地方創生について思うところ
時の政権によって、毎回盛んに叫ばれる「地方の立て直し」ですが、歴史的に見てこれまでにうまくいった試しがありません。
それどころか、東京への一極集中は衰えを知りません。
うまくいかない理由に、短命な政権が多く、腰を据えてじっくり長い期間をかけて取り組む姿勢に欠けていた点が挙げられます。
さらに言及すれば、国から予算が地方に下りてきても、お金を使うことだけが目的となってしまい、ただ「イベントをやりました」、「専門家を招いてセミナーを開きました」、極めつけは「建物まで作りました」というところまでで終わり、となっていたのです。
安倍政権でも石破氏を地方創生担当大臣に据えて、取り組みをしていますが、これまでのところはまだ目立った成果が出ていません。
そこで今回は、前回も触れた日経新聞の"経済教室"コーナーに、片山善博慶大教授が地方創生について投稿文を今年の2月4日に寄せていましたのでご紹介したいと思います。
「例えば、多くの地方に共通する構造的な問題は、"国際収支"が大赤字になっていることである。1つの県を独立国に見立てて、域外への"輸出"と域外からの"輸入"を比較すると、輸入が輸出を大幅に上回っている。」
「輸出は域内に雇用をもらたし、輸入は雇用を域外に移す効果があるから、輸入が輸出を上回れば、お金とともに雇用も失われる。かくして国際収支の大赤字により雇用不足に陥った地域からは、若者を中心に人材が域外に流出せざるを得ない。この事情はギリシャもわが国の地方も変わらない。」
「この構造を変えるには国際収支の改善しかなく、輸出を増やすか輸入を減らすかである。輸出を増やすには企業誘致や特産品開発、観光振興などがあるが、地域間競争が厳しい現状ではいずれも容易なことではない。とりわけ企業誘致などは、国内各地とだけでなく海外とも競合関係にある。」
「もっとも確実なのは、輸入を減らすことである。多くの地域の輸入品の代表は石油や電気などのエネルギーで、これが日々膨大なお金を域外に流出させている。ただ、エネルギーを減らすといっても、住民に耐乏生活を強いるわけにはいかない。そんなことをすれば、それを嫌がって住民がよけいに出ていってしまう。そうではなくて、輸入品を"国産品"に代替させることで、輸入を減らす。それは風力発電、小水力発電、木質バイオマス利用などである。」
以上のように、片山氏の指摘する内容には私、大塚も賛同できます。
ただし問題は、どうやって地域内でエネルギーを自給するか?、です。
この辺りは私も、しょっちゅう考えていることであり、いかに雇用を生み出し、いやその前に稼げる仕組みを作ることができるか、で堂々巡りをしているのです。