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ITが無いと生きていけないのに、アナログな日々

いろんなヒントがある『モチベーション3.0』

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肩の力を抜いて読めます。難しい話でなく、どうすれば人がやる気を出して成果が出せるのかが分析されていますね。人間は、そもそもアメと鞭政策で鼻先にニンジンをぶら下げられて叱咤激励されながら何かをするのではない、「褒賞のためでなく、世の中に役立ちたい」という想いを持っているのだということを、いろんな実験結果から実証しています。西洋では、本当にいろんな実験が行われているんですね。著者が実験をしたのでなく、過去にされてきた多くの実験を集め、分析し検証しています。

それで旧式の人間のOS「モチベーション2.0」を捨て、「モチベーション3.0」をインストールしようというものです。この「褒賞のためでなく、世の中に役立ちたい」という「モチベーション3.0」は、決して新しいものでなく、人間本来が持っているものだそうで、過去に「モチベーション3.0」のマインドで成功した数々の事例も紹介されています。

難しいのは、この本を読んで、本人がモチベーション3.0の人になっても、会社や組織の上に立つ者が2.0のままだとうまくいかないってことですかねえ。人の上に立つ人ほど、読んでいただきたい内容ですね。

巻末に、「やる気」を起こすためにこんなことを行った人がいる、組織があったというヒント集が掲載されており、それが面白かったです。個人的にぜひ実践したいと思ったのが、デザイナーのステファン・ザグマイスターの事例。通常、人は、人生の最初の25年を学習に、次の40年を仕事に、最後の25年を仕事から退いて余暇に過ごします。そのうちの最後の5年を仕事の40年の中に割り振っちゃったらどうかということで、ザグマイスターは7年毎に1年間事務所を閉め遊んだり勉強したりして、また次の7年間仕事をするというのを実践したそうです。仕事を休んだ一年の間の経験から生まれたアイデアが次の7年間の仕事をより素晴らしいものにできたそうで、なんとも羨ましくなりました。自営業の方ならいいですが、サラリーマンは難しそうですよね。
でも、こういう制度を取り入れる会社ができたら・・・、とちょっと期待しちゃいます。

モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか
ダニエル・ピンク 大前 研一

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