11月はInternet Weekの月ですが、今年はIETF広島も
●IETF76@広島 11/8--/13
IETF - Internet Engineering Task Force といえば、インターネットを語る上で重要な要素なので、技術者でなくともご存じだろうと思います。インターネットのプロトコル標準を作るところで、"rough consensus and running code" というキャッチフレーズ?が形作られたところです。そう言えば、武田さんがさりげなくも示唆深い記事を書いていらっしゃいました。
なんと、11月に開催される第76回のIETF会合は、広島で開催されます。第54回2002年の横浜以来、日本で開催されるのは7年ぶり2回目と言うことになります。ミーティングサイトはこちら。JPNICもちょこっとスポンサーしています。
大昔は、日本からIETFで発表するような人を増やさないといけない、なんて言っていたのですが、MPLSやIPv6で日本人のただならぬ貢献があって以来、とても堅調に、IETFでプレゼンスを維持しているんじゃないかと思います。それ以上に中国からの力の入れようが半端じゃないんですけどね。ま、あんまり国境を意識することもないとは思いますが。
●Internet Week 2009@秋葉原 11/24--/27
あと、こちらはもっと宣伝色が濃くなってしまいますが、11月と言えば、Internet Weekの月です。Internet Weekは、年1回JPNICが開催するインターネット技術に関するカンファレンスです。去年までは登壇したりプログラム編成を考えたりするだけでしたが、今年から僕が実行責任者になってしまいました。
ここのページで何度となく「インターネット基盤の運営」という言い方をしていますが、IETFでやっているプロトコル策定以外にも、スケーラビリティやセキュリティの問題,はたまた法規制やインターネット政策,最近ではIPv4アドレスの在庫枯渇やDNSSEC(DNSセキュリティ拡張)と、インターネットを動かしていく上での課題はいつでもたくさんあります。Internet Weekは、そういう課題の解決に向けた議論を行うためのセッションを品揃えして、皆様をお待ちしております。
プログラムはこちらです。プログラム委員の皆さんと手塩に掛けた物なので、本当は全部紹介したいところですが、ほんの2つだけ。
一つは、11月26日の「仮想化DAY」。クラウドという言葉のほうが耳目を集めることは分かっているのですが、敢えて「仮想化」というキーワードを使っています。IaaS,PaaS,SaaSとレイヤ毎に、それぞれ好事例を紹介して議論を行っていきます。砂金さんにも、PaaSセッションでご登壇いただくことになっています(ありがとうございます、よろしくお願いします)が、登壇者もそれぞれのテーマを語るにふさわしい方々が揃っていると思います。
もう一つは、11月27日、毎年最終日は IP Meetingと言う名前のプレナリセッションです。もともとInternet WeekはIP Meetingと呼ばれていたイベントを拡大改名したんですが、IP Meetingの名前はプレナリセッションとして残しました。IP Meetingの起こりから、19年。来年20年を迎えます。
午前中は、「インターネットの今年一年が分かる」情報提供のセッション。きっと、日本で一番早い「一年振り返り」です(要確認)。グローバルインターネットのルーティングやセキュリティの状況,IPアドレスやドメイン名など資源管理の状況,IETFにおける標準化動向といったものを、かなり「定点観測」的に総ざらいします。
午後は、パネルディスカッションを含みながら、若干大きなテーマを扱うことにしています。今年Internet Weekのサブタイトルは、「インターネットの進化論」としていまして、来し方行く末を論じるような仕掛けにしてみました。理事長である、早稲田大学の後藤滋樹さんに、「情報通信システムの進化と退化」と題した基調講演を。次に、副理事長であり、ISOC理事でもある江崎浩さんに、最近ISOC理事会でスタディされた、今後のICT基盤に向けた4つのシナリオスタディについて話していただきます。
パネルディスカッションでは、慶應大学の斉藤賢爾さんを迎えます。斉藤さんは「地球規模オペレーティングシステム」でJPAの未踏ソフトウェア創造事業の「天才プログラマー/スーパークリエータ」に選ばれたような方です。ここに、Internet Week の登壇者を交え、インターネットの進化の行く末を論じよう、という趣向です。なかなか他では見られない顔ぶれになっているんじゃないかと思います。
そんなわけで、Internet Week、絶賛参加登録受付中でございます。