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2050年:地球温暖化が続けば、北極圏に都市ができる?

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以前にも紹介した『2050年の世界 英エコノミスト誌は予測する』の「地球は本当に温暖化するか」の章に気になるコラムがありました。このまま地球の温暖化が進むと、北極圏に活気あふれるフロンティアができるのではというものです。これまで白かった地球のてっぺんが青くなり、新たに北極海という大洋が生まれるというもの。シロクマはじめ野生動物の住処が無くなるとか、先住民の生活を変えてしまうということとは別に、すでにその海洋資源の開発に周辺の国々は目を向けているとのことです。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)が今年発表したプレスリリース「北極海海氷の観測データ解析結果について」によると、なんと北極の氷は、30年前の半分以下になっています。
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(左が1980年代の北極圏の氷、右が2012年9月の北極圏の氷 写真:(C)JAXA)

『英エコノミスト誌は予測する 2050年の世界』では、さすがに太陽の光が全く当たらない冬は凍結するにせよ、夏は全く氷が無くなることも予想され、そうなると海洋資源を求めて人口密度が上がり、富裕化と開発が始まるというものです。

では、北極圏にはどんな資源があるのでしょう?米地質調査所(USGS)の2008年の分析調査をまとめた10月4日 読売新聞の記事によると、「北極圏の資源量は、石油が約900億バレル、天然ガスが1670兆立方フィート。世界全体の未発見資源量から見ると、石油は13%、天然ガスは30%も占めている。まさに「宝の山」が眠っている」とのこと。ただ、やはり冬期は、海が凍結するため開発は一筋縄では行かないとの指摘もされています。

もう一つ、北極海ができると変わるものがあります。航路です。NHKの今年9月のニュース解説によると、例えば日本からヨーロッパへの航路は、現在、マラッカ海峡とスエズ運河を経由する南周りです。それが北極海経由だと距離は、半分に。時間も燃料も大幅に削減ができます。
北極海に面している5か国、ロシア、カナダ、アメリカ、ノルウェー、それにグリーンランド領有するデンマークは、海底資源の開発権を確保しようと様々な動きを見せているそうです。それらの国だけではなく、すでに中国と韓国は、砕氷船を北極に派遣して本格的な調査を始めているとのこと。一方、日本は完全に出遅れているそうです。

しかし、これまでどこの国のものでも無かった北極は、今後どうなっていくのでしょう?地球の環境問題も考慮し、目が離せない話題と言えるでしょう。

<参照>
宇宙航空研究開発機構(JAXA)「北極海海氷の観測データ解析結果について~北極海海氷の面積 観測史上最小記録更新~」
http://www.jaxa.jp/press/2012/09/20120920_arctic_sea_j.html

時事通信 「海氷溶解で北極圏での汚染進む=国連環境計画」
http://www.jiji.com/jc/rt?k=2012091900247r

読売新聞 「地球温暖化で、北極圏の資源開発はやりやすくなる?」
http://www.yomiuri.co.jp/job/biz/qaetc/20121004-OYT8T00980.htm

NHKニュース解説「ピックアップ@アジア 「温暖化で氷激減 北極海めぐる攻防」」
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/450/131013.html

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英『エコノミスト』編集部 船橋 洋一

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