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災害支援6日目あるいはさようなら南三陸

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★手作りの風呂
最悪、1週間は風呂に入らない覚悟はあったのだが、4日ほどしたところで、お手製のお風呂にお呼ばれした。南三陸はおいしいワカメがたくさん取れる所。ワカメをゆでるためのボイラーで湯を沸かし、ワカメを冷やすための桶がバスタブになっている。津波の後、半月ほどで作ったそうで、大人が4人ほども入れる、立派なお風呂。名付けて「津波の湯」。
避難所のおじさん達と一緒に入る、久しぶりの風呂は最高だった。思わず笑顔。

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★避難所、閉鎖へ
「近くこの避難所が閉鎖され、別の場所に全員で移動することになるらしい」と僕らボランティアに聞こえてきたのは、正式決定の1日ほど前のことだった。
家を津波で流された方々としては、当然ながら今後の自分たちの行く先を常に気にしている。
だが、当の被災者の方々が今回のことを知ったのは、ほんの数日前のことだったらしい。
結局、避難所にいた方々は全員、近くの民宿に引っ越すことになった。蛇口からは水が出るし、ご飯は民宿が作ってくれる。ホールに雑魚寝していた状況よりはずいぶん住環境としては良くなる。

多くの町民の行く先を決める仕事は本当に大変だったことだろう。公平性、各家庭の状況(老人や小さい子供がいるかいないか、など)、町民側の希望、地域コミュニティを維持した形での移住、など、考慮すべき要素はあまりに多く、自らが被災者でもある役場のマンパワーはあまりに小さい。
それでも避難所の方々としては「決定が急すぎる」「もう少し各家庭の状況に配慮が欲しい」「せっかく別の場所に移っても、相部屋ではしょうがない」などなど、どうしても不満が大きい。
これも仕方のないこととして、なるべく聞き役に回る。僕らがよくいたキッチンには、ちょっとした時間を見つけて話をしに来てくれる方が多かった。

★あわただしい引っ越し
そうと決まれば、やることは多い。避難所に山積みされていた物資を各家庭に平等に分配し、軽トラを使って少しずつ引っ越し。僕らの仕事は、引っ越しや大掃除をするためのボランティア集め。15人ほどをボランティアセンターから派遣してもらった。
最後の晩は、どこかの団体が差し入れしてくれたビールで乾杯。山で取れたタラの芽も出た。うーん、ある意味贅沢。

2日ほどは引っ越しと大掃除のヘルプで僕たちも忙しかったが、全員がいなくなってしまった避難所はガランとして、子供の声もしない。
何か気が抜けてしまったのか、僕は久しぶり(2年ぶり?)に体調を崩して1日寝込んだ。非日常的な風景、気を使う人間関係、慣れない東北弁ヒアリング(笑)などで、自分で思っていたよりも疲れていたのかもしれない。僕以外にも、ボランティアが終わって帰る頃に体調を崩す人は多くいたようだ。

★避難所は防災センターへ
僕らが寝泊まりしていた避難所は、被災者の方々が引っ越した後も、地域の防災センターとしての役割がある。瓦礫の撤去など、地域で復興に向けてやることはいくらでもあるし、家で避難している方々の物資や水の支援はまだまだ必要だからだ。
僕らが多くのボランティアさんとやってきた仕事も続ける。重機が入れないような崖の瓦礫の撤去や、井戸を利用した風呂作り、角材など資源になる瓦礫の仕分けなどだ。

仕事はまだまだあり、僕らがいる間ではとうてい終わらない。僕らがいなくなった後も、ボランティアを集め、仕事を依頼しやすくすることで、今やっていることを継続させたい。だが、どのボランティアも短期間しか来ないから、それはかなり難しいことなのだ。
僕が寝込んでいる間、同僚がフリップチャート(模造紙)にボランティアに頼みたいタスクの一覧と、その場所を示すための地域の地図を書いてくれた。地域の方や、仕事を頼まれたボランティア自身がこの紙に書き足していくことで、なんとか仕事が引き継がれていくと良いのだが。

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★さようなら南三陸
避難所が閉鎖されてからも3日ほど瓦礫や大掃除の残りなどの仕事を続け、東京に帰る日が来た。僕らに仕事を振ってくださった、会長さんを始め地域の方々に挨拶。
「せっかく海の幸がおいしいところなのに、なにもご馳走できなくてなぁ」とおっしゃるので、
「数年後、漁が出来るようになった頃に、箸と醤油だけ持ってまたきますから!」と答える。

避難所の皆さんが引っ越した民宿にも行って挨拶。みんな僕が寝込んだことを知っていて、気遣ってくれる。ああ、かっこわりー。
一緒に住み込んでいたボランティア仲間ともお別れ。本当に良いチームだった。東京に戻ってからも継続的に支援するため、たまに集まることを約束。

皆さんと別れた後、ここに来てはじめて、海や岬を少し巡っての観光。本当に美しい所だ。津波さえ来なければ。

※災害支援シリーズ、あと1回だけ続きます。

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