような厳しい規制であり(日本の法律上はそこまで厳しい規制はできないそうですが)、緊急事態宣言なのだろうと考えていました。しかし、今のところ緊急事態宣言は出されていません。
早くから感染の広がった日本では、おそらくオリンピック開催が危ぶまれたことで安倍首相が早々とイベントの自粛を要請しました。この日(2/26)までの感染者数は、まだ164人に過ぎませんでしたが、おかげで日本は他国に比べても感染者増を抑えることができました。具体的な理由については、いずれ検証されることになるでしょうが、この低い増加ペースはBCG接種や日本人の体質には関係ないと思います。(クルーズ船では、乗員・乗客の17%が感染しました) それでも感染者の増加は回復者の増加を上回っている状態です。もっと感染者増を抑え込むためには緊急事態宣言を出すべきなのに、オリンピック延期も決まった今、政府が経済に遠慮してなかなか出さないんじゃないかと邪推していました。
番組の終盤で、大曲氏は次のように述べています。(※28:40頃~)
(都市封鎖のような上から制限をかけられるか、私たちでなんとかできるのか聞かれて)私たちの選択なのかな、と思います。強烈な都市封鎖をすれば感染が収まるのは、たしかに中国の事例でも分かっています。ただ、厳しいですよね。一方で、私たちが自分たちの行動を変える、たとえば狭いスペースを避けるといったことを意識的にやれば感染が減っていくと、抑えられるということも分かっています。私たちがどちらを取るのか、ということが大事なのかと思います。何もしなければ厳しい状況になりますし。そういう意味では、私たちが適切な行動を取ればですね、私はこの感染の危機は、この国であれば乗り切れるんじゃないかと、まだ日本はやれるんじゃないかと、私は思っています。
医療現場を代表するであろう日本医師会だけでなく、経済同友会からも緊急事態宣言を出すべきと言われているのに出さないのは、決して政府の意向などではなく、こうした専門家の人たちが、いまなお自粛というレベルで感染を抑え込めると考えているということのようです。最後には「私たちは全然諦めていないです。まだ日本はやれると思います」と力強く語られていました。
※NHKプラスでは、1週間見逃し視聴できます。
観光や外食産業など、すでに自粛によって壊滅的な打撃を受ける業種があります。それでもなお「まわせる経済はまわしたまま」感染を抑え込むことができるのなら、こんなに素晴らしいことはありません。その道は一歩間違えば、感染爆発が起きて深刻な医療崩壊が起きている欧米のような状況に突き進む可能性も否定できませんが(そうなりかけたら緊急事態宣言が出るでしょう)、大曲氏の力強い言葉に少し光を見た気がします。
お願いです。不要不急の外出はしないでください。外出するときは3密を避け、できる限り感染を避けるよう行動してください。報道されている通り、若者なら安心というウイルスではありません。高齢者と断絶できる社会でもありません。「言うは易し」で、そうした自粛により1日先の生活すら見えなくなっている人がいたり、組織があることは報道もされています。軽々しく「気持ちが分かる」と言えるものでもないでしょう。それでも人々が感染を防ぐ選択をすることで、劇的な経済ダメージを回避しつつ、再生できるかもしれないのです。今、この選択をしなければ、長い後悔が待っているだけです。