いま再び、岡田元日本代表監督の言葉
多くの功績を残して、日本男子サッカー代表の監督を退いてから数年が経った岡田氏には、時の経過とともにスポットライトが当たる機会も減ってきていました。
それでもJ2リーグに所属するFC愛媛のオーナーに就任して、新たな挑戦を始めたことには筆者も大いに注目しています。この件についてはまた機会を見てご紹介します。
今日は同氏について、別の観点から書いてみたいと思います。
2010年のワールドカップ南アフリカ大会で決勝トーナメント進出を果たし、高い評価を受けた岡田氏ですが、大会を迎える前のテストマッチで連敗が続いていた時は、緊急国民アンケートで約8割が解任を求める、というピンチの時期がありました。
その直後に開催された本番では見事に国民の期待に応えましたので、同氏にここまで深刻な窮地が到来していたことさえ覚えていない人たちも多くいそうです。
ところがそんな時、岡田氏は達観していました。「指導者は勝てば賞賛され、負ければ非難される、という結果がすべて」だということを。
そこで長く続いた窮地の状況の中、彼が拠り所にしていたのは、
「国民の反応に神経質になるのはやめよう」
「自分の子供たちにお父さんの生き様や信念を自信を持って示すことができれば、それでいいのではないか」という考えでした。
何という立派な考えの持ち主なのでしょうか。
代表監督というもの凄い重圧の中、日本中のサッカーファンを敵に回しても家族に対してだけは誇りを持って行動してきたことを示せればいいんだ、という考えを持っていたのです。
そういう苦しい時期を乗り越えて、ワールドカップ本大会では周知のように見事、解任のピンチをしのいで輝かしい結果を出したのです。
私がこの話に深く興味を持ち、学んだのは、特に以下の2点でした。
- 家族に胸をはることができる信念を持とう。
ビジネスの成功やお金持ちになること、高学歴などは子供の内面に自慢として伝わることではない、ということです。 - 人生の目標の達成には時に高いハードルがあり、それを乗り越えることができて初めて満足できる結果を得ることができる。
人間の内面は非常に弱いものです。強気なときもあれば、プレッシャーに押しつぶされそうになって、どうしようもなく弱気になるときもあります。
そんなときに心の拠り所を持っている人は強いものです。
それは信念であることが大半です。
「信念」という言葉を字引でひくと、〜自分の中で正しいと信じていること〜、と定義されています。
世の中にはよく、強い人と思われている人が確かに存在します。
しかしそれは、ちょっとした心の持ちようの違いだけだったりすると思うのです。