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プロの条件、あるいはなぜコンサルタントは「バリュー」とか口走るのか

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オルタナブログの今回のお題は「プロとは?」。
プロの条件をズバリ定義するのからちょっと逃げて、
「どんな人が、周りからプロと見られるのか」を書いてみたい。

★転職した11年前のこと
今から12年前はSEで、OracleのPL/SQLとDevloper2000を使って、巨大な経理システム(のほんの一部)をコツコツ作っていた。その時いた会社から、色々思うところあって今もいるケンブリッジに転職してからもう11年になる。

コンサルティング会社に転職すると、その日から名刺の肩書きはコンサルタントになる。まあ、所詮肩書きなんてそんなものです。
でも背負わされる身としては、それについてぐるぐると考えざるを得ない。

・SEとコンサルタントって、何が違うのか?
⇒スキルは転職前と特に変わっていないのに?

・どうやら「プロ」であることを強く求められている。プロとは何だ?
⇒今までだって「プロのシステム屋」であることに誇りを持っていたのに?

もちろん、すぐに答えは見つからない。頭の隅にずっと置いたまま、それでもちょっとでもそれらしいコンサルタントになろうと、奮闘を始めたわけだ。

★鍵は、価値と合目的性
「お金をもらっていればプロ」とも良く言われる。もちろん、定義上、それは正しい。
だが、漫然と言われたことをやり、お金を稼ぐ人は周りから「プロっぽいなぁ」とは言われない。

ケンブリッジに転職した後に、目立って口にする様になったのは
「おお、これバリュー高いぞ」
「あんた、なにバリュー低そうな資料作ってんだよ」
「それ、そもそも何の目的でやってるの?」
といった会話。

11年間コンサルタント(あるいはプロのファシリテーター)としてご飯を食べてきて、現時点でたどりついている仮説は
「価値と合目的性へこだわる姿勢を持っている人は、プロっぽい」
というものだ。
バリューや目的に添っていること(合目的性)にこだわる姿勢こそが、プロっぽいか、そうでないかを分けるのではないか。

なぜ、プロのコンサルタントになろうと意識したら、価値と目的にこだわるようになったのか。
本来、仕事で「価値があることをする」ことは至極当然。例えば、SE時代にやっていた「決算仕訳を生成するバッチプログラムを設計する」という仕事も、価値が高かった。

ところが、コンサルティングの仕事って、価値があるかないか一見しても分からないケースが多い。プログラム作成よりも抽象的なことが多いから。
つまり、絶えず「この仕事って、価値があるんだっけ?」と問い続けながら仕事をしないと、全く無駄な調査や無駄な資料作成をしてしまう。それもたまに、ではなくてしょっちゅうしてしまう。よく「So What?」と問え、と言われるが、「価値があるんだっけ?」と同じことだ。

同様に、
「この仕事の目的は?」
「今やっていることはプロジェクトゴールや、お客様の目的に合致しているか?」
も常にチェックし続けないといけない。
新人コンサルタントが、ベテランのレビューを受けて一番注意されるのは
「この資料、今度の打ち合わせの目的に合ってないよ」
ということ。
それだけ、目的に添った仕事をするのは難しいことなんだと思う。

「プロフェッショナル」の逆、ダメなコンサルタントを表す「ホビーコンサルタント」という言葉もある。ホビーという言葉には「自分がやりたいだけで、お客さんにとっては価値のない調査、分析、提言をやって喜んでいるヤツ」という意味が込められている。それはお客さんに雇ってもらうサービス業として、致死的な姿勢である。
まさに「プロ失格」。

★姿勢、しかない。
このような経験を経て、

「誰かに言われたことを、言われたままにこなす人、漫然と目の前の仕事をやる人」非プロフェッショナル

「仕事に価値があるか、目的に沿っているかを自らチェックしながら、やる仕事自体を模索する人」がプロフェッショナル

という、僕のプロフェッショナル感が作られた。皆さんのそれと、近いでしょうか?近くないかもしれませんね。

価値があるかないか、目的に添っているかどうか、に正解はない。
だから出来ることは「価値と目的こだわる姿勢を持ち続ける」しかない。

真のプロフェッショナルになれるかどうかはともかく、こだわり続ければ少なくともプロっぽく見える。
そしてこだわり続ければ、いつかは高い価値のサービスを提供し、常に目的に合致したことだけをできる、真のプロフェッショナルになれる日も来るかもしれない。来るといいなぁ。

まとめ。
それをプロと呼ぶかどうかはともかく、「価値と目的こだわる姿勢」を持っている人は格好いいよね。
今日はここまで。

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