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ワインと巡るアートの旅 「ゴッホに乾杯!」

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昨夜は、霞ヶ関ナレッジスクエアで開催された「ワインと巡るアートの旅  ゴッホに乾杯!」というセミナーに参加してきました。主催のひとつであるMaison de Van Gogh 日本事務局のお手伝いを会社の元同僚がしている縁で参加させていただきました。ゴッホの生涯と作品の解説を聴きながら、ゴッホ縁の地のフランス産ワインをいただくという素敵な企画でした。

まずは、霞ヶ関ナレッジスクエアの華井さんから本日いただけるワインの解説がありました。フランス・ワインと言えば、ボルドー、ブルゴーニュ、シャンパーニュ地方が有名ですが、ゴッホ縁の地プロヴァンスのワインも美味しいとのこと。この日は、なかなか日本で流通しない珍しいワインも振舞われました。なんとそのワインを選んだのは、会社の元同僚、下戸なのに。。。(笑) 白、ロゼ、赤といただきましたが、どれもとても美味しかったです。

Mvg02_2 つづいて、洋画家の中西 繁さんより、ゴッホの生涯と作品についての講演がありました。中西さんは、ゴッホがパリに出てきて弟のテオと暮らしたアパルトマンの同じ部屋に2年間暮らした経験をお持ちです。もともとは、建築家だった中西さん、ゴッホが暮らした部屋の間取りのスケッチを見せながら、当時、ゴッホのアトリエアだった部屋、寝室、テオの部屋をどのようにレイアウトして使用したかを写真を交えて紹介してくれました。
また、ゴッホが住んでいた頃とそれほど変わらないパリの姿を、同じ窓から眺めて絵も描かれていました。
ゴッホの暮らした同じ部屋に暮らす、いったいどんな感じなんですかねえ。これは、なかなかできない素晴らしい体験だと羨ましくなりました。

実は、今までそれほどゴッホにあまり関心がなく、どうも日本でのゴッホ展やら海外の美術館の展示でもゴッホの絵の周りには、多くの人がごったがえしていて、無意識に避けてしまっていました。ただ、どの絵を見ても一目でそれと分かる彼の作品の個性は強烈だと思ってはいました。
今回解説を聴いて、彼が牧師の家に生まれたこと、エミール・ゾラの影響のもと宗教から自然主義へと自分の芸術を昇華させていったことを考えながら絵を見ると、さらに奥深い世界が広がっていくことが分かりました。初期の絵の聖書の横の黄色い本の「エミール・ゾラ」「生きる喜び」という書き込み、自身の耳を切った事件の聖書に共通するエピソード、ゴーギャンを表現した椅子の上の蝋燭と2冊の本の意味、後世の傑作「星月夜」に隠された自然主義への想いなどなど、また海外に出かけてゴッホの絵を改めて鑑賞したくなりました。

解説していただいた中西繁さんの作品も画集やビデオで拝見させていただきましたが、こちらも素晴らしいものでした。先日、銀座の画廊で個展が開かれていたそうで、伺えなかったのが残念です。今度、ぜひ、中西繁さん作品も直に拝見したいと思いました。

美味なるワインを飲みながら、芸術家の生き様に思いを馳せた夜になりました。プロヴァンスでゴーギャンとしばし暮らした家の1階は、ラヴー亭というレストランになっており、そこで提供されているゴッホの絵のラベルのハウスワインも振舞われました。

ゴッホが最後に暮らしたパリ郊外の家にまつわるエピソードと絵画が、4月9日に放映予定の『美の巨人たち ゴッホ「カラスの群れ飛ぶ麦畑」』(テレビ東京系列)で紹介される予定です。

なお、このイベントの参加費の一部は、東北太平洋沖地震の被災地の自治体に義援金として送られます。

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