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農業が持つ可能性

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agri.jpgのサムネイル画像筆者の週末の定番の過ごし方は、自宅の近郊にある自家農園(いわゆる畑です)にて、週末ファーマーに転じることです。父がたまたま隠居後に農夫に転じていたこともあり、数年前より通年の作業を順番に引き継ぎ、さまざまな手法を土壌に対して試行している訳です。野菜の種類も季節に合わせて数十種類にも及び、マイファームノートの新しいページがすぐに私のメモ書きで埋め尽くされていくような状態です。

今日は、筆者が興味を持ち、身近に接している農業分野について書いてみたいと思います。



一般的に農業という職業が持つイメージにはどのようなものがあるのでしょうか?
「作業がつらい」「腰が痛くなりそう」「服装が汚れる」「匂いがつく」
「肥料を触りたくない」「虫が多くいる」・・・といった具合でしょうか?

ところが、近年は人々の農業に対するイメージが急速に変わってきた、それも良い方向に、と筆者は強く感じています。

具体的にイメージ向上を特に感じられるのが、若者の農業分野の仕事への興味や就職(就農といいます)の拡大です。農業事業を営む企業が学生を対象にした就職説明会を行う際には、多くの就活学生が集まる時代です。

農業を職業として好意的に捉える人が増えてきたのには、例えば食料の偽装問題が多発しているなど、食の安全への興味が過去にないくらい高まっている、ということもあるでしょう。

さらに、交渉が続いているTPPが妥結すれば、普段の生活で口にする野菜や肉類などの食べ物だけではなく、農業という職業にはどういう影響が出るのか、という点についても疑問や心配は尽きないのだと思います。

それではこれだけ農業を取り巻く環境が風雲急を告げる中、農業をビジネスとして捉えた場合、どれくらいの可能性を秘めているのでしょうか?

筆者はいま、非常に壮大かつ奥の深い、または単純にはいかない問い掛けをしました。結論を急ぐ前に、先に「農業」を語る場合に欠くことのできないテーマとして、「食料自給率」について少し触れたいと思います。

よく食料自給率については先進国の中でも我が国はかなり低い、という指摘を耳にしたことがあると思います。それはカロリーベースで語られているからであり、実際に約39%しかありません。ところが生産額ベースでは約65%まで跳ね上がります。(いずれも平成25年度)

興味深いのはタマゴの自給率です。カロリーベースで計算すると約10%という低い数値に落ち込むからです。カラクリは、ニワトリを育てる飼料の自給率まで計算されているからです。実際、飼料の多くを輸入に頼っているからこうなってしまうのです。

政府が力を入れている産業振興策の1つに、農業の輸出があります。安倍首相が農業生産物輸出の先進国であるオランダを視察訪問したことが以前に話題になりました。特に輸出が奨励されている質の高い野菜や果物を、いくら国内の農家が力を入れて栽培しても、そもそもカロリーが低くて自給率向上には貢献しない、という問題があります。

これだけ、国民の間で食料に対するこだわりが高まっているのにも関わらず、食料自給率が低迷していることがよくわかります。

さらにいえば、まだまだ農業が生活者の要求水準にまで追いついてきていない、とも言えるのです。

それだけに、農業が持つ可能性は無限大であり、将来有望な業種であると断定できるのです。

実は、ここからが問題です。
では、誰もが農業を始めれば成功して、安泰な人生基盤を築くことができるのでしょうか?

答えはそんなに簡単ではありません。
筆者が考えるに、少なくとも以下のような検討、懸案事項が存在しています。
・どんな種類の野菜を作るのか?
・農場の規模はできる限り大きくした方がいいのか?
・流通経路や販路開拓
・六次産業化を目指すべきか?
・資金はどれくらい必要で、どのように調達するのか?
・IT化はどこまで進めればいいのか?

などです。

これら1つ1つについて、難問は山積みで、すぐには答えが出そうにないことは確かです。

今日はこれくらいにして、農業分野については今後もトピックを交えながら解きほぐしていきたいと考えています。

お付き合いいただきまして、ありがとうございました。

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