企業のIT投資に対する意欲は期待ほどではない
「業務革新、業務効率化」等を意図した"守り"のIT投資と比べ、攻めのIT経営のための「売上又は収益改善」、「顧客満足度の向上、新規顧客の開拓」を意図したIT投資の割合が相対的に低いことがわかります。
具体的には、「業務革新、業務効率化」が94.4%であるのに対して、「売上又は収益改善」は66.4%、「顧客満足度の向上、新規顧客の開拓」は58.7%にとどまり、意欲に温度差があることがわかります。
理由としては、"攻め"の意図をもつIT投資について、実際の効果があった割合は4割弱にとどまっていることが挙げられます。"守り"のIT投資が53.7%あったのに比べ相対的に低い状況なのです。
「売上又は収益改善」37.1% 「顧客満足度の向上、新規顧客の開拓」37.0%
「業務革新、業務効率化」が53.7%
筆者は特に、攻めのIT投資の結果、満足感を得られる効果を出すことができていない点について、危惧しています。このような状況がこれからも続くようでは今後も攻めのIT投資は増えていかないからです。ただでさえ、欧米や韓国の企業に対して劣るIT利活用に対する前向きなマインドにより、国内企業から競争力が削ぎ落とされていくことは間違いありません。
なぜ、攻めのIT投資を行った企業は、実際の効果を出すことができていないのでしょうか?
問題の解決のためには、この部分を検証しないといけないと筆者は考えています。
原因についての私の仮説は以下のようなものです。
IT導入に対する計画段階での全社的な価値の共有の不足、さらに導入後における最大限の効果を出すための使いこなしの不足などです。
これらのことを勘案するに、我々のようなIT系企業側にもできることは他にも多くあるのだと気づかされるのです。