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ITが無いと生きていけないのに、アナログな日々

Watsonとは何なのか?

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IBMのコンピューターが米国人気クイズ番組の「Jeopardy!」で勝利したことは、多くのメディアで取り上げられてご存知の方も多いと思います。素晴らしい2名のクイズ・チャンピョンに支えられて楽しい番組になりました。人間代表のお二人のユーモア・センスや番組を楽しくしようという心意気に感謝の気持ちでいっぱいです。

個人的には、対戦に勝利したことはあまり重要でないと思っています。膨大な情報から該当する項目を見つけ出し早押しをする、これはコンピューターが得意なことです。一方、自然言語を理解して返答する、これは人間が得意とするものです。今回、コンピューターが人間の自然言語を理解し返答できるのか、それを試す場としてクイズ番組が選ばれました。重要なことは、自然言語を理解して応答するという基礎技術が使えるかということを検証することでした。クイズに勝つことは目的ではないのです。ですから、人間がWatsonに再挑戦するというのは意味が無いことです。

重要なことは、今後この技術が何に使え、どう人間の生活を豊かにできるか考えることです。

さっそく、この技術を応用したソリューションが発表されました。「医師が患者の症状について口頭で質問をすると、Watsonが関連する文献、過去の症例、最新の医学論文などの膨大な情報を分析し、療法をアドバイスする。」とあります。構造化されている、構造化されていない膨大なデータから貴重な知見を引き出すことができます。Watsonが目指しているのは、こうしたソリューションへの応用です。

例えば、病院のない過疎地でコンピューターに向かって患者が症状を言えば、次にとるべきアクションをアドバイスしてくれる、薬局で適切な薬が買えるよう処方箋を出してくれる、などできるようになるといいですね。

例えば、漠然と欲しい商品や製品の機能の話しを語ったら、「あなたが欲しいものはこれですか?」とコンピューターが教えてくれるかもしれません。冷蔵を開けたらこんな食材が入っている、今夜のおかずのレシピを冷蔵に組み込まれたWatsonが提案してくれるかもしれません。

最終判断は、人間がする場合でも、多くの選択肢をWatsonがアドバイスしてくれるでしょう。

これからいろんなアイデアが出てきて、この技術が多くの分野で活かされていくことを期待しています。

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