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グルーポン3.0!?グルーポン系サイト+リアルタイム予約サイトが恋をした。グルーポンビジネスはフロー型からストック型へ!?

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グルーポン系サイト(共同購入クーポンサイト)『KAUPON』で購入したクーポンをリアルタイム予約サイト『akiran.jp』を介してインターネット上からリアルタイムに予約できるサービスを2010年12月6日から開始した。
これにより、購入したクーポンの予約用リンクがマイチケット画面や確認メールに貼付され即時予約が可能となった。また、電話やメールによる予約空き状況の確認といった作業が一切不要となり、予約の確認・変更もマイページから操作できるようだ。

Kaupon_akiran

プレス記事は以下。
■Value Press
http://www.value-press.com/pressrelease.php?article_id=69512
■Venture Now
http://www.venturenow.jp/news/2010/12/07/2128_009046.html


さて、このKAUPONとakiranが恋したことによりどんなメリットがあるのか?

「店舗」「消費者」「運営者」目線でそれぞれ考察してみた。


「店舗」

1.予約を正確に把握することができる

既存のグルーポンビジネスでは、事前に購入者がチケットを購入することで、どれくらいの消費者が来店するかはザックリと予想がついたものの、正確に把握することはできなかった。
しかし、akiranのリアルタイム予約システムを用いることで、それが把握できるようになる。

2.機会損失を減らすことができる

さらに、店舗が営業してない時間または従業員スタッフが電話に出れない時間帯でも、消費者から予約を受け付けることができるようになるため、営業していないことによる機会損失減らすことができる。

3.店舗がCRMシステムを持つことができる

プレスの記事内に
"また、予約に関わるオペレーションの簡素化以外にも、 顧客情報を自動的に蓄積できるため、訪問客のリピーター化にも活用できる。"
とある。店舗は一度利用すれば、akiranの持つシステムを使うことにより、店舗は顧客を上手くリピーター化できるようになるかもしれない。


「消費者」

1.グルーポン系サイトのチケットをその場で買い、熱が冷めないうちに予約することができる。

グルーポン系サイトで半額以上のチケットを購入した後、取引が終了するまで待たなければならなかった。(一部では購入後すぐに使えるようにしているチケットもあるが)
タイムラグが発生してしまうため、購入者は店舗への予約を忘れてしまい、そのままチケットを利用しないままで終わってしまうケースも多々発生している。
これが今回なくなるわけである。
消費者にとってはうれしい話である。

ここに関しては既存のフリーペーパーを脅かすインパクトがあると考えている。


「運営者」

1.フロー型からストック型へ移行

これにより、グルーポンビジネスの弱点が解消されることになる。
既存のグルーポンビジネスでは、1日1エリア1店舗を守っており、一度掲載した店舗は何度も何度も掲載しないため、常に新しい店舗を獲得し続けなければならなかった。
しかし、今回は一度営業で取れた店舗は、今後akiranのシステムとも契約することでストックできるため、月額課金でチャリンチャリンビジネスにすることができるのだ。

2.KAUPON STORESとも連携

KAUPON STORESとは、店舗主導型グルーポンのことである。店舗が自分の好きなタイミングでグルーポンビジネスを開始することができるというサービスである。
ちなみに、すでに米グルーポンではGroupon Storesなるものをリリースしている。

■KAUPON STORES記事
http://www.spotlight-news.net/news_cOUvGt0a5i.html
■Groupon STORES記事
http://journal.mycom.co.jp/news/2010/12/02/032/








さらに考察を深めると、「店舗」で考察した、"2.機会損失を減らすことができる"という部分では、オンラインで見つけてきた消費者を実世界の店舗に連れてくるという『オンラインツーオフライン(O2O)コマース』市場をさらに拡大させる動きになる。

あまりピンとこない方は、以下の記事を読んでほしい。

■オンライン・ツー・オフライン(O2O)コマースに1兆ドルの可能性がある理由(TechCrunch)
http://jp.techcrunch.com/archives/20100807why-online2offline-commerce-is-a-trillion-dollar-opportunity/

グルーポンビジネスがこれだけ急性長は、オンライン店舗と取引エンジンによってオフラインコマースを促進することによる一つの成功事例であると考えられる。
今回のこのKAUPONとakiranの2社が恋したことにより、O2Oコマース市場をさらに拡大させる方向になり、


さて、さらにさらに考察を深めていくと、

今回のKAUPONとakiranの恋は既存フリーペーパーを取り扱う企業を脅かすことになるかもしれない。

既存フリーペーパーの良い点として、その日、好きな時間にクーポンが使用できるということが挙げられる。
グルーポン系サイトで販売されているチケットは事前予約が必要なため、使用するシチュエーションが異なっており、いい意味で住み分けができていた。
しかし、今回の恋により、既存フリーペーパーを使用するシチュエーションにも対応できるグルーポン系サイトが現れてしまったことになる。

店舗としては、繁忙期でも既存フリーペーパーにクーポンを発行しないといけなかったが、この恋により、自分の好きなタイミング(ドタキャンが入ってしまったり、閑散期など)でクーポン発行が可能となった。
しかもKAUPONの事前決済機能を使うため、確実に金額が入ってくるのである。


さぁ、リクルートや本家本元のグルーポンが黙っているわけがない。


あまりデメリットが見受けられなかったが、強いてあるとするならば、


安売りによる店舗の疲弊合戦をさらに加速させる可能性がある

ということである。
但し、店舗がakiranのCRMシステムを上手く活用し、店舗にファン(リピーター)を上手くつけることができる可能性があるため、一概には言えない。

店舗はakiranのシステム(顧客のリピーター化)やKAUPONのグルーポンシステム(カンフル剤として新規顧客呼び込み)を上手く活用していってほしい。

上手く活用するヒントとして、「パーソナライズドディール」「ソーシャルメディア」「ローカライズ」というキーワードが挙げられると考えている。

今回の恋は、グルーポン3.0と呼べるかもしれない。

ますますグルーポンビジネスから目が離せなくなってきた。

芝辻

この記事に関するお問い合わせ(それ以外でも可)は以下まで
shibatsuji@sharecoto.co.jp

 

 

 

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