自動運転などが与える影響とは
クルマの需要や自動車業界に与える影響が取り沙汰されていますが、実際のところはどうなどでしょうか?
英バークレイズによれば、自動運転とカーシェアサービスが普及するとクルマの需要が4割減ると分析されているようです。
この数値の詳しい根拠は知りませんが、大きな数字だと思います。筆者の予想にも近いものがありました。
なぜ自動運転などの開発が進められているのでしょうか?
もちろん世の中を快適・安全にするために進められていることは想像に難くありません。
ところがそれだけではなく、労働生産性との関連性も出てきます。
つまり、労働生産性を高めるために自動運転を開発する、または労働生産性が高まってきたから自動運転が開発できるようになってきた、という相関です。
労働生産性は、GDP(国内総生産)を就業者数で除して計算され、1人当たりの稼ぎのことです。
日本生産性本部によると、2014年度は770万円で底値であった2011年度の755万円から少し回復しましたが、いまだにリーマン・ショック前の800万円を下回っているような状態です。
興味深いのは労働生産性の伸び悩みは米欧諸国にも共通することです。
日経新聞(以下、記事参照)によれば、先進国の労働生産性伸び率は、1995〜2004年の2%近くから、2005〜2014年には1%弱に低下してしまったのです。
伸び鈍化の原因には次の3つがあると言っています。
- 資本蓄積の伸び率鈍化
リーマン破綻後、金融機関が傷み、資本の配分が非効率になっている - 全要素生産性の伸び率鈍化
生産性の低い産業が雇用を抱え、成長産業にうまくヒトが流れていないという雇用のミスマッチ - 計測の問題
以上のような問題が指摘されているのです。
アベノミクスでなかなか大胆な成長戦略が打ち出されないことに欧米の金融関係者がやきもきしていますが、特にその矛先は労働市場の垣根の撤廃に向いているようです。
ところが、他の先進国でも同様に、雇用のミスマッチが生じていることは筆者にとって意外なことだったのです。