フィンテックという新しい風
「フィンテック」という言葉を聞いたことがおありですか?
金融とITを融合して技術革新を促すことによって、あたらしいサービスを生み出すことを指しているのが、フィンテックです。
この概念については、最近急速に存在感を増しています。
筆者がその言動について、常に注意を払っている人物がいます。三菱UFJフィナンシャルグループ(MUFG)の平野信行社長のことです。
今や総資産で世界8位につける三菱UFJの持っている実力は群を抜いており、プロジェクトファイナンス(PF)の組成実績でも2年連続で世界首位を獲得しています。そんなメガバンクのトップの発言からは目が離せない、という訳です。
平野氏も、アリババなどの電子商取引企業が、フィンテック事業に参入して銀行の事業領域を犯し始めていることに対して、脅威を感じています。
「銀行の規制を受けない領域で低コストのサービスを提供する。しかもそれがモノの流れと結びついて顧客の利便性が高い。」(日経新聞15.9.15)
実際に国内でも、日本IBMがフィンテック事業への参入を発表しています。具体的には、ビッグデータ分析などの技術を持つ国内外のベンチャー企業や米IBMグループの銀行向け事業を国内の金融機関に紹介します。スマートフォンのアプリが迅速に構築できるサービスを取り揃え、便利な新サービスの創出を支援するとのこと。(日経新聞15.9.13)
これに対して、金融機関もただ指をくわえて眺めてるだけではありません。
米シティグループやドイツ銀行、三菱UFJフィナンシャルグループなど日米欧の大手22行がフィンテックで連合を組むのです。仮想通貨ビットコインでも使われた技術を応用し、送金などの決済を低コストで処理できる共通システムを構築します。手数料の引き下げなど利用者の利便性を高め、IT系の新規参入企業に対抗するのです。(日経新聞15.9.30)
ちなみに、当該連合には三菱UFJはアジア勢で唯一の参加見込みとなりそうです。
提携に参加する顔ぶれを見ると、ドイツ銀行や英HSBCなど世界首位を伺う顔ぶれが揃いました。ただちなみに、もう一方の雄である仏BNPパリバは入っていません。
いずれにしても、フィンテックの分野には参入を検討している国内IT企業も多いのだと思います。ファイナンスとテクノロジーを組み合わせた造語であるフィンテックですが、スマートフォンの活用や(AI)人工知能を駆使した金融サービスが想定されます。提供できるIT系の企業はまだ一部かもしれませんが、計画ベースで立案した企業は増えてきているのだと思うのです。