メディアの優良コンテンツとマーケティング
例えばNHKの総合チャンネルで毎週放映されている番組である「総合診療医ドクターG」。
筆者は非常に面白く、教養も身に付くいい番組だと思います。
内容は、若手の3人の医師が病名を当てるというもので、事前に本日のお題である病状を患った架空の人物が登場する再現フィルムを見せられ、画面で展開される身体の不調の様子から、推考を重ねて3人3様の考えを巡らせて最終的に正式な病名を突き止めるのです。
進行を務めるベテランの現役医師が、場面に応じてヒントを与えて、実際に医療機関の中で行われているカンファレンスの様子よろしく、とても緊迫感のある意見の交換を戦わせていくのです。
出演する現役医師たちは毎回代わり、レギュラー陣という概念が存在しません。
台本があり、ストーリーがすでに存在するものを視聴するだけではない、これまでのテレビ番組の常識にはないコンセプトが新鮮です。
ただし残念なのは、平日(毎週火曜日)の午後2時5分からの放送ということで、平日の明るい時間に働いている人たちには到底閲覧できないどころか、番組の存在さえ知られていないことです。筆者もたまたまその時間に車両で移動する場合に車内で視聴した程度で、うまくタイミングが合わないと見ることができません。
同様にもう1本、NHKの非常に興味深い番組をご紹介します。(別にNHKの番宣担当ではありませんが)
「ドキュメント72時間」という番組です。
普段私たちが生活している中で、通り過ぎてしまうような場所とかにスポットを当てて、比較的長い時間の人の往来や、そこから見える生活の様子などを紹介する内容です。この番組もたまたま車両で移動している最中に車内で放映を発見したものです。(実際は毎週金曜日の夜10時55分から放映していますが、金曜日の午前11時5分からの再放送で発見。一部地域では日程が異なります)
例えば、夜行バスの発着所などでカメラを回し、そこから次々と旅立つ人を取材し、行き先を聞くなどのインタビューを交えるのです。とても味わい深い世界を見ることができます。
ここまでに紹介した2本の番組ですが、共通しているのは実例に基づいた内容、ノンフィクション系だということです。
もちろん、昔からこういった内容の番組は存在していて、フィクション系とは違う迫力や説得力のある魅力や影響を我々に与えてきました。
ただし以前にも増して、実話に基づいた番組・コンテンツというのが人々の関心を集めつつあるように思います。
それは何もテレビの世界だけではなく、あらゆる情報発信の場においても、です。
繰り返しになりますが、如何せん残念なのは上述のNHKの例になりますが、せっかくいいコンテンツを用意していても、マーケティング的にまずい、という点です。
もちろん、オンデマンド配信(見放題パック)がありますが、普通は良い番組を容易には発見できないのと別途料金は気になるところです。(そもそも受信料を払っていますので)