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フラッシュマーケティングやソーシャルコマースに関して現場目線でグダります。

クーポン共同購入からソーシャルコマースへの舵切り!KAUPONのピボット戦略「サービスチケットプラットフォーム」とは?

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キラメックス株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:村田 雅行)は、本日(10/24(月))より共同購入 クーポンサイトとして運営していた「KAUPON(カウポン)」の大幅なリニューアルを実施した。

最近よく耳にする言葉に「Pivot(ピボット:方向転換)」は、グルーポンビジネス(共同購入クーポン)のような新しいスタートアップにとっては生き抜く上での戦略として柔軟さも必要なのであろう。

KAUPONの新しいサービスは、飲食・エステ・美容院などのリアル店舗のチケットが購入できるプラットフォームである。今までの共同購入型クーポンサービスとは異なり、チケットの取引成立枚数の下限値や時間限定のフラッシュマーケティング的要素を強制しない。

再編が進む国内の共同購入型クーポンサービスの中でも大きく形態を変えることとなったピボット戦略であろう。

つい先日話題にもなった、楽天のFacebookページ開設支援サービス「楽天S4」がECサイトのFコマースなら、KAUPONの新サービスはリアル店舗のFコマースと言えるだろう。

■新KAUPONのサービス概要

飲食店等のリアル店舗から月額5,250円とチケット販売手数料15%を取る仕組みとなっている。店舗はKAUPONに掲載することで、ソーシャルコマースをすることができ、Facebookページを作成してもらえる。

hotpepperやぐるなびと違うところは、
・店舗主導型であること
・事前決済が可能なこと
・ソーシャルメディアをフル活用していること
などが挙げられる。

店舗が好きな時に、クーポンなどが発行できるのは、Groupon Now!Facebookのチェックインクーポンとサービス内容が被っている。しかし、Groupon Now!に対してはFacebookページが作成されること、チェックインクーポンに関しては事前決済があることなどで、両者が持っていない部分を統合するようなサービスとなっている。

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当面は東京都のみの展開となるようである。

■既存KAUPONサイトのソーシャルコマース化によって得られた知見

またKAUPONは共同購入型クーポンサイトを運営している際に得られた面白いデータも公表している。自社サイトのソーシャルコマース化により「購入者の顔が表示されるとチケットの購入率がアップ」し、「ソーシャルグラフの広さによって購入率が変動する」ことが分かっている。

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「ソーシャルグラフの広さによって購入率が変動する」では、より身近なソーシャルグラフの方が購入率が高いとのこと。やや古いデータとなるが、米グルーポンサイトへの流入元の割合をCompeteが公表しているが、44%がFacebookから、8%がTwitterからというデータが出ている。

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ここからは私個人的な見解となるが、Paul Adamsが定義(The Real Life Social Network)している繋がりの強さを日本のソーシャルメディアに置き換えると、強い絆(Strong Tie)はmixi、弱い絆(Weak Tie)はFacebook、一時的な絆(Temporary Tie)はTwitterであると考えることもできると思う。

※ソーシャルグラフの新しさは違うもののFacebookは強い絆も日本では兼ね備えており、Twitterは強い絆も弱い絆も兼ね備えている。

Pauladams

ソーシャルコマースは強い絆が肝になってくると言う仮定のもと考えると、依然国内SNSで最大規模のユーザー数を誇るmixiを如何に上手く使うかと言うことも考えておく必要があると思う。

■今後期待したいサービス内容を考えてみる

・位置情報を絡める
チェックインすることでソーシャルグラフに伝播する可能性があったり、個人のログが取れるので、CRMとして機能しパーソナライズドディールなどが可能になる。しかも店舗主導で。

・店舗予約を可能にする(夜間などでも)
通常店舗(居酒屋など)を予約する際は店舗の営業時間でないと電話が繋がらない可能性がある。店舗の座席が商品の在庫のようにシステム的に管理されるようになれば、ユーザーは夜間でも店舗を予約することが可能だ。akiranなどが似たようなサービスを提供してる。

またソーシャルメディアを活用するのであれば、カレンダー機能などと連携をさせ、友人を誘って、日程が合えば決済が完了するなどといったことも可能になるだろう。(例:Disney Tichets Together)

・店舗ウィッシュリスト
店舗がより全国区になれば(網羅的になれば)、自分のウィッシュリストなどをそこで作成することができるとなおよい。例えば、テレビで観た北海道のラーメン屋に行ってみたいなぁと思ったものを登録しておき、旅行に行った際KAUPONのウィッシュリストを観て訪問するなどが可能になる。

・ソーシャルギフト
上記のようなウィッシュリストが生成されていけば、友人の誕生日等にその友人のウィッシュリストを見て、KAUPONでプレゼントをすることができる。これはGifteeに近い内容である。

その他様々な展開が考えられるが、是非とも上記はやってほしい内容である。

■その他共同購入型クーポンサイトの動向に関して

共同購入型クーポンと言えば、世界最大手の米グルーポンが来月11月にも米NASDAQに上場する予定と言うニュースがつい最近あるが、この米グルーポンも直接商品を購入できる新サービス「Groupon Goods」や、「G-team」と呼ばれる米グルーポンの前進となったthe point(*1)とグルーポンを融合させたCSR活動をするなどピボット戦略を展開している。

*1:the pointとは市民運動を組織するサイトで、消費者が立てた運動に対してその必要となる資金に対して、いくら集まったら運動を実施と言ったサービス。(http://jp.techcrunch.com/archives/whats-the-point/)日本ではCAMPFIREなどに近いサービスである。

また国内でも再編化は進んでおり、国内第3位のShareeeは、pikuGOTi(ゴーチ)など、その他の共同購入型クーポンサイトと事業提携/統合を進め規模を拡大させ、上位2位のグルーポンやポンパレに対し巻き返しをかけている(*2)。

*2:株式会社シェアリーのプレスより(http://www.shareee.jp/press/0)

グルーポン系のサービスは各国とも苦戦を強いられており再編や淘汰が進んでいる。各社ピボット戦略を打つ中で、私個人の見解としては、割引の陰線ティブだけではなく、特別な体験が得られるインセンティブだとか、別のインセンティブの訴求によりこのビジネスモデルは成功するのではないかと考えている。

一世を風靡したと言っても良いグルーポン系ビジネス。今後の展開が楽しみである。

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